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2014年度 私の視点

イノベーションはヒューマンセントリック

経済研究所
研究主幹 浜屋 敏

私たちは、昨年12月に、早稲田大学ビジネススクールの根来龍之教授および根来ゼミの社会人学生の方々とともに、翔泳社から「プラットフォームビジネス最前線」を出版しました。出版後には関連セミナーも開催してきましたが、今後、多くの日本企業にとって、イノベーションのためのプラットフォームづくり、すなわちプラットフォーミングが重要になるという確信はますます強くなっています。特に、製造業では「モノづくり」を超えた「コトづくり」のために、またサービス業ではグローバル展開を加速するためにも、ビジネスのエコシステムづくりとステークホルダーの巻き込みが決定的に重要になります。そして、プラットフォーミングやエコシステムづくりのためには、経営者だけではなく、ミドル層を中心とした組織の全員が、主体的・自律的に「自分の思い」をかたちにしていく実践知リーダーシップを発揮することが求められます。

これまで、日本では「BPR」「SCM」「CRM」など、既存の業務を改革したり取引先や顧客との関係をかたりするような経営手法やツールが注目されてきました。2014年度は、それらに加えて、手法やツールを駆使する人間そのものに今まで以上に光が当てられるのではないでしょうか。手法やツールさえ使えば新しい価値を創造・共創し、イノベーションを実践できるわけではなく、明確な意志と主観を持った一人ひとりの人間がいなければ組織は動きません。つまり、イノベーションは、あくまで人間が主体の(ヒューマンセントリックな)プロセスであるということです。 それは当たり前のことではありますが、2014年度は、この「当たり前のこと」が改めて問われることになると考えています。