福島県 只見町 様

広い町内全域をつなぐ無線LAN網

防災用無線LANネットワークで住民の安心・安全を支える

5GHz帯IP無線システム(FBW-5n)

福島県西南部に位置する只見町(ただみまち)様では、住民の皆様の安心・安全を支える通信環境の整備を進めています。
FNETSは扶桑電通株式会社様とタッグを組み、只見町様の防災用無線LANネットワーク整備を2014年に受託。河川の監視や、町内の各集落と役場の間を結ぶ無線LAN環境の構築と運用をサポートしています。

課題
  • 災害時における「情報の孤立」を防ぐ
  • 広大かつ高低差のある町内に点在する各拠点を確実につなぐ通信環境の構築
選定理由
  • FNETS、扶桑電通両社の、無線LANネットワーク構築の豊富な実績
  • 他社よりも低コストで目指す通信環境の実現が可能
  • 国の地域ICT強靭化事業による財政面での後押し
効果
  • 防災用IP無線システムにより町内の公共施設や集会所など41カ所が連携
  • 河川や土砂災害警戒区域など9カ所の状況をモニタリング
  • 観光など防災以外での通信環境活用の可能性

山間部に点在する集落で、住民の皆様と役場を非常時でも確実につなぐシステムが構築できました。

背景

大規模な災害発生時に、災害関連情報を確実に入手できる情報通信環境の確立は、自治体にとって喫緊の課題と言えます。

只見町様では、4年前に発生した「平成23年7月新潟・福島豪雨」で町内を流れる河川が氾濫し、各集落が孤立する事態に陥りました。防災行政無線は備わっていたものの、防災行政無線では、役場からの情報発信はできても各集落の状況を把握することはできません。また個人の携帯電話も基地局の停電のため役に立ちませんでした。

非常時の双方向による通信手段をどう確保するか。只見町様で検討した結果、総務省の地域ICT強靭化事業の補助金を活用し、避難所となる各集落の集会所に無線システムとアクセスポイントを設置。また河川の水位の状況を確認できる監視カメラの配備を進めることに。指名競争入札の結果、扶桑電通様とFNETSで構築することになりました。

業者選定に携わった目黒様は、「只見町は四方を山々に囲まれた、東京都23区よりも大きい面積の町です。町内に点在する27の集落の住民の皆様と役場を非常時でも確実につなぐシステム構築が求められていました。この辺りは日本有数の豪雪地帯で有線のネットワークのリスクが高いことから、無線LANネットワーク構築に豊富な実績を持つ両社にお願いできたのは良かったと思います」と話しています。

只見町役場 環境整備課
地域整備係
主査 目黒 健太 様

システムイメージ図

概要

防災用IP無線システムとして、5GHz帯IP無線システム(FBW-5n)を導入しました。学校や体育館などの公共施設と非常時の避難先となる各集落の集会所、合計41カ所に無線機と高利得指向性アンテナを配備し、山の稜線など約10カ所に中継局を設置して町内全域をカバーしました。5GHz帯IP無線システムは、1台の無線機で5GHzと2.4GHz(Wi-Fi)を同時に利用することができます。これにより、無線を通じた双方向のコミュニケーションはもとより、Wi-Fi環境のもと個人のスマートフォンなどを使って役場経由の災害情報や避難所情報を入手することが可能になりました。

また、河川などの状況をモニタリングできる監視カメラを9カ所に設置。危険箇所の状況をリアルタイムで確認することで、避難の呼びかけなど行政の意思決定の判断材料が得られています。

工事は2014年5月からスタートし、翌年1月に只見町様に引き渡されました。「雪が積もる前に工事を終わらせるというデッドラインがありましたが、例年よりも早く雪が降り始め、残った工事を終えるのは大変だったと思います。しかし、両社の担当者に常駐していただき、頑張っていただきました」(目黒様)。

雪に埋まるアンテナ

効果

2015 年4月から本運用を開始。Wi-Fiについては、期間限定で実験的にアクセスフリーにして集会所などで住民の皆様に自由に使えるようにしています。「本来は防災用ですが、日常的に使っていただかないといざという時に役に立ちません。まずは慣れていただくことが重要だと考えています」と馬場様。

「各集落で説明会を開催し、無線機の使用方法やWi-Fiの接続方法などについてレクチャーを行いました。只見町や気象庁のホームページなど、情報を得るのに役立つサイトをご案内しました。皆様に非常時に有効に使いこなしていただければ」と梁取様はおっしゃっています。

只見町役場 町民生活課
町民係
主査 梁取 茂弘 様

集会所脇のアンテナ
スマートフォン画面
高さ15mのアンテナ

監視カメラについては、町役場入口のモニターで9分割の映像を常時公開しています。「大変カメラの性能が良く、災害が起こりそうな時に、危険を回避しつつ必要な情報を取れる機器として可能性を感じます」と佐藤様。今後、町のホームページでの公開なども検討されています。

只見町役場 町民生活課
係長 佐藤 憲 様

9分割モニター

今後の課題

次の一手として只見町様が考えているのは、コミュニティFMの展開です。役場からの防災情報や、J-ALERT・防災無線からの地震情報、気象情報を緊急通報としてFMコミュニティ放送に発信していくことを検討していくほか、地元の消防団に配布しているデジタルトランシーバーとの連携の可能性なども探っています。「将来の幅広い活用を見据えた汎用性に優れたシステムであることもこのシステムの大きな特長だと思います」(目黒様)。

また、防災以外の用途での活用も検討課題です。只見町様は、昨年「ユネスコエコパーク」に登録されました。 「今後は観光として町を訪れる方々に必要な情報を、無線LANシステムを使って提供していきたいですね」と馬場様はおっしゃっています。

町内全域をカバーする新しい情報インフラとして、様々な可能性を模索している只見町様。FNETSはこれからも扶桑電通様と協力して、その実現に貢献していきます。

只見町役場 町民生活課
課長 馬場 博美 様

福島県 只見町 様

面積747,3 ㎢
人口4,487人(2015年6月1日現在)
町長目黒 吉久
ホームページhttps://www.town.tadami.lg.jp/

四季の移り変わりが美しい「自然首都」

只見町は、福島県の西南に位置し、新潟県に接しています。町の中央に流れる伊南川や只見川の清らかな流れと、面積の94%を占める豊かな森林資源に恵まれ、またわが国屈指の豪雪地帯という厳しい自然環境が四季の美しい移り変わりを生み出しています。

日本の自然環境の中心地であるとして、2007年に「自然首都・只見」宣言を行っているほか、2014年には、自然と人間社会の共生の取り組みが評価され、「ユネスコエコパーク」に登録されています。

只見町キャラクター「ブナりん」

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

[2015年8月31日掲載]

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