「平成22年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」において 「科学技術賞(開発部門)」を受賞
2010年4月5日
当社では、文部科学省が主催する「平成22年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」において、「光通信用40G LN光変調器(注1)の開発」で、4名が科学技術賞(開発部門)を受賞することになりました。受賞式は4月13日に京王プラザホテル(東京都新宿区)にて行われます。
文部科学省では、科学技術に関する研究開発、理解増進などにおいて顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的とする科学技術分野の文部科学大臣表彰を定めています。
このたび当社では、以下の通り受賞しました。
受賞者および受賞技術
[科学技術賞]
開発部門
本部門は、我が国の社会経済、国民生活の発展向上などに寄与し、実際に利活用されている画期的な研究開発もしくは発明を行った者を対象としています。
受賞者: |
箱木浩尚(オプティカルコンポーネンツ事業部 第二商品部長) |
田中剛人(オプティカルコンポーネンツ事業部) |
土居正治(オプティカルコンポーネンツ事業部) |
杉山昌樹(オプティカルコンポーネンツ事業部) |
受賞技術: |
「光通信用40G LN光変調器の開発」 |
技術概要: |
近年、急増する通信トラフィックに対応するため、ブロードバンドネットワークを構築する40G光伝送システムの構築が急務となっています。このシステムを構成するキーコンポーネントとして40G光信号を生成するLN光変調器がありますが、従来の10G LN光変調器技術では、40Gシステムで使われる光符号化方式に対して、必要な帯域/駆動電圧特性や良好な周波数応答特性が得られないこと、さらに光波長ゆらぎによる伝送品質の劣化の問題がありました。
本開発では、これらの問題を解決するため、従来の性能指数(帯域/駆動電圧)を約3倍改善する広帯域化/低電圧化技術、量産性と良好な周波数応答特性の両立を可能とする周波数特性ディップフリー化技術(注2)、及び、光波長ゆらぎを抑制できる分極反転技術(注3)を開発しました。
本開発により、世界に先駆けて実システムに搭載可能な40G LN光変調器の量産化を実現することができました。
本成果は、既存のネットワークインフラで運用可能な40Gシステムの実現を通して情報化社会を支えるブロードバンドネットワークの構築に大きく寄与しています。 |
なお、当社は、40G LN光変調器で、現在世界シェア1位を獲得しており、40G LN光変調器を世界の主要な光通信システムサプライヤや光モジュールサプライヤに供給しています。
商標について
その他、記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
関連ホームページ
- http://www.fujitsu.com/jp/foc/
注釈
(注1) LN変調器
電気光学効果を持つニオブ酸リチウム(LN: LiNbO3)の結晶を用いた光変調器のことで、電気信号を光信号に変換する光部品。入力電気信号を、光の強度信号に変換する強度変調器や、光の位相信号に変換する位相変調器がある。LN光変調器は、光信号を生成する際に付随的に発生する波長のゆらぎが非常に小さいことが特長で、高ビットレート、長距離伝送、波長多重伝送に適する。
(注2) 周波数特性ディップフリー化技術
周波数応答特性にディップが発生する要因である空洞共振モードを抑圧するために、チップ側面に抵抗体を設けて、スムースな周波数特性を実現する技術。
(注3) 分極反転技術
電極の長手方向の中央部付近のLNの結晶軸を反転(分極反転)させることにより、一電極駆動で、変調時に発生する光波長ゆらぎ(チャープ)を抑制する技術。
日付: 2010年4月5日