世田谷区様 住民情報システムMICJET 導入事例
地方自治体が担う住民サービス。そのクオリティを高めるのは、正確さ、スピードです。20年前から、高品質の住民サービスに取り組んできた世田谷区はパッケージシステムを導入。レガシーシステムの安定性を継承し、法改正に確実、スピーディーに対応する住民情報システムを構築しました。
[ 2010年11月26日掲載 ]
概要 | |
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業種: | 地方自治体(東京都特別区) |
ソリューション: | 住民情報ソリューション |
製品: | 住民情報パッケージMICJET、PRIMEQUEST 580、ETERNUS、PRIMERGY |
2006年6月、住民情報系新システムの選定作業に入った世田谷区は、人口30万人以上の自治体での導入実績、高信頼性、低いカスタマイズ比率を条件に、各ベンダーのパッケージを評価。富士通の住民情報パッケージシステムの採用を決定しました。スムーズな導入、稼働開始から1年10ヵ月ノートラブルの実績を支えたのは、導入時の徹底した協力態勢でした。
課題と効果 | ||
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1. ホストシステムの旧式化にともない、専用端末やプリンタの増設が困難になっていた | システムのオープン化により、専用端末上の操作がパソコンに移行。ユーザー数の増減に柔軟に対応する環境が実現 | |
2. 度重なる国保関連の法律改正、多様化する医療福祉関連の法律制定・改正に対応するシステム改修が複雑化を極め、作業負荷が高まっていた | 法改正に対応したパッケージシステムの導入により、改修作業が迅速で確実に | |
3. 住民系基幹処理は専用端末、内部事務処理はパソコンで処理していたため業務が煩雑だった | 住民系基幹処理、内部事務処理ともにパソコン上に集約し業務効率が向上 |
東京23区の西南端に位置する世田谷区は、都区内において面積で第2位、そして約84万人の人口と、約44万の世帯数はともに都区内第1位で、人口は1996年以降増加傾向をたどっています。
人口規模では政令指定都市なみ、広い面積の同区では、区役所を訪れるために1時間を要する区民も少なくありません。そのため同区は、区内を5地域に分けて総合支所をおき、さらに各支所管内に合計10箇所の出張所系窓口を設け、役割を分担し連携。区民がそれぞれの在住地の近くで、転入・転出、印鑑登録手続きや各種証明書発行サービスなどを受けられるようにしています。
また1989年(平成元年)には、窓口サービス改善策として、各出張所においてホストシステムを活用したワンストップサービスをいち早くスタートさせ、住民の立場に立ったサービスを提供してきました。
ホストシステムは20年以上にわたり、安定して稼働し続けてきました。しかし近年、いくつかの問題がでていました。その1つは、20年前に設計された専用端末画面のデザインや操作法です。当初、一部の職員が操作していた頃は問題ありませんでしたが、最近では、より多くの職員に使いやすいデザイン、操作のしやすさが求められるようになりました。
また、住民系基幹処理は専用端末で、内部事務はパソコンで行っていたため、業務処理が煩雑化していました。さらに、専用端末やプリンタも旧式化し、修理や増設が困難という問題も抱えていました。しかし、なによりも大きな問題は、新たな医療福祉制度の制定や度重なる法改正に対応するためのシステム改修が、次第に難しくなってきたことでした。
世田谷区政策経営部情報政策課長の栗原康夫氏はこう述べています。「国保の改正、介護保険や後期高齢医療制度の創設などが相次ぎ、これらに応じてシステムに手を入れる作業の負荷が高まっていました。将来を見据えてオープン化、パッケージ化に切り替えるべく、新システム導入の検討を始めたのです」
2006年6月、住民情報系新システムの選定作業に入った同区は、人口30万人以上の自治体で5システム以上の稼働実績があることを条件に、4ベンダーのパッケージについて検討を重ねました。評価のポイントは、第一にシステム障害による停止がないこと。バグによる間違いを出来る限り減らしていける技術力、そして多様な機能を実装し、カスタマイズ比率を最小限にとどめられるかどうかに置かれました。
とりわけカスタマイズ比率は、導入コストに影響するため、徹底した評価がなされました。まずシステムを利用し業務を所管する11の課から、どのような機能を必要とするかのリストが提出されました。要件項目は1500近く。これらの機能について、各ベンダーのパッケージが実装しているかいないか評価を行った結果、もっともカスタマイズ率の低いシステムが、富士通の住民情報パッケージ「MICJET」でした。導入経費の見積もりを併せて勘案した結果、最有力候補とされたのです。
同パッケージシステムが高く評価された理由について、栗原氏は次のように述べています。「カスタマイズ率が低かったことと並んで、国保一筋、あるいは介護保険に精通した担当SEの業務内容や法制度への理解度は、所管課のそれを上回るレベル。国の施策がどう動いているかもよく理解しているので、本当に安心して任せられるベンダーは富士通だけでした」
2006年7月からスタートした導入作業は、2009年1月5日の本格稼働を目指して進められました。約2年半にわたる導入作業で、大きな山場となったのはカスタマイズをどのように扱っていくかでした。
作業ではまず、富士通側が「MICJET」の機能を詳しく説明し、その上で各所管が優先度の高い順にカスタマイズ項目をリストアップ。要件項目は約900に上りました。それから3ヵ月をめどに、検討作業が始まり、最終的には要望の半数を取り入れました。これはプログラム全体の30パーセント弱にあたります。
栗原氏はカスタマイズの難しさについて、こう語ります。「人口の多い世田谷区では、例えば国保保険証の返戻が2万件近くに上るので、システムで処理しないと事務が回りません。カスタマイズをただ押さえ込むのでなく、本当に必要かどうかを見極めることが必要です。そのためには、正確で緻密なベンダーの情報提供力が重要なのです。富士通は、1つ1つの項目についてカスタマイズ時の工数はどうなるか。カスタマイズしない場合、業務にかかる手間はどうなるかなどのデータ、選択肢を、丹念に提示してくれました。その結果をもとにカスタマイズが必要か考えることができたので、正しい判断ができました」(栗原氏)。
世田谷区の場合、区民は増加を続けていますが、ここ10年、職員数は毎年100人減少を続け、合計1000人程度減っています。新システムが稼働を始め、すでに1年10ヵ月が経過しました。その間、システムに関する大きなトラブルはほとんどありません。新システムが、今後も事務コスト削減に貢献していくことは明らかです。
目に見える導入効果は、業務処理の効率化と、台帳類のデータが電子化されたことです。専用端末で行っていた住民情報の処理は、パソコンに移行し、内部業務処理と一元化され、業務効率は大幅に向上しました。また、新システム導入前、各主管課には、大量の台帳を収納したロッカーが所狭しと並んでいましたが、今は整理され、住民からの問い合わせに対しても画面を見ながら即答できるようになりました。
そして、もっとも大きな導入効果が法改正制度への万全な対応です。栗原氏は次のように述べています。「大きな法改正が続いていますし、今後も住基法改正作業が控えています。もしもホストシステムを使い続けていたなら、立ちゆかなくなっていただろうと思います。システムの安定性もさることながら、法改正に精通した富士通のパッケージを利用できるという安心感こそ、導入によるメリットです」
富士通はこれからも、自治体の情報化を進化させるシステムの開発に取り組んでまいります。
所在地 | 東京都世田谷区世田谷4-21-27 |
代表者 | 世田谷区長 熊本 哲之 |
人口 | 835,810人(435,247世帯)(2010年10月1日現在) |
外国人登録人口 | 16,292人 |
ホームページ | http://www.city.setagaya.tokyo.jp/ |
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