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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2009-5月号 (VOL.60, NO.3)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2009-5

特集:「仮想化」

本特集号では,富士通の仮想化に対する総合的な取組みとして,サーバ,ストレージ,ネットワーク製品などへの適用技術を中心にクラウドコンピューティングやグリーンIT技術との連携・統合を含めてご紹介します。


取締役副社長
富田 達夫
取締役副社長 富田 達夫 写真

仮想化特集に寄せて(PDF)

ITシステムは,利用環境を飛躍的に拡大する一方で,多数のサーバ,ストレージ,ネットワークなどの機器で構成することになり,運用・管理コストは,急速に肥大化しようとしています。また,業務の変化,市場の変化など,リソース見積もりの想定を超える状況が発生すると,システム能力やストレージ容量などに対して,早急な対処が必要になります。このような状況に対する解決策が仮想化技術です。
私たち富士通は総合IT企業として,全方位の仮想化によって理想的なITシステムを実現するために全力を挙げてまいります。

特集:仮想化 目次〕

総括

  • 仮想化の進展と富士通の取組み

サーバ仮想化

  • 仮想マシン技術の展望
  • 仮想化に最適なプラットフォーム
    PRIMERGY BX900ブレードサーバ
  • 仮想化環境のシステム統合管理技術

ストレージ仮想化

  • ストレージ仮想化の展望
  • RAID仮想化技術
  • ETERNUSディスクアレイの仮想化技術

ネットワーク仮想化

  • ネットワークサーバの仮想化技術

将来技術

  • 仮想化技術を活用したクラウド時代の
    ITプラットフォーム

仮想化のシステムへの適用

  • 仮想化技術のアウトソーシングサービスへの
    適用

特集:仮想化


総括

仮想化技術に関する関心が高まっており,実システムへの適用も拡大している。仮想化は,メインフレーム時代からの長い蓄積を持つ技術である。オープンシステムにおける仮想化技術は,ハードウェアの物理的制限の緩和やハードウェア進化に対するアプリケーション資産の保護という目的から,サーバ統合・ストレージ統合によるシステムの最適化,さらに仮想化の新機能を活用した可用性向上や業務継続,業務への資源の最適割付けといった,より積極的に価値を生み出すことを目的とした適用へと進展してきている。
本稿では,このような視点から,仮想化の定義や利点を整理し,さらに,サーバ,ストレージなど個別の仮想化技術の展開と,富士通の長年にわたる取組みを概観する。また,今後のITの大きな方向であるクラウドコンピューティングやグリーンITに対して,これらの技術の連携・統合が重要であることを示す。

吉田 浩

サーバ仮想化

サーバの性能向上とハードウェアによる仮想化のサポートにより,仮想マシン(VM:Virtual Machine)技術が本格的な普及期に入ってきた。すでに仮想マシンが普及しているメインフレームの場合と同様に,PCサーバやUNIXサーバの仮想マシンは,サーバ統合によるコスト削減を目的に利用されてきた。さらに,メインフレームには存在しなかったライブマイグレーションという技術を獲得して,新しい目的での応用も広がってきている。一方,クライアントPCにおいても,セキュリティのために仮想マシンを利用しようという新たな動きがある。
本稿では,クライアントPCおよびサーバでの仮想マシン技術について利用目的の視点から俯瞰(ふかん)する。また,仮想マシン技術の将来方向について述べる。さらに,富士通の取組みとして,仮想マシンに関するサポートの強化とオープンソースの仮想マシンに対する貢献についても触れる。

湯原 雅信

現在,IT業界においては,サーバ統合,省電力化を推進する重要な技術として仮想化機能が広まりつつある。仮想化には,サーバの仮想化のみならず,ネットワークの仮想化やストレージの仮想化などITシステムの主な構成要素が含まれている。
近年サーバ分野で急速に普及しつつあるブレードサーバは,これらITシステム構成要素を統合した製品であり,仮想化のメリットを最も発揮しやすい。
本稿では,最新のテクノロジを採用した新ブレードサーバPRIMERGY BX900における,仮想化の先進的取組みについて,それを支える高速伝送技術や独自開発高速スイッチ技術などとともに紹介する。

松原 正和, 中川 幸洋, 牧 雄治郎

プレスリリース業界最高クラスとなる18枚搭載の大規模ブレードサーバ
「PRIMERGY BX900」を販売開始

ITインフラのコスト削減が急務となっており,仮想化技術を用いたリソース利用の効率化と運用コスト削減への関心が加速されている。また,グリーンITやクラウドコンピューティングの基盤技術としても,仮想化が大きく注目されている。
一方で,仮想化されたシステムはリソース数の増加とリソース間の関係の複雑化を招きやすく,実体が見えないだけに,従来の方式では管理が難しくなることも明らかになってきた。
本稿では,サーバ仮想化ソフトウェアとI/O仮想化技術について,概要と運用管理上の問題点について述べ,富士通が提供する仮想化環境に適した管理ソフトウェアServerView Resource Coordinator VEを紹介する。

伊與田 敏, 土肥 実久, 小林 庸益

ストレージ仮想化

近年,企業向けITシステムのストレージの主流であるディスク装置の利用率(容量または単位時間あたりの平均稼働率)が10%程度という事例を少なからず見ることができる。この意味でストレージの仮想化は,サーバ仮想化と同様のコスト(導入コスト,運用コスト)削減効果が期待できる。ストレージ仮想化は,上記のような狭義の意味合いに対して,広義かつより一般的には「ストレージの物理装置を論理マッピングしてアプリケーションからの論理ビューを物理的なトポロジーから切り離すこと」と定義され,実は以前からユーザの意識の外で,このようなことは行われてきた。
本稿では,そのようなストレージ仮想化全般の動きについて述べ,今後を展望する。また身近で分かりやすい実現例としてファイルレベルのストレージ仮想化について述べる。

熊沢 忠志

近年,国内企業が保有する情報(データ)量は,爆発的に増加している。その一方で,ITシステムを担当するIT管理者(ストレージ管理者)数は,横ばいから微増程度にとどまり,管理者一人あたりの管理すべきストレージ容量,機器数は,年々増加している。これにより,IT管理者には,ストレージ運用管理面でいくつかの課題が増えている。
これらの課題解決の一つとして,富士通は,ストレージエリアネットワーク(SAN)層でのストレージ仮想化に着目し,複数の物理ストレージ装置(ディスクアレイ)を束ね,一元管理を可能とする技術を開発してきた。
本稿では,バーチャリゼーションスイッチ"ETERNUS VS900"におけるストレージ仮想化を実現するOut of Band方式,様々なストレージ運用を見据えた仮想化オブジェクト,業務停止をなくしたデータ移行機能(データマイグレーション)について述べる。

大村 英明

ストレージシステムにおいても必要な資源を必要なだけ配分できる「仮想化」は重要なトレンドとなっている。ディスク装置においてはいわゆるストレージ仮想化だけではなく,様々な階層において仮想化の概念が取り入れられており,最近でも多くの「仮想化」の技術を利用した機能が生まれている。ETERNUSディスクアレイでもボリューム仮想化機能をはじめいくつかの技術が利用できる。
またストレージにとってはサーバ仮想化への対応も重要な要件となる。通常のI/Oに対してはサーバ仮想化には特殊な対応が不要である。しかし,最近のハイエンドのディスクアレイ装置では当然の機能となっているボリューム複製機能では仮想化されたサーバからの資源の見え方の変化に対応する必要がある。ETERNUSディスクアレイのアドバンスト・コピー機能ではETERNUS SF AdvancedCopy Managerでサーバ仮想化環境への対応を行っている。

赤坂 勉, 安福 洋一, 川本 睦史

ネットワーク仮想化

データセンタへのサーバ統合の進展に伴い,利用率の向上,省電力,運用管理の効率化などを目的に,サーバやストレージに対する仮想化技術の重要度が増してきている。一方,ネットワークは,従来から様々な仮想化技術が実現している。富士通ではスイッチ,ルータ,ネットワーク・アプライアンスなどの自社ネットワーク製品で仮想化に対応してきている。
本稿では,現状のネットワークサーバが実現している仮想化技術をOSI(Open Systems Interconnection)の通信モデルにおけるネットワーク機能レイヤと対比して紹介する。さらに,サーバとの関係が深いサーバ負荷分散技術について,富士通が提供しているネットワークサーバIPCOM EXシリーズを例に詳細に解説する。最後に,サーバのセンタ集約に伴って今後必要とされるネットワークサーバの仮想化技術の方向性について述べる。

天満 尚二, 舟田 隆司, 本橋 篤

将来技術

現在,大きなトレンドとなっているクラウドコンピューティングの特質の一つは,均質なITプラットフォームを多くの人が共用することによるスケールメリットである。一方で,人々の多様なアプリケーションのアイデアを実現していくためには,ITプラットフォームは均質ではあり得ない。
富士通は,クラウドコンピューティングのメリットと人々の多様なアイデアの実現を両立させるために,仮想化技術が有効であると考えている。
本稿では,富士通が開発を進めている,仮想化技術を活用して均質な構成の上に仮想システムとして多様なシステム構成を実現するクラウドコンピューティング向けのプラットフォームのコンセプトとアーキテクチャについて紹介する。

武 理一郎

プレスリリースお客様の新しいビジネスを創出する富士通のクラウドサービス

仮想化のシステムへの適用

富士通は,プロダクト技術と豊富な運用実績に裏付けられた国内最大規模のアウトソーシングサービス事業を展開しており,お客様のIT資産の最適化,効率化に貢献するサービスの提供を追求し続けている。
本稿では,この取組みの一つであるサーバ仮想化技術を適用したホスティングサービス事例により,本技術に対する技術面,運用面のお客様の不安や負担から見るサービスへの要件と適用効果を紹介する。また,このサービスの実績と運用ノウハウに基づいた富士通データセンタの新しいサービス基盤である,SaaS(Software as a Service)事業におけるリソースプラットフォームへの取組みと技術的な特長を紹介する。

富高 恵津子, 下島 和樹


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