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Fujitsu

Japan

アーカイブ コンテンツ

注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2010-3月号 (VOL.61, NO.2)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2010-3

特集: 「パーソナル」

本特集では,パーソナル機器のパソコン・携帯電話について,セキュリティ,使いやすさ,環境への配慮,デザイン,防水機能などを中心に最新技術や特徴的な取組みを紹介しています。


執行役員常務
佐相 秀幸
執行役員常務 佐相 秀幸 写真

パーソナル特集に寄せて(PDF)

富士通は,パーソナル機器について,ブロードバンドリーダ,デザイントレンドリーダ,ケータイテクノロジリーダの三つをキーワードに,スマートフォンなど新しい領域への挑戦にも積極的に取り組んでいきます。さらに,ユビキタスフロントとしてパソコンとの融合も図っていきます。

特集:パーソナル 目次〕

【パソコン】

総括

  • 富士通のパソコン開発への取組み
    ―グローバルに富士通ファンを広げていくために―

安心・安全

  • ノートパソコンの遠隔操作による
    情報漏えい対策ソリューション:CLEARSURE
  • Secure Login Boxによる簡単,確実な個人認証と
    シングルサインオンの実現
  • 個人向けサポートインフラ刷新による
    CRMの強化とビジネス展開

いつでも・どこでも

  • 大画面テレビにつないでコンテンツを楽しむ
    リビングスタイルパソコン:FMV-TEO
  • ノートパソコンの薄型軽量化技術と
    ワイヤレス通信の融合

ECO

  • パソコン開発における環境への取組み

【携帯電話】

総括

  • 富士通の携帯電話のものづくり革新

基盤技術

  • 携帯電話を支えるプラットフォーム技術
  • 携帯電話ソフトウェア開発の取組み

携帯テクノロジ

  • 薄型防水携帯電話の実現技術
  • 高機能携帯電話の実現技術
  • らくらくホンの開発コンセプトと機能
  • 法人向け携帯電話の開発

ものづくり革新

  • 携帯電話開発におけるIT高度活用と
    ノウハウ蓄積手法

【共通】

デザイン

  • ユビキタスプロダクトにおける
    ヒューマンセントリック・デザインの取組み

特集:パーソナル


【パソコン】

総括

パソコンは,人々の生活に欠かせない存在として,最新技術を取り入れながら進化してきた。富士通は,パソコンが,いつでもどこでも安心・安全に,そして楽しく便利に使える製品であることを目指し,セキュリティ,エンタテインメント,薄型軽量化,エコに注力している。今後,ヒューマンセントリック社会への進展を見据えたパソコンの将来像をイメージし,これらをカタチにして世界に発信することで,グローバルに富士通ファンを増やしていきたい。
本稿では,独自の盗難紛失対策ソリューションや家電を意識したコンシューマ向け製品の開発,モバイルパソコンとしての工夫,環境に配慮した製品づくりなどの取組みを紹介する。

足利 靖, 長田 泰幸

安心・安全

ノートパソコンのモバイル利用が増加している中で,セキュリティに対しても考慮が必要になってきている。以前からノートパソコンの盗難・紛失による顧客情報の漏えい事故が増加していたが,個人情報保護法の制定・施行以降も後を絶たない。そのため,盗難・紛失したノートパソコンから情報が漏えいすることを危惧(ぐ)し,モバイル利用による生産性向上を認識しつつもモバイル利用に踏み切れない,もしくはモバイル利用に厳しい運用ルールを設けている企業が増えている。富士通はこのような不安に対して,利用者の遠隔操作により瞬時にHDD(Hard Disk Drive)内の全データを無効化するソリューションCLEARSUREを開発した。これにより持運び時の安全性が高められ,ノートパソコンの機動性を活用したモバイル利用の促進が期待できる。
本稿では,CLEARSUREの概要およびセキュリティサービスを支える技術について紹介する。

坂巻 健士, 永利 秀之, 向地 賢記, 二村 和明

企業内では本人確認を必要とするアプリケーションが増え,そのためのID/パスワード管理が問題になっている。富士通が開発した業界唯一の個人認証専用サーバ“Secure Login Box”によるPCログイン認証システムでは,ID/パスワードの一括管理によるシングルサインオンを提供する。本人認証後,Secure Login Boxに保存したID/パスワードを自動的にアプリケーションに代行入力してログインする。本人認証の手段には,富士通独自の「手のひら静脈認証」のほか,富士通製ノートPC“LIFEBOOK”に内蔵可能な「指紋認証」,「FeliCa認証」などのセキュリティハードウェアが利用可能である。利用者は多くのパスワードを覚える必要がなくなる。また,利用者認証履歴(ログ)の一元管理も行うことが可能である。
本稿では,Secure Login Boxの開発背景,使用する認証技術,および機能について述べる。

坂巻 健士, 福田 慶郎, 山崎 政利, 新崎 卓

2007年11月に個人のお客様向けサポートインフラを刷新し,音声系システムとして,富士通のIP交換機基盤,業務/分析系システムとして,SAP社の顧客管理アプリケーションを導入し,フルIP化した。これにより,各システムからのデータを一元管理することが可能となり,システム利用者の生産性向上,お客様への対応品質向上につなげることができた。
本稿では,個人のお客様向けパソコンサポートビジネスの状況や「富士通パーソナル製品に関するお問合せ窓口」で行っている個人のお客様向けサポート業務の概要と,従来のサポートインフラ環境で抱えていた課題の解決,パソコンビジネスの強化に向けたねらいを新インフラでどのように実現したかを紹介する。また,新サポートインフラで実現した機能やサポート業務のプロセス改善と,この先に計画している有償サービスメニューなど,今後のビジネス展開にインフラが果たす役割を紹介する。

関口 篤

いつでも・どこでも

地デジ対応パソコンの普及や,規格の整備,広告ビジネスを利用したコンテンツ提供者の商業的成功などを背景としたネットコンテンツの普及加速によって,個人向けパソコン市場においてはエンタテイメントユースへのニーズが拡大している。
本稿では,この新しいユースケースをより魅力的なものにすることで,既存パソコン市場の拡大をねらいリビングルームに進出すべく富士通が市場に投入しているFMV-TEOシリーズの概要と,その機能を実現するために搭載される富士通独自の技術について解説する。

広末 庸治, 牛若 恵一, 小檜山 清之, 木村 真敏

ノートパソコンにおけるモバイル性能の進化は著しく,いつでも持ち歩き,どこでも使え,いつでも,どこでも,簡単にネットワークに接続し,オフィスや自宅で使用する状態と同じように利用できる環境へと変化してきている。
本稿では,今までのパソコンとしての進化,そのパソコン商品群の中で,今後更に持ち歩き利用の需要が増えていき,ワークスタイル,ライフスタイルに変革をもたらすであろうノートパソコンに対し,富士通が考えるモバイル性能向上への方向性と進化について述べる。つぎに,それらを支える薄型軽量化技術と,安心してノートパソコンを持ち歩いて使用していただくための,ワイヤレス通信技術を活用した富士通独自の新規ソリューションを紹介する。

遠山 賢治, 大西 益生

ECO

富士通のパソコン開発においては,省資源・省エネ・リサイクル・有害物質管理といった環境に配慮した取組みを行っている。
本稿では,開発の現場から以下三つのトピックスに焦点を当てて紹介する。一つ目は,省資源化とCO2削減による環境保護を目的としたバイオプラスチックの状況,二つ目はリサイクル性を高める活動という観点での回路基板に対する取組み,三つ目は省資源化に向けた外装箱や緩衝材料の設計での取組みについて紹介する。

浜野 武, 木村 浩一

【携帯電話】

総括

富士通は,携帯電話の心臓部となる無線プラットフォームやミドルウェア,アプリケーションソフトウェアなどの要素技術から,端末装置までの一連のプロセスを一貫して開発し,日本の携帯電話の発展をリードしてきた。今,携帯電話のものづくり現場で最も重要なキーワードは「開発期間の短縮とコスト削減」である。富士通グループでは,携帯電話のものづくり現場に最適化した統合設計環境を構築し,企画・開発から製造に至る一連のものづくりを効率化し,「開発期間の短縮とコスト削減」に取り組んでいる。
本稿では,富士通の携帯電話開発プロセスの変遷を追いながら,携帯電話開発に求められる要素と,その解決手段を中心に全体像を紹介する。

岩渕 敦

基盤技術

携帯電話はメールやインターネットアクセスがけん引力となり,2001年のW-CDMAシステムのサービス開始以降飛躍的に普及してきた。近年ではユーザの用途もフルブラウザ検索,動画配信など,大量の情報アクセスが求められている。
本稿では携帯電話普及の原動力となっている無線通信の高速化技術の変遷を示し,大規模化するシステムLSIの設計・検証,小型/省電力化の取組み,高速移動(新幹線など)での通信性能確保の技術など,携帯電話を支えるプラットフォーム技術を紹介し,今後の更なるブロードバンド化の展望について述べる。また,ますます高精細化する静止画/動画に対応するマルチメディア処理や高度なグラフィカルユーザインタフェースを支える高性能なグラフィクス処理を実現するプラットフォーム技術を紹介する。

中村 隆治, 川勝 保博, 高本 健至

携帯電話の高機能化や高性能化に伴い,携帯電話のソフトウェア開発は,難易度が高くなり,品質確保の難しさや,開発コストの増大,進化スピードへの対応が求められている。
本稿では,それらの課題に対して富士通が携帯電話のソフトウェア開発において,実際に利用している手法を中心に取組みを紹介する。さらに,今後確実に到来する携帯電話のソフトウェアプラットフォームを中心とした開発環境の変化の中で,富士通を含めた携帯電話メーカは,どのようにオープンプラットフォームを活用し,どのような取組みを行っていくべきなのかを論じる。

長内 伊理一, 吉澤 尚子

携帯テクノロジ

以前より市場ニーズが高い防水機能を組み合わせた商品開発が望まれていた。これまでの防水携帯はアウトドアを強くイメージさせる商品であり,より日常にフィットしスタイリッシュな防水携帯を開発することが市場ニーズに応えることであった。スタイリッシュな防水携帯を実現するためには徹底した小型・薄型化を追求することが最も重要であり,その技術革新に取り組んできた。また,多様化した商品展開が図られる市場環境の中で勝ち抜くための商品力向上と併せて,QCD(品質,価格,納期)向上に取り組んできた。
本稿では,薄型防水携帯電話の開発で,商品化に向け取り組んだ技術,製造性の改善および防水構造の進化などについて紹介する。

肥塚 秀彦, 荒木 達人, 城山 仁司

携帯電話は,小型薄型化とともに,年々高機能化の進化を遂げている。
本稿では,まず,携帯電話の高機能化の代表格としてユーザニーズの高い,高画質カメラ・高解像度ディスプレイなど,富士通製携帯電話のキーコンポーネントの変遷とトレンドについて述べる。つぎに,ワイヤレスブロードバンド時代の先駆けとして,携帯性と利便性を兼ね備え,ワイヤレス技術を駆使して実現する高速データ通信や無線LAN,FeliCa,Bluetooth,FMトランスミッタなどの近距離無線通信機能,さらには地上デジタルテレビ放送,GPSなどを搭載する高機能な携帯電話の開発について紹介する。最後に,ゴルフスイングチェックアプリケーションなど,ヒューマンセントリックサービスに向けた最新のセンサ応用技術について触れる。

井上 欣也, 石田 誠

NTTドコモ様と共同開発した富士通製「らくらくホン」は,2001年から現在に至るまで14機種を製品化し,累計販売台数1500万台(2009年3月)を突破したロングセラー商品である。「らくらくホン」は,ターゲットをシニアに絞り込み,携帯電話にいち早くユニバーサルデザインの理念を取り入れ,お客様の声に基づく創意工夫により新たな価値提供を実現した商品である。
本稿では,2001年の富士通製1号機からの「らくらくホン」の変遷とお客様の声を形にするための取組みや,開発コンセプトから生まれた「らくらくホン」を支える技術の紹介,満足度の維持・向上を図るための施策について紹介する。また,見やすい,聞きやすい,使いやすいということだけではなく,シニアの生活の質向上を目的として取り組んだ健康機能・サービスも紹介する。

林田 健, 中条 薫, 渡邉 儀一

企業のセキュリティポリシーを守る必要性と社会問題化した情報の流出事故,事件の増加に伴い,「法人向け携帯電話の機能」として,セキュリティ対策,システム連携などのニーズが急速に高まっている。富士通はWindows Mobile OSを搭載した法人向け携帯電話(スマートフォン)FOMA F1100をNTTドコモ様に納入し,2008年3月より発売されている。このFOMA F1100は,従来の携帯電話と異なり,ネイティブアプリケーションをインストール可能としたオープンな端末として開発されており,富士通は,各種法人ソリューションのモバイルフロントとして商談を展開中である。
本稿では,法人向け携帯電話に求められるニーズと実現すべき機能開発への取組み,法人から期待されているソリューションと商談適用事例を紹介し,今後のモバイルソリューションビジネスについて概観する。

井上 直幸, 佐藤 達博

ものづくり革新

携帯電話の近年におけるトレンドは,ソフトサービスの多様化,高機能化とともにハードウェアに対しては,小型(薄型),軽量化に加えて防水構造など,より高度な実装,構造設計が求められている。このような中で市場にマッチした製品をタイムリに提供するには,従来のようにものを作製してからでの評価検証プロセスでは遅く,開発の上流段階で,仮想試作による設計検証,製造性検証が必要となる。
本稿では,携帯電話の製品品質を確保しつつ短期開発を実現する施策として,開発プロセスと構造の強度,アンテナ性能などの各種シミュレーションの活用事例,ITを使っての設計ノウハウ蓄積手法について紹介する。

嶋橋 伸介, 海藤 義彦, 川道 武継, 久保 洋

【共通】

デザイン

ユビキタスプロダクトはICTと利用者の接点に存在し,生活や仕事の様々な場面でサービスや便益を提供する端末である。このようなユビキタスプロダクトのデザイン開発に当たっては,プロダクトとICTサービスとの関係性およびユーザとプロダクトの関係性を考え,ユーザ起点から利便性や所有価値を明確に描くことが重要になる。そのために,ICTによって提供されるサービスやその使用シーンからユビキタスプロダクトを検討するアプローチ,多様化する利用者の価値観・ライフスタイルとユビキタスプロダクトとのマッチングを検討するアプローチ,利用者とユビキタスプロダクトの間のユーザインタフェースを徹底的に追求するアプローチから,人間主体のデザイン(ヒューマンセントリック・デザイン)を行うことが重要であると考えている。
本稿では三つのアプローチから,ヒューマンセントリック・デザインを行うための検討内容について概観する。加えて,その考え方を実践したデザイン開発事例を紹介する。

上田 義弘, 松本 啓太


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