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2014年度 私の視点

企業内の構造改革が進む

経済研究所
エグゼクティブ・フェロー 安部 忠彦

2014年度で重要なのは、アベノミクス3本目の矢の成長戦略を実現する中長期的道筋をしっかりとつけることです。政府の規制改革は当然必要ですが、それを待ったり頼るだけではいつまでも実現できません。より重要なのは、実際の担い手である民間企業が、自ら変革し競争力を強め自律的に成長することです。そのためには、企業自らも経営力を強化し、社内規制改革ともいうべき、経営環境に合わなくなり低迷する既存事業からの勇気ある転換、ニッチでも自社に強みがあり無駄な競争が避けられる分野での新規事業を多数、海外も含めて展開などの構造改革が重要で、その基盤は人材力強化、イノベーション力強化です。

人材力強化では、企業規模の違い、経営者層から一般社員層の違いによらないグローバル人材獲得と育成が進みます。経営層では監督と執行の分離の流れの中で社外外国人取締役の見識をどう経営に生かすか、次期の経営者層育成を目指した40歳代若手の海外現場鍛錬、一般社員レベルまで広がるグローバルに共通な人材活用評価の仕組み作りが進むはずです。

イノベーション力強化では、良い技術でもそのままでは簡単に新規事業になりにくいという環境の変化を認識し、単に研究開発費を増やすのでなく、研究開発投資効率やイノベーション達成を阻んでいた社内の多数の壁、すなわち経営・事業戦略と技術戦略の壁、未来洞察と研究開発の壁、中央研究所と新規事業の壁などを壊し、人を媒介に技術と市場情報をつなぐやり方の構築が競われるようになり、イノベーションの実現に向けた取り組みが必死になされるでしょう。