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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2014-7月号 (Vol.65, No.4)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2014-7

特集:「スマートモビリティ」

本特集号では,富士通のモビリティプラットフォーム「FUJITSU Intelligent Society Solution SPATIOWL(スペーシオウル)」を活用する各種モビリティサービスの提案と,実現技術を中心に紹介します。


執行役員常務
川妻 庸男
執行役員常務 川妻 庸男 写真

スマートモビリティ特集に寄せて(PDF)

あらゆるモノがネットワークでつながる世界「ハイパーコネクテッド・ワールド」が出現し,社会全体に大きな影響を与えていきます。交通・モビリティの領域でも,クルマ・道路・鉄道などと人がネットワークでつながり,数えきれないモノから集まる膨大なデータを活用し,大きな価値を生み出すスマートモビリティが期待されています。
富士通は,「人・情報・インフラ」の全ての要素でお客様のイノベーションに貢献し,安全・快適で効率の高いスマートモビリティの実現を目指します。

特集:スマートモビリティ 目次〕

総括

  • モビリティプラットフォームが創り出すスマートモビリティ

パーソナルなモビリティ

  • 新しいモビリティ社会に向けた次世代ユビキタス端末:次世代杖
  • 無線LANによるエリア検知の導入支援方式
  • 事業者利益と利用者満足度を向上させるモビリティオンデマンド
  • つながる電池と新しいe-モビリティ

安心・安全のモビリティ

  • 安心のドライブ環境構築
  • 安全な交通社会を実現する商業車両向けテレマティクスサービス
  • 音声からのストレス状態検出技術
  • 79 GHz帯高分解能ミリ波レーダー

快適なモビリティ

  • つながる機能を強化したカーナビゲーション
  • モビリティM2Mへの取組み
  • テレマティクスサービスのグローバル展開
  • スマートモビリティを支えるM2Mネットワーク

特集:スマートモビリティ


総括

都市交通の課題は,国・地域・経済発展のステージなどによって異なり,一つのソリューションで全てが解決できるものではない。しかし,自動車,公共交通機関,人々の移動要求など膨大な移動に関する情報をプラットフォームで集約・可視化し,各国・地域・経済発展ステージに合わせた分析・予測アプリケーションプログラムを組み合わせて改善状況を数値化することで,交通の課題解決はもとより,都市の成長に合わせた最適なソリューションを提供できる。富士通は,長年にわたって築き上げてきたテレマティクスサービスの開発技術,および走行車両から収集するプローブデータの利用技術を生かして都市交通を可視化するモビリティプラットフォームを構築した。

山口 裕久, 佐藤 純

パーソナルなモビリティ

富士通は利用者中心(ヒューマンセントリック)なICTの力を活用することを基本思想に製品開発を行っている。製品の使いやすさや安心・安全を提供する技術の代表例として,スマートフォンに搭載しているヒューマンセントリックエンジン(HCE)は,長年培ってきたモバイルセンシング技術を応用したもので,利用者をサポートするコアコンポーネントである。このHCEを人々の生活をサポートするほかの製品への適用を検討し,新たに杖(つえ)(次世代杖)の開発を試みた。
本稿では,この次世代杖開発における仕様検討から開発に至る技術面での取組みと,展示会などで得られた反響の考察,および今後の展望について述べる。

二宮 淳一, 村山 一徳, 山岡 鉄也, 境 克司

ワークスタイルの多様化に伴い,あらゆる場所でサービスを受けることができるモビリティサービスが求められるようになってきた。モビリティサービスの一つとして,場所に応じてサービスを提供するLBS(Location-Based Service)が注目を集めており,屋内向けのLBSを実現するために様々なエリア検知手段が提案されている。特に無線LANを利用したエリア検知手段は測位のために新規にインフラを設置する必要性が低いため注目されている。しかし電波を利用する技術の検知性能を判断するためには,専門的な知識が必要であった。そこで無線LANを利用したエリア検知手段において,各エリア間の検知性能を可視化することで誰にでも検知性能を判断できる方式を開発した。
本稿では,この無線LANによるエリア検知の導入支援方式と検証結果について述べる。

肥田 一生, 沢田 健介, 廣川 幸男, 柳沼 義典

持続可能な社会の実現に向け,自家用車に過度に依存しないモビリティ環境の整備が望まれている。その実現には,利便性と料金の面で利用者満足度が高く,かつ収益事業として成立可能な地域交通サービスが求められる。近年,ICTを活用したオンデマンド交通の可能性が広がっており,上記課題への解として期待されている。その一つとして著者らは,同一車両を異なるサービスへ動的に割り当てることを特徴とするオンデマンド交通システムを提案する。提案システムは需要と供給に応じて事業者が保有する同種の車両群をタクシー,乗合タクシー,ミニバスなどの異なる交通サービスに動的に割り当てる。利用者にとって利便性の高い交通手段を低料金で提供することで利用者の満足度を向上させると同時に,事業者の利益を最大化するように各サービスに対して利用者が利用可能な乗車便の組合せを最適化する。これにより,従来の交通手段に比べて,利用者の満足度と事業者の収益性の両方を向上させると期待される。
本稿では,提案システムのコンセプトとシステム設計について概説し,シミュレーションにより有効性を検証した結果について報告する。

池田 拓郎, 藤田 卓志, Moshe E. Ben-Akiva

プレスリリース住民の移動ニーズへの対応と事業者利益の向上を両立するオンデマンド交通運行技術を開発

電池の小型化・軽量化とともに電動車両が進化し,近距離用途であれば,人手でも交換できるサイズの電池で動く自転車・バイク・小型車両が実現している。今後,出先でも簡単に電池交換ができるようになれば,充電時間と走行可能距離といった課題も解決できることから,更に実用度が増す。しかし,高価な電池を何本も持って出かけたり,行先の各所に置いたりすることは,まだ難しく,それを実現するためには,電池を共有化する仕組みが必要である。富士通は,電池を位置情報クラウドに常時的に接続して電池の残電気量や特性変化を個別に把握することで,ユーザーに電池品質の低下を感じさせない安心できる電池交換と,共有電池の資産価値を最大化する管理方式(つながる電池方式)の確立を目指している。
本稿では,クラウドサービスに常時接続した「つながる電池」の技術と,様々な価値創造の可能性について紹介する。

谷澤 哲, 鈴宮 功之, 池田 和人

安心・安全のモビリティ

運輸,交通の分野において,輸送の効率化や安全運転支援にもビッグデータが活用され始めている。富士通でも,位置情報を活用したクラウドサービスであるFUJITSU Intelligent Society Solution SPATIOWL(スペーシオウル)を製品化し,車両など移動体の位置情報にひも付けた様々な情報をクラウド上に蓄積する仕組みを構築した。また,道路交通の安心・安全を支援する車載や道路インフラのセンシング技術も継続して開発をしてきた。道路交通系のセンシングによるデータは,これまで車両単独のシステムや特定の道路区間の安全系システムといった限られた範囲でのみ活用されてきた。昨今では,クラウドにつながる仕組みが整い,センシングしたデータを容易に集約して蓄積できるようになってきた。大量に蓄積されたデータをうまく解析できれば,運転に注意が必要な地点の情報を抽出することも可能になる。そのためには,目的に応じた有意な情報を大量のデータから正確に抽出する解析技術が必要になる。
本稿では,運転注意地点を見つけるため,ドライブレコーダによって記録された大量のデータを効率的に解析し,真に必要な情報を検出する手法と,それを機能部品として実装するSPATIOWLを活用した安全運転を支援する仕組みについて紹介する。

橋口 典男, 東野 全寿

商業車両向けの運行管理は,デジタルタコグラフをベースとした機器を使用するサービスが,業界の標準となっている。デジタルタコグラフとは,車両の走行速度や走行距離などを随時記録するもので,国土交通省の認定を受けた機器を指す。このデジタルタコグラフ装置で記録した運行速度などのデジタルデータは,従来,専用のカードに記録し,それを車両の所属する事務所で読み込み,解析することで運行内容を可視化し,運行管理者がその内容から業務内容を指導することを目的としている。
本稿で紹介する商業車両向けテレマティクスサービスは,上記のデジタルタコグラフを更に発展させたものである。記録データの移動媒体である専用カードを廃止し,FENICS無線通信網を使用することでリアルタイムに運行情報をクラウドセンターへ送信し,分析できる。クラウドセンターでは,膨大な量のセンサー情報を基に,独自の分析ミドルウェアで車両の運行情報,乗務員の運転状況を分析する。これらの先進的なICTにより,従来にはないリアルタイムな運転内容の指導や,危険予測ができる。

小池 誠, 磯谷 公嗣

富士通は,見守りサービスを実現する技術の一つとして,音声信号処理を用いて会話音声からストレス状態を検出する技術を開発した。更に,普及が進んでいるスマートフォンを利用した端末-センター連携のプロトタイプシステムを開発して動作確認を行った。本技術は,顧客満足度向上のための顧客と従業員間のトラブルの早期検出や,安心・安全のための独り暮らしの高齢者,走行中のドライバーの見守りなどへの適用を目指している。本状態検出技術では,人がストレスを受けたときにのどが渇いて声の調子,すなわち,声の高さと強さが通常の状態から変わることを検出している。評価実験において,被験者にストレスを与える模擬会話を行って検出精度を調べた結果,90%以上の精度でストレス状態を検出できることが分かった。
本稿では,声の高さと強さからストレス状態を検出する技術と,開発した2種類のプロトタイプシステムの構成について述べる。

松尾 直司, 早川 昭二, 原田 将治

プレスリリース「行動モデルに基づく過信の抑止」の研究開始について

プレスリリース世界初!過信状態を声の高さと大きさを基に検出する技術を開発

プレスリリース岡山県で一般家庭を対象にした振り込め詐欺誘引通話検出技術の実証実験を開始

79 GHz帯高分解能ミリ波レーダーは,従来の77 GHz帯ミリ波レーダーの周波数帯域幅0.5 GHzに比べ,4 GHz幅という広い周波数帯域幅が使えることから,距離分解能の大幅な向上が見込まれる。そのため,従来区別がつきにくかった車と人などの物体判別やその動作を認識する可能性を持っているので,予防安全や自動運転における周辺監視用レーダーとして用いられることが期待されている。富士通テンでは予防安全・自動運転に向けたセンシング技術への取組みとして,79 GHz帯高分解能ミリ波レーダーの開発を進めている。
本稿では,安全運転支援や自動運転に適用するためのレーダー仕様と,それを実現するために必要な広帯域化の試作機試験結果を示す。このレーダーによって,従来の77 GHz帯ミリ波レーダーでは検知が難しかった車両周辺の歩行者などの検知性能が高くなる。更に自動運転や安全運転支援用センサーとして性能を向上させる可能性についても述べる。

岸田 正幸, 大口 勝之, 生野 雅義

快適なモビリティ

富士通テンは,2013年11月に「ECLIPSE」カーナビの新製品として国内市販初のWi-Fiを搭載した「Zシリーズ」3機種をリリースした。これらの製品は,Wi-Fi通信を使ってスマートフォンを接続し,音声対話による目的地検索や周辺の施設情報をPUSH型で発話するエージェントアプリ,およびスマートフォンの電子マニュアルアプリからカーナビの機能を遠隔で操作できる新たなサービスを提供する。また,富士通の提供するMy Cloudサービスと連携し,自宅のPCに保存した写真や音楽を再生できるアプリも提供している。
本稿では,これらのサービスの概要とその特徴,今後の課題について述べる。

沢田 輝

M2M(Machine to Machine)は,省エネルギーや環境負荷軽減などの社会的課題の解決手段の一つとして展開され,更にビッグデータの活用で高度な分析や予測ができるようになり,ますますその適用分野が拡大している。次世代の自動車社会に貢献するモビリティ分野においても,自動車の緊急通報や盗難追跡装置の装着義務化,超小型モビリティでのカーシェアリングの導入促進などM2Mの展開が進んでいる。富士通テンも,車載通信機器の開発やドライブレコーダとクラウドを接続したテレマティクスサービスの実現を推進している。
本稿では,富士通テンのモビリティM2Mへの取組み,および自動車がネットワークにつながるときの通信の安定性や情報セキュリティなどの課題を解決するVoIP無線機やスマートフォン連携車両制御システムの車載化技術を紹介する。

竹江 章, 太田 充, 重松 智史

ビッグデータを活用する時代の到来に伴い,国内や国外でテレマティクスサービスの対象サービスの増加や対象地域の拡大が進んでいる。サービス形態は,サービスプロバイダーが提供するケースから,自動車メーカーが自社でサービスセンターを持ち,独自でサービスを立ち上げるケースへ移行しつつある。富士通は,ビッグデータの活用例として,欧州の自動車メーカー向けに,テレマティクスサービスの一つである交通情報提供サービスの展開を企画した。本サービスの展開に向けては,サービスの入出力データである交通情報のデータフォーマットの標準化が鍵を握ると判断し,TMC(Traffic Message Channel)データフォーマットを採用した。
本稿では,富士通の交通情報提供サービスのグローバル展開を紹介する。

原科 直記

スマートモビリティは,モビリティ(自動車などの移動体)から情報を収集し,集めた情報をビッグデータとして解析する。そして,その解析した結果を運転手や車両メーカーなどにサービスとして提供する。モビリティから情報を収集する,あるいはモビリティへ情報を提供する移動体向け通信システムは,主にM2M(Machine-to-Machine)ネットワークとして無線ネットワークが使われる。このため,モビリティとなる車の台数が数万台から数百万台になると通信量の増加や通信品質の低下が発生する。また,個々のサービス提供に伴って通信費の増加やネットワーク上のセキュリティ確保が課題となる。富士通の企業向けネットワークサービスFENICS II ビジネスネットワーク(Fujitsu Enhanced Information and Communication Services)は,M2MやIoT(Internet of Things)向けにこのような課題を解決するFUJITSU Managed Infrastructure Service FENICS II M2Mサービスを提供している。
本稿では,スマートモビリティを支えるM2Mネットワークについて,FENICS II M2Mサービスの内容と事例を挙げて説明する。

黒瀬 義敏

プレスリリースInterop Tokyo 2014「Best of Show Award」のグランプリと特別賞を受賞


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