東山梨行政事務組合 東山梨消防本部 様

地域の特性に合わせた消防救急無線システムのデジタル化

消防救急の的確な指令を支える迅速・確実な情報共有を実現

消防救急デジタル無線システム

山梨県北東部の山梨市・甲州市の消防救急活動を管轄する、東山梨行政事務組合東山梨消防本部様。約6万7,000人の住民の皆様の安心・安全を支えています。
2013年に、消防救急デジタル無線システムの更改を、FNETSを代表構成員としたJVにて受託。地域の特性や消防救急のニーズに合わせたシステムの構築と運用をサポートしました。

課題
  • アナログ周波数の使用期限(2016年5月31日)切れに伴う、デジタル無線システムへの移行
  • 山間の地域でも確実に送受信できる無線システムの構築
選定理由
  • デジタル消防無線工事の施工実績
  • 地域の優良工事会社様とのネットワーク
効果
  • 消防・救急のニーズに応えたシステム移行が実現
  • アナログ無線と同等のエリアをカバー、クリアな音声など通話品質は向上
  • グループセルコール機能(注1)の活用など、デジタルの特性を活かした運用が実現

注1 グループセルコール機能:活動隊(消防車両など)を限定して無線交信を行うための機能

消防・救急独自のニーズに対応することで、現場にとって使い勝手の良い無線システムを実現しました。

背景

非常時でも確実に情報の送受信ができる無線は、消防救急活動で最も重要な通信手段です。

電波法改正により、消防救急無線システムのアナログ通信方式からデジタル通信方式への切り替えが全国で進んでいます。
東山梨消防本部様のデジタル無線システムへの更改は、FNETSと地元の工事会社2社からなるJVが受託し、2013年から工事を進めてきました。
システム更改を主導した指令課課長の岩下様は、「四方が山に囲まれた当地域で、住民の居住地域を100%カバーできるデジタル無線システムをどう構築していくか。地元の工事会社と良好な関係にあるFNETSがその期待に応えてくれました。指令システムと同じ富士通ゼネラルの製品を使用しているシステムであるため、指令と無線のスムーズな連携が実現できることもメリットです」とおっしゃっています。

東山梨行政事務組合
東山梨消防本部
指令課 課長
岩下 清 様

概要

デジタル無線システムは、消防本部(消防通信指令センター)と菱山基地局、一之瀬基地局に基地局無線装置を設置しているほか、消防車・救急車用の車載型移動局無線装置17台、携帯型移動局無線装置34台、携帯型受令機160台などで構成されています。消防本部は指令システムと連携する無線回線制御装置など主要設備を有していますが、無線運用の要となるのは、山の稜線上に位置する菱山基地局。消防本部より広い範囲に電波が行き届くため、あえてメイン基地局を消防本部ではなく菱山に設置しました。

2年にわたる導入工事の中で、最も困難を極めたのがこの菱山基地局の工事です。鹿のいる山中に林道を切り開き、設置場所までたどり着くまでにも一苦労。2014年の豪雪では一帯が雪に覆われ春まで立ち入りができませんでした。「不測の事態に対してもFNETSはスケジュールをきちんと組んでくれていたので工程にはほぼ影響がありませんでした」と岩下様はおっしゃっています。

一之瀬基地局(注2)
遠隔制御装置(注3)
無線回線制御装置
基地局無線装置

注2 国道411号沿いに位置する一之瀬基地局。高さ約12mの位置に設置したアンテナで送受信を行う。
注3 消防通信指令センター。4台の遠隔制御装置で無線回線制御装置や基地局無線装置と接続し、無線を個別に行う。

効果

2015年2月から本運用を開始。想定どおりアナログ通信の範囲をほぼカバーすることができ、音声も大変クリアになりました。

導入に当たり東山梨消防本部様がこだわったのは、指令員をはじめ無線通信に携わる方々の「使い勝手の良さ」です。
無線が使われるのは基本的に緊急事態が発生したとき。非常時に迅速で確実な通信を行うためには直感的に操作できるシステムが不可欠です。指令室の装置の位置、画面の向きからアラームの発光時間など細部までこだわり調整を行った結果、現場で使いやすいシステムへとブラッシュアップされました。

また、デジタル化の大きなメリットの一つであるグループセルコール機能も現場で無理なく使いやすいものに。
「搬送者の名前など秘匿性の高さが求められる通信も携帯電話などに頼らず無線に一本化することができました」(岩下様)。

今後の展開

導入後、無線システムは大きなトラブルなく運用されています。ショートメッセージで送信する会話文のバリエーションの拡大や、災害場所などを表示する車載端末装置のモニターと無線の連動などが今後の検討課題です。岩下様と、2015年4月から指令課 課長を務める武井様は、「無線システムは最新のスマートフォンのようなもので、十分に機能を使いこなすには適切なサポートが必要です。消防・救急のニーズにじっくりと耳を傾けその実現のために努力してくれたFNETSには、現場の迅速な消防救急活動のために今後も使う側の視点に立った提案を期待しています」とおっしゃっています。

FNETSは今後も、東山梨消防本部様の現場のニーズに応えるサポートを行っていきます。

東山梨行政事務組合
東山梨消防本部
指令課 課長
武井 洋 様

東山梨行政事務組合 東山梨消防本部 様

構成山梨県 山梨市、甲州市
面積553,88㎢
人口67,109人、24,816世帯(平成27年4月1日現在)
ホームページhttp://www.ey119.jp
東山梨行政事務組合
東山梨消防本部表札
庁舎全景

東山梨消防本部は、東京から西に約100kmの甲府盆地東部に位置しています。山梨市・甲州市の2市を管轄しており、1本部・2署(塩山・山梨)・2分署(勝沼・牧丘)体制で、各庁舎とも耐火、耐震性に優れ、地域の消防を担う防災拠点にふさわしい、地域住民にも親しまれる庁舎です。
担当エリアのほとんどが山林原野等で、南部ではさくらんぼや桃など果樹栽培が盛んに行われています。北東部は秩父多摩甲斐国立公園に指定された自然美豊かな山岳地帯です。

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

[2015年5月27日掲載]

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