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Fujitsu

Japan

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注:このページはアーカイブ化さたコンテンツです。各論文の記載内容は、掲載開始時の最新情報です。

雑誌FUJITSU

2004-7月号 (VOL.55, NO.4)

富士通の最新技術を隔月に紹介する情報誌です。 冊子体の販売はしておりませんのでご了承下さい。


雑誌FUJITSU 2004-7

特集: 「ユビキタス」

本特集では,ユビキタスを実現する要素技術,家庭内や街での生活を変える技術など,新しい社会システムの事例やキーテクノロジの研究開発について,富士通が取り組んでいる現状と今後の活用方針をトレーサビリティと情報オフィス家電の二分野を中心に紹介しております。


経営執行役 ユビキタスシステム事業本部長
青木 隆
経営執行役  ユビキタスシステム事業本部長 青木 隆 写真

ユビキタス特集に寄せて(PDF)

富士通は,お客様の視点に立ち,企業から各家庭や個人までを含めたユビキタス社会の中で,今まで培ってきた富士通の通信,コンピュータ,半導体の強みを生かした要素技術をコアとして,お客様ごとに最適の次世代ソリューションを提供し,新しい価値創造を実現して参りたいと考えます。

特集: ユビキタス 目次〕

概要

  • ユビキタスネットワーク社会への富士通の取組み

事例 -社会に広がるユビキタス技術

  • PDAを利用した診察順リアルタイム通知サービス実証実験
  • 歩行者向け情報サービス
  • 無線LAN型情報コンセントシステム
  • ICカードシステムソリューション
  • テレマティクスを支えるミドルウェア技術

事例 -産業に浸透するユビキタス技術

  • RFIDを用いた港湾物流の効率化実証実験
  • Active RFIDを用いた情報配信実証実験
  • 営業力強化に貢献する「モバイルナレッジfor youコンサルティング」
  • ユビキタス時代のオフィスを支えるIT
    -富士通ソリューションスクエアの事例-

ユビキタスを支える技術

  • 富士通のユビキタス関連技術とその方向性
  • 高解像度PDA:Pocket LOOX v70
  • 携帯電話から見たユビキタスのとらえ方とその製品
  • ユビキタス端末技術とその方向性
  • RFIDタグ/スマートカード用LSIチップ
  • ユビキタス社会を支えるRFIDタグ関連機器
  • 通信と情報を融合したユビキタス基盤技術
  • オーガニックストレージシステム
  • ユビキタス時代を支えるプレゼンスサービス基盤:FLAIRINC
  • 状況に応じたサービスを提供するTask Computing
  • リアルタイムSFAソリューション
  • ユビキタスにおけるヒューマンインタフェース

一般

  • グローバルプロジェクトの文化的差異への方策
    -医薬品企業のR&Dシステムでの実践-

特集:ユビキタス


概要

「ユビキタス」は,「神はいたるところに遍在する」を意味し,人間生活における今後のコンピュータネットワークのあり方を示している。車内・家庭・街中・駅頭など場所や時間にとらわれず,誰もが情報をネットワークから自由に入手し,サービスを享受できる「ユビキタスネットワーク社会」を実現するため,携帯端末,無線LAN,RFIDタグ,ICカード,セキュリティ技術など様々な技術開発が進められている。富士通は,ユビキタスネットワークを社会における新たなインフラストラクチャととらえ,二つのカテゴリとして,トレーサビリティ分野と情報オフィス家電分野を柱にしていく。それを支える基幹系システムの拡充を図るとともに,利便性や操作性を高めた端末,セキュリティを強化したソフトウェアの開発,より身近なソリューションの提供などに取り組んでいる。ユビキタスネットワーク社会の将来をお客様と一緒に歩むビジョンの下で,お客様向けの新しいバリューチェーンの創造を目指している。

中井 昭

事例 -社会に広がるユビキタス技術

富士通は,総務省様の平成14年度補正予算での施策である「企業IT化支援情報通信プラットフォーム構築に関する調査研究」の一部として,情報のリアルタイム制御技術を活用したネットワークサービスの有効性を検証するため,香川県高松市高松赤十字病院様に協力していただき,2003年8月より2箇月間,「PDAを利用した診察順リアルタイム通知サービス実証実験」を行った。本実験では,富士通IDCプラットフォームに,プレゼンス制御技術,Parlay Webサービス技術を用い,診察の待ち順番状況をリアルタイムにPDA(携帯情報端末)に通知するサービスを行った。PDAを携帯した患者は,リアルタイムに診察順が通知されるため,病院内外を自由に移動可能だった。
本稿では,実験の実施内容とともに,適用した技術について紹介する。

門間 仁,池田 良忠

利用者の位置に応じて情報を提供する,いわゆる位置情報サービス(location-based services)については,様々な試みがなされている。歩行者向けの情報サービスもその一つであるが,端末装置の小型化,高性能化により多様なサービスが可能となり,本分野の今後の市場拡大が期待されている。
富士通では,端末装置,通信装置,サーバなど位置情報サービスを行うために必要なハードウェアの開発を行うとともに,測位,情報提供などのソフトウェア技術の開発も行っている。
本稿では,歩行者に対するタイムリな情報提供を実現するための端末の高精度測位技術について,検討および試作評価結果を報告する。また,この技術を適用して行った観光旅行者向け情報提供実験について紹介する。

畑瀬 勉,佐藤 公則

国土交通省様では,河川や道路の管理用に敷設した光ケーブル網の要所に,「情報コンセント」と呼ばれるアクセスポイントを整備している。この情報コンセントに専用可搬端末を光ケーブル接続することで,現場と事務所・出張所間で双方向に映像,音声,データの通信を行い,河川・道路管理の高度化・効率化を実現している。しかし,緊急時に災害発生の第一報を収集・伝達する運用面において機動性に課題が残り,情報コンセントの利用効率を高めるための改善が強く求められていた。
本稿では,このような課題を解決する手段として,近年ユビキタスネット社会に向けて普及が広がっている無線LAN技術を適用した,無線LAN型情報コンセントシステムについて紹介する。

山内 一芳,森西 利匡,和才 恵子

ICカードに複数のサービスを搭載し,カード付加価値を高める動きが顕著である。また住民基本台帳カードの交付が始まり,公的個人認証の基盤として普及しつつある。これらの動きに対応するため,富士通は,ICカードのマルチアプリケーション化に対応するICカード運用管理システム関連サービスや,ICカードを使ったPKIなどのソリューションを提供している。さらに富士通では政府の電子調達や電子申請などに不可欠となる,特定認証業務に対応するICカード発行システムを構築し,日本商工会議所様と連携して電子証明書入りICカードを発行するサービスを進めている。
本稿では,これらICカードの動向・お客様ニーズに沿った富士通の対応について紹介する。具体的なソリューション事例として,自治体様におけるパソコンセキュリティ導入事例,東京工科大学様のICカードシステム導入事例も紹介する。

沼田 英司,吉田 正,増田 数馬

著者は,ナビゲーションの高度化をテーマにクルマへの情報提供サービスを行う「テレマティクス」システム構築を支援してきた。今後のテレマティクスは,従来のサービスの高度化とセーフティ系のサービスが拡大すると予想している。このようなサービスを提供できるようにするため,クルマが自律性を高め,そして外部と連携したサービスを効果的に利用するために必要となるミドルウェアを開発した。このミドルウェアは,クルマの中の人とのコミュニケーションをサポートする機能,サービス・コンテンツの提供されるインフラをサポートする機能,移動体としてのクルマと外部を結ぶ通信機能から構成される。
本稿では,これらの機能を実現するミドルウェア技術の概要について紹介する。

廣川 幸男

事例 -産業に浸透するユビキタス技術

現在,一度に大量の貨物を長距離輸送する内航海運(フェリー,RORO船)は,トラック輸送と比較してCO2排出量などの環境問題や交通渋滞の慢性化,騒音などの問題を解決する手段として注目されており,その輸送効率化が求められている。内航海運においてはシャーシが主に使用されていることから,シャーシ運搬の効率化が必要であり,その手段の一つとして,フェリーターミナルにおけるシャーシの「港内車両情報」「駐車位置情報」を,RFID(Radio Frequency Identification)を用いて自動的に取得する,駐車シャーシ検知システムが有効だと考える。
本稿では,フェリーターミナルにおける物流の効率化についてRFID技術の有効性を示し,今後の実用化に対するモデルを示した実証実験について述べる。

小見山 浩一,菅野 展行,早川 誠

ユビキタス技術の目的は,パソコンとインターネットが目指した,サーバに依存しない民主的なIT社会の実現である。本稿では,この考えに基づき,今後の重要なサービス形態である「街角や自宅でお客様をサポートするリコメンドサービス」のアーキテクチャを紹介する。つぎに,アーキテクチャを支える「Active RFIDを用いた位置検知技術」として,位置検知精度を柔軟に設定可能な方式を提案して評価し,本方式が広域屋内の位置検出方法として有効なことを示す。さらに,本アーキテクチャを大規模商店街の情報配信サービスに適用した実証実験を報告する。この実験の結果,位置に依存したクーポン付き広告は購買行動への誘発が可能であり,バリアフリー情報は視覚障害者への歩行補助として有効であることが分かった。今後,位置検知システムはユビキタスの様々なサービスとの連帯が期待され,また,本アーキテクチャはホームヘルスケア事業での実証実験も予定されている。

貝沼 達也,川島 和也

長引くデフレ環境の中においては,売上を増やすための販売員の営業力強化が求められている。モバイルナレッジfor youコンサルティングは,情報,ノウハウといった社内の知的資産の活用によって売上増を実現する仕組みをPocket PCなどのモバイル端末を利用して構築するサービスであり,全国の営業担当者や販売員に対し,本部側や現場側のナレッジをタイムリに,スピーディに伝達する戦略的な営業サポートシステムの構築を支援する。導入に先立って行うコンサルティングは,現行の販売業務分析から始まり,戦略立案・実施計画策定まで行う。また導入後はお客様にとって使いやすく,分かりやすい,投資対効果に見合ったシステムの構築を目指す。
本稿では,カネボウ株式会社様の導入事例を中心に,適用した最新技術,実現効果,コンサルティングの内容と特徴について述べる。

渡辺 光好,今村 健

昨今,企業経営の視点から,これまでのワークスタイルを見直し,生産性の向上や経営のスピードアップに結びつけようとする企業ニーズが高まっており,とくにオフィスビルの新築・移転を契機とした動きが顕著になっている。富士通では,新設した拠点「富士通ソリューションスクエア」の企画段階から,そこで働く人と最新のIT,および新しいオフィス環境をいかに融合させ,新しいワークスタイルを構築・実践するかについて,様々な角度から検討を行ってきた。新拠点では場所にとらわれないコミュニケーション,容易な情報共有など,ユビキタス時代のオフィスに求められる一つ一つが,具体的な形となって生かされている。本稿では,最初にユビキタス時代のオフィスのあり方や重視すべき点を述べ,つぎに「富士通ソリューションスクエア」で装備されているITが,実際にどのようなシーンで適用されているか,その代表的な事例について紹介する。

垣内 良規,本田 洋介,和田 治

ユビキタスを支える技術

ユビキタスの世界では,実体である物と情報との連携を行うICタグに代表されるように,リアルの世界と仮想世界の情報の連携がより強く行われるようになり,ユーザが能動的に仮想世界に入ることなく,「いつでも,どこでも」リアルの世界で日常の行動に対して,「気が利く」ITの享受が可能となる。気が利くとは,ユーザ自身も気付かない潜在的要望を満足させることであり,現場状況の把握,過去の事例の蓄積・分析によるそのユーザの特性の理解,スケジュール情報による行動の把握,すべてを覚えられない人間の記憶の補完,個人の経験だけでなく大勢の人の経験に基づく分析などにより実現できる機能である。
本稿では,いつでも,どこでも気が利くITを享受することを可能とするユビキタスシステムに関して,情報収集・提示,ネットワーク,情報蓄積・分析の3フェーズにおける要素技術の概要と,各要素技術の関連について述べる。

山澤 昌夫,尾崎 暢

当初,スケジュール・アドレス帳といった個人情報を管理するためのツールとして開発されたPDAも,通信機能の高度化・データ処理機能の向上・Windowsとの親和性の向上が相まって,ユビキタス環境での情報ツールとしての用途が広がってきている。ここでの用途では,画面の解像度が低いことが従来のPDAにおいて最大の問題であった。富士通はこの問題を解決するとともに携帯性を高めた高解像度PDAを開発し,ユビキタス新端末として提供を開始した。
本稿では,高解像度PDA“Pocket LOOX v70(FLXV7)”の主な特徴を紹介する。

大野 秀浩,佐藤 裕一

携帯電話は,音声通話から,今日ではメールや情報サービスの利用だけでなく,メガピクセルカメラ機能の搭載など,目覚しい進化を遂げている。さらに,いつでも,どこでも利用できる携帯電話は,本格的なユビキタス社会においては,重要な役割を担うとされている。
富士通はNTTドコモ向け携帯電話機(「mova」,「FOMA」)の開発を行っており,携帯電話のユビキタスを実現する,「iモード」,「iアプリ」,GPS,歩数計などを他社に先駆けて開発してきた。
本稿では,ユビキタス社会における携帯電話の位置付けを明らかにし,それに基づく商品展開事例を紹介する。

菊池 美佐男

ユビキタスコンピューティングの進展に伴い,これまでの企業中心のITサービスから一般市民を含むユーザセントリックなサービスにシフトしていく。これにより,一般市民の生活の場でも快適にITを享受できる社会が実現される。著者らは,このユーザセントリックな社会を“.u”社会と呼んでいる。“.u”社会でITを快適に享受するためには,様々な状況で快適なユーザインタフェースを提供する必要があり,「いつでも,どこでも,だれでも」アクセス可能な端末の技術が非常に重要となる。
本稿では,“.u”社会のITに求められる端末の要件,およびその要件に基づき試作したポケッタブルな高機能ユビキタス端末“.u Pocket”に関して述べる。さらに,今後の“.u”社会で重要な,紙を代替する電子ペーパーの技術,および電池を長持ちさせ,かつ充電の必要がないマイクロ燃料電池の技術についても述べる。

山田 浩,猿渡 紀男,尾崎 暢

来たるべきユビキタス社会に向けて,最も人間やものに近い部分でキーデバイスとして必要とされるのが,LSIチップである。また,従来からRFIDタグやスマートカード用の不揮発性メモリとして主に使用されてきたのは,EEPROMであり,利便性の高いユビキタス社会の実現には,不揮発性メモリの分野でもう一段の技術的革新が必要と考える。富士通では,世界に先駆けてFRAMの商用量産化を実現し,十分な実績を積んでおり,これらの経験を踏まえて微細化・高速化されたLSIチップを開発・提供している。
本稿では,FRAM技術をコアとしたRFIDタグやスマートカード用LSIチップの現状と将来像について記述する。

植竹 光夫,長井 英一,笛木 俊介

ユビキタス社会を支えるRFIDタグと関連機器の需要はますます高まりつつある。富士通フロンテックは,この需要に応えるため,RFIDタグ用リーダライタ(RW),ハンドヘルドターミナル(HHT)のラインナップを充実させ,各種システムへの適用を柔軟に容易に実現することを可能とした。RFIDタグリーダライタとしてショートレンジRW,ミッドレンジRW,ロングレンジRWを,またハンドヘルドターミナルとしてRFIDタグRW付MPI(Mobile Pockt Imager),ループアンテナ付MPIをそれぞれ整備した。
本稿では,これらRFIDタグ関連機器とシステム適用例,および今後の課題について述べる。

橋本 繁,山本 浩憲,杉村 吉康

今日まで,テレコムサービスに代表される通信系サービスは,キャリアやベンダに大きく依存していた。そのため,オープン化が進んでおらず,情報系サービスとの密な連携はほとんど見られなかった。しかし,これからのユビキタス社会では,利用者が通信系や情報系を意識することなく,様々なサービスをシームレスに利用できることが求められてくる。このような状況の中,情報系サービスではWebサービス化の動きが急速に進んでおり,通信系サービスにおいても,近年,The Parlay GroupによるオープンAPI化や,Webサービス化などの動きが出てきており,通信系と情報系が融合できる環境が整い始めた。
本稿では,これら通信系サービスの現状とオープンAPI化の動向を述べた後で,通信系サービスと情報系サービスを連携するための仕組みを説明し,さらに,その連携によって実現できるソリューションを紹介する。

松本 達郎,鈴木 裕美,松崎 祐

ユビキタス社会は,ITが社会の隅々にまで浸透し,データがあらゆる場所で発生する社会でもある。これらのデータを蓄積し管理することができれば,ビジネスの観点からも,あるいは社会のセキュリティという点からも大きな意義を持つだろう。しかし,ペタバイト級のデータが蓄積されてくると,その蓄積・管理は簡単ではない。
本稿では,まず大量データの蓄積・管理の課題について触れ,その課題を解決するためにはデータに自律性を与えることが重要であることについて述べる。また,実際にデータに自律性を与え,ペタバイト級のデータを蓄積・管理するためのアーキテクチャとして研究開発を進めているオーガニックストレージシステムについてその概要を説明する。

武 理一郎

「状態」や「存在」を意味する「プレゼンス」。そしてその変化をキャッチして次のプロセスの実行を促すのが「プレゼンスサービス」である。プレゼンスサービスが対象とするのは,モノや人,情報,あるいは機器・装置(パソコンやコンピュータ,家電なども含まれる)などであり,これらの状態の変化をもとに,リアルタイムなサービスを提供するものである。例えば,通信手段をとってみても,内線電話,携帯電話,ソフトフォン,PoC(Push-to-talk over Cellular),あるいはメールなど,企業内個人が使える手段が多様化してきている。呼び出す側に,相手の現在の状況やそのときに最適な受信手段が分かれば,通信の無駄をなくすことができる。プレゼンスサービスを企業業務の基盤に適用した場合,従来のEJB型開発に比べて,大幅な開発期間短縮とコストダウンが可能になる。本稿では,富士通のプレゼンスサービス基盤“FLAIRINC”による企業業務への適用に関しても事例を交えて紹介する。

塚原 哲矢

ユーザのやりたいこととしての「タスク」と実行可能な機能としての「サービス」の間のギャップを埋める技術であるTask Computingを紹介する。
ユーザのコンピューティング環境の変化を三つの段階,パソコン環境,モバイル環境,ユビキタス環境としてとらえる。到来しつつあるユビキタス環境においては,「今,ここで」の機能を「サービス」として動的に発見し,ほかのサービスとともにユーザの「タスク」に構成することが最重要であり,それを可能とする技術がTask Computingである。
本稿では,Task Computingのアーキテクチャ,その技術要素であるサービス発見,合成,実行,生成,管理,およびユビキタス環境でのシナリオのTask Computingによる実現などについて解説する。

益岡 竜介,湯原 雅信

ユビキタス社会が本格化すると,現在では取得が困難な情報を含め,大量かつ多種多様な情報が先進的なユビキタスデバイスを通じて獲得されて計算機処理の対象となる。この情報を「どのように安全に管理するか」,「どのように分析するか」,そして分析の結果から「どのようなサービスを提供するか」が今後のビジネスの大きな課題である。富士通研究所は,ユビキタス技術を適用した新しいソリューションの一例として,店舗販売を行う販売員の活動支援をターゲットとした,リアルタイムSFAソリューションのプロトタイプを構築した。
本稿では,バイオ認証技術やRFIDを使用した本人認証による安全な情報管理の実現,店舗での事象を自動的にとらえ,適切なタイミングで情報の提供と獲得を行う方法,状況に合わせてリアルタイムに分析を行う技術など,ソリューションの概要を説明する。

安藤 剛寿,佐藤 陽,岡本 青史

今後のユビキタス技術の発達により実世界でのIT活用を拡大するには,実世界環境でITと人間をつなぐインタフェース技術が重要である。携帯端末では,片手で操作可能な効率良い入力方式が期待されており,車や家庭環境では,ハンズフリー・マニュアルなしで操作できる音声インタフェースの実用化が期待されている。また,ユビキタスの応用では目的と環境に応じて様々なインタフェース技術を有機的に選択・組み合わせることが必要であり,このためにユーザビリティの視点から適切なインタフェース設計を行う基準やガイドライン作成が重要になる。本稿では,富士通研究所が開発している業界トップの認識性能を誇るペン入力手書き認識技術と,自然で多様な音声表現が可能な音声合成技術,利用者の習熟度や状況に応じて複数のサービスとの対話を自律的に制御できる自律適応型の音声対話制御技術を紹介し,最後にユーザビリティの重要性についても述べる。

石垣 一司,佐々木 繁

一般

富士通には数多くのグローバルプロジェクトの経験がある。その中でも世界的に類のない,貴重な日本発グローバルプロジェクトの経験がある。その代表例が,国内医薬品企業のグローバル研究開発システム構築のプロジェクトである。国内医薬品企業は,急速なグローバル化の波にさらされ,海外のメガ企業との世界的な市場での熾烈な企業間競争が始まっている。その国内医薬品企業のグローバル化戦略の一環であるグローバル研究開発システム構築プロジェクトでは,欧米のメガ企業と形態の異なった日本発グローバルプロジェクトに挑戦している。しかし,そのグローバルプロジェクトには越えなければならない大きな壁がある。それは,「文化的差異」と「時差と距離」が引き起こす「コミュニケーション問題」である。本稿では,医薬品企業のグローバル研究開発システム構築プロジェクトでのグローバルプロジェクトマネジメントの実践について述べる。

草場 茂喜


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