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2014年度 私の視点

法律とIT:法律をもっと身近なものにするために

経済研究所
主席研究員 榎並 利博

2013年5月にマイナンバー法が成立し、我が国にもやっと実効性のある番号制度が実現することになりました。10年前、『住基ネットで何が変わるのか』を上梓し、ITを社会のために役立て、有効に活用するためには何としてでも番号制度の導入が必要であることを訴えてきましたが、今回マイナンバー法として結実したことは、とても感慨深いものがあります。

そして電子行政において、マイナンバーと並び、取り残された重要課題が、文字コード問題です。これについては2013年度の研究成果として「電子行政における外字問題の解決に向けて」を発表し、電気通信普及財団から第29回「テレコム社会科学賞」(注釈1)をいただきました。

このように、私のこれまでの研究を振り返ってみると、ITの研究というよりは、法制度の研究と言ってよいかもしれません。2000年の『自治体のIT革命』で自治体にIT導入を促すことができたのも、地方分権一括法をITの視点から解釈したことが大きなポイントだと考えています。

ITと法制度に関しては、コラム「ネット選挙法とマイナンバー法の成立に寄せて」(注釈2)で指摘したように、成長エンジンとしてのITの技術開発を推進しても、それを活用するための法律や制度が整備されなければ、宝の持ち腐れになってしまうという問題があります。

コラムでは、ITの普及を前提に法制度を最優先で再構築することを求めましたが、国民にとって現行の法律がわかりやすく、扱いやすく、改正の議論がしやすいものとはなっていません。2014年度は、法律をよりわかりやすく、扱いやすく、改正の議論がしやすいものにするためにITが貢献できるのではないかという視点から、ITと法制度の関係について研究していきたいと考えています。

(注釈1): http://www.taf.or.jp/record/c01/index.html
(注釈2): http://fujitsu.com/jp/group/fri/column/opinion/201307/2013-7-1.html