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Fujitsu

Japan

業務遂行とコスト削減の両立で継続的に自治体行政をサポートする住民情報ソリューション

富士通ジャーナル(2010年8月2日掲載)より転載

左から 小林 峰德、櫻井 孝、久保山 隆路 の写真

写真左から 小林 峰德、櫻井 孝、久保山 隆路

国庫補助金削減や税収の減少、それとは逆に増え続ける社会保障費など、地方自治体を取り巻く状況は一層厳しさを増している。そのような環境下で、ICTへのニーズも大きく変化してきており、TCO(総保有コスト)の削減が重要な課題となっている。

こうしたなか、富士通は「標準システム」「利用するシステム」「成長・継続するシステム」という3つのコンセプトのもとに、MICJETシリーズとして、 クラウド・コンピューティングを見据えた新住民情報ソリューション「MICJET MISALIO(ミックジェット ミサリオ)」を2010年4月のサービス開始とともに、3団体同時稼働させた。人口10万人未満の自治体向けに、短期間導入の実現、従来製品に比較して年 間で最大30%のTCOの削減を可能にしたソフトウェアだ。

プロジェクトの企画・開発の遂行にあたった自治体ソリューション事業本部の櫻井孝、久保山隆路、小林峰德に話を聞いた。

自治体が安心して導入できる住民情報システムの開発をめざす

自治体ソリューション事業本部 ソリューション推進部 担当課長 久保山 隆路 の写真

自治体ソリューション事業本部
ソリューション推進部
担当課長 久保山 隆路

地方財政はほぼ例外なく逼迫している、と久保山はいう。

「景気の低迷や働く世代の減少により税収が減る一方、介護保険など高齢化へ対応する拠出金は増加しています。加えて、リーマンショック後の不況で生活保護などの社会保障費も増加しており、地方自治体の財政はますます厳しい状況下にあります。だからといって、住民サービスをおろそかにすることはできませんし、度重なる制度改正で実務が増加傾向にもあります。公的機関としての業務遂行とコスト削減の両立は、ほとんどの自治体が直面している切実な課題なのです。」

そして久保山は、そうした厳しい状況のなかでは、良きにつけ悪しきにつけICT予算、ICT活用が議論の的になるという。

「コスト削減のためにICTを利活用するという考え方が常識になってきた一方で、そのICT予算すらも削減の対象になっているというのが、いまの自治体の現状です。少ない予算で高い効果をもたらす、それが現在求められるICT像だといえます。予算削減で職員も減少している実情を考えれば、自治体業務全体の見直しとそれにともなうICTの効果的利活用が重要です。」

財政状況の厳しさをマイナスととらえずに、富士通の自治体ソリューションの新たな糸口とすべきだ、と櫻井はいう。

「ブランドの価値が珍重されつつも、手軽に流行のファッションを取り入れられるファストファッションが隆盛するように、時代が変わり社会情勢が変われば、お客様が求めるICT像に変化が現れるのは当然です。顧客満足度を軸にして考えれば、以前はパッケージソフトウェア導入においても、できるだけお客様の業務特性に基づいたカスタマイズをおこなって納入していましたが、近年、自治体のお客様が求めるのはコスト削減と導入スピード、効率化です。今回のパッケージソフトウェア開発においても、私たちはそこに焦点をしぼりました。」

ただし効率化といっても、公的機関として自治体が担う業務の責任は重い、と櫻井は続ける。

「100万人都市と10万人都市を比較しても、住民へ提供するサービス内容が極端に変わることはありません。人口の少ない自治体では予算も少なく、職員一人当たりの業務負担は大きくなるともいえます。現在、人口10万人未満の自治体は全国市区町村1750団体の約8割にあたります。それらの自治体ニーズに合致したソリューションを提供できれば、日本における自治体行政の多くをサポートすることが可能になります。私たちはそこを目標としました。それが住民情報ソリューション「MICJET MISALIO」です。厳しい状況下だからこそ、まず、最も業務負担が大きいと思われる自治体へ向け、現場負担を軽減し、業務の効率化を支援するパッケージソフトウェアを商品化したのです。」

お客様ニーズに対応しながら成長するパッケージソフトウェア「MICJET MISALIO」

富士通が住民情報システムに取り組み始めたのは1965年。東京都中野区で住民マスタ第1号が稼働した。東京都23区役所の担当を務めていた久保山はいう。

「自治体様向けのソリューションシステムに関して富士通は半世紀近くの実績があります。その歴史のなかで、お客様ニーズにより担当地域が細分化しました。富士通は主に大都市圏を中心にソリューションを提供し、グループ会社がそれぞれの地域ニーズを反映したソリューションを提供する棲み分けがされたのです。しかし、コスト削減の対応策としてパッケージソフトウェアのニーズが高まってくると、グループ内各社それぞれが別々にパッケージソフトウェア開発をするのは非常に非効率な状況になりました。」

自治体ソリューション事業本部 第三ビジネス部 プロジェクト部長 櫻井 孝 の写真

自治体ソリューション事業本部
第三ビジネス部
プロジェクト部長 櫻井 孝

そこで、櫻井が勤めていた富士通東北システムズなどグループ会社およびパートナー会社9社が参画し、「全国区」の小都市向けパッケージソフトウェアを作るというプロジェクトがスタートした。櫻井はいう。

「全国にまたがる9社の多岐にわたるシステム開発経験者の意見を統合していきました。それによって、それぞれの地域特性や要望をできるだけ標準化し、より現場ニーズをとらえた最大公約数的なパッケージソフトウェアを開発することができたと思います。」

MICJET MISALIO開発のコンセプトを固める上で大いに参考になったのが、電子カルテシステムでトップクラスのシェアを誇るHOPE/EGMAINだと櫻井はいう。

「各病院様の特徴は多種多様だと思いますが、HOPE/EGMAINはノンカスタマイズでパッケージを導入しています。カルテも住民情報も個人情報ですし、セキュリティを含めどう情報化するか、コスト削減や業務改善とどうつなげるかという点において相似していますので、医療業界でできるのならば、自治体にも必ず応用できるはずだと考えました。

パッケージ化したMICJET MISALIOでは、従来お客様が担っていた運用管理やメンテナンスといった領域の負担を軽減しますので、お客様は本来の業務に人材を集中することができます。標準化に対応するために業務の見直しをしていただく場合もありますが、MICJET MISALIOには各種パラメタ設定や豊富な帳票サンプルのメニューなどを揃えておりますので、スムーズに短期間で導入できます。」

しかし、優れたパッケージソフトウェアを開発するためのハードルは高い。MICJET MISALIO納入第1号となる淡路市(兵庫県)様を担当した小林はいう。

「最大公約数を導きだすためには優先順位が大切で、今回ターゲットにしている10万人未満都市の自治体で優先される事柄は何かを把握することが重要です。データ処理を例にとれば、大きな自治体では大量データを迅速で正確に処理できることが求められますが、10万人未満都市の場合は、データの即時性が重要視されます。これは、住民と対話しながら、その場でデータを確認するケースが多いためで、こうした特性をきちんと理解することが必要です。」

そして、こうした最大公約数的なパッケージソフトウェアを維持するためには、現場からの意見を吸い上げる仕組みが必要だと小林は続ける。
「MICJET MISALIOでは、全国各地域のお客様窓口を介して意見を伺い、集約し、サービスの向上へ連携させるSMO(ソリューション・マネージメント・オフィス)という組織を新たに作りました。MICJET MISALIOは、お客様の意見を取り入れながら成長し続けるソリューションなのです。」

変化に対応しながら長期にわたりサポートし続ける。そこに富士通のミッションがある

自治体のあり方、そして自治体ソリューションをサポートする富士通の開発体制、ともにそこに浮かんでくるキーワードは継続だ。今回のプロジェクトにおいて、それを痛感したと櫻井はいう。

「MICJETは、従来、共通基盤、住民記録、税務情報、児童福祉と機能ごとに4つのチームによって開発されていたのですが、今回MICJET MISALIOのパッケージ化にあたり、組織横断的にプロジェクトを進めることになりました。当初は用語の使い方や仕事の進め方についてチーム間の調整をする必要がありましたが、やはり継続して開発・提供してきたソフトウェアなので、同じ意識のもと、短期間で統一化し、結果的にはどの機能も扱いやすいオールインワンパッケージに仕上がりました。」

そして、継続はお客様と富士通の関係においても同様だと櫻井は続ける。

「税収の減少などにより、ヒト・モノ・カネという自治体の運営資源が少なくなっている今日、自治体の継続のためには、組織運営や予算配分の見直しが必須であり、国が進める制度改正にもすぐに対応する必要があります。そんな環境下で富士通が提供するソリューションはどうあるべきなのか、どのような方法がふさわしいのかを、変化に対応しながら考え続け、お客様に提案し続けることが、これからますます重要になるのではないかと思います。」

自治体ソリューション事業本部 第三ビジネス部 プロジェクト課長 小林 峰德 の写真

自治体ソリューション事業本部
第三ビジネス部
プロジェクト課長 小林 峰德

もちろん、信頼があってこそ継続が成立する、と小林はいう。

「富士通が長年にわたり継続的に自治体様向けのソリューションを提供してきたことによって、お客様から信頼いただくようになりましたが、こういう信頼をひとつひとつ積み重ねていくことが大事なことだと思っています。

経済状況や社会構造の変化にあわせ、国の制度改正も頻繁になり、財政状況も厳しさを増すなか、MICJET MISALIOは10年間の長期保証をおこないます。制度改正に対処し、常にプログラムの更新を継続しながら長期にわたり保証を継続していきます。自治体という継続しなければならない公的業務に対して、私たちはICTという側面から支援いたします。」

久保山はMICJET MISALIOを多くのお客様に安心してご利用いただけるソリューションにしたいと語る。

「たとえば全体的に必要な機能が揃ったソフトウェアだとしても、それだけではお客様は満足いただけないと思います。自治体という公的使命を担う組織で使っていただくため継続的なサポートが提供できるという信頼が最も大切だと思います。もちろん、富士通は企業ですから利益を上げることが必要ですが、それ以上に、日本を代表するベンダーとして、国全体にかかわる重要な業務に対して継続してサポートする責務があると思います。

自治体システムに関しては今後、集約化や共同利用、さらにクラウド化が進むことになると思いますが、どうすればお客様である自治体の方、その先にいる住民の方に信頼していただけるソリューションとなるのか、それを考え続けながらサービス提供をしていきたいと思っています。」

変化する自治体行政を継続的にサポートし続けるMICJET MISALIO。10万人未満都市での導入実績を積んだ後は10万人以上の自治体向けにもノンカスタマイズのパッケージソフトウェアを展開していく予定だという。住民情報ソリューションの提供において歴史を持つ富士通が、さらに新たな継続的取り組みに踏み出した。

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