度重なる法改正へのシステム改修に係わる職員負荷とITコストの削減、業務運用の効率化を目指して「MICJET MISALIO 住民情報ソリューション」を3年前に導入、運用されている黒石市様を訪問。システム選定のポイント、総合パッケージである標準システムの導入にあたり、業務効率化の観点から実施した運用の見直し・システム統合など新システム選定当時のお話から、現在検討を進められている基幹システムのクラウド化への取り組みまで詳しくお聞きしました。
[ 2015年8月31日掲載 ]
業種 | 地方自治体 |
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ソリューション | 住民情報ソリューション |
製品 | MICJET MISALIO 住民情報ソリューション |
青森県のほぼ中央に位置する人口約3万5千人の黒石市様は、財政の健全化や持続可能な行政運営を目指し行財政改革に積極的に取り組んでいます。
ホストコンピュータから標準パッケージを活用した新基幹システムへと刷新したのも、聖域なき行財政改革を推進する同市の取り組みの一環でした。
「MICJET MISALIO住民情報ソリューション」の導入により、2012年の住民基本台帳法改正対応もパッケージの利用料内での対応となり、保守コストの大幅な削減を実現するとともに、大きなトラブルもなく安定した運用を実現されています。
安定稼働を実感いただいている現在は、2015年10月に施行される番号制度への対応や、さらなるコスト削減と事業継続性に向けクラウド化の検討を精力的に進めておられます。
1 | 住民サービスの質を落とすことなく、限られた市の財源の中で確実に法改正対応を実現したい |
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利用料方式の標準システム導入により、住民基本台帳法改正をはじめ、度重なる法制度改正対応や市民サービス向上に向けた機能強化など、最新のサービスを一定料金の中で利用できるようになった |
2 | 庁内システム全体の最適化を図り、業務効率の向上と職員負荷の軽減を実現したい |
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総合パッケージの採用により、複数に分かれていたシステムをMICJET MISALIOに統合、スムーズなデータ連携が可能になった |
3 | さらなるコスト削減と事業継続性の向上を目指し、クラウド化や共同利用などを検討していきたい |
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MICJET MISALIOは青森県内での導入実績も多いため、黒石市をはじめ県内のMICJET MISALIOユーザー同士でユーザー会を開催。クラウド化や共同利用検討など有益な情報交換ができている |
黒石市 総務部 総務課 情報係
係長 工藤 康仁 氏
検討を開始したのは2010年頃でした。ホストコンピュータによる従来システムは黒石市の運用に合わせた使いやすいシステムでしたが、法制度改正が頻発する中、システム改修に係わる職員負荷と改修費の負担が年々大きくなっていました。また、黒石市では、集合税方式を採用していたため、ほとんど毎年行われる税制改正に伴うシステム対応については独自の大幅改修が必要で、特に税システムのコスト面において重要な課題を抱えていました。さらに、業務ごとに複数に分かれたシステムの運用負荷とデータの一元化も課題でした。
事務事業の民間委託、職員数の削減など行政のスリム化を推進している中、システムの効率化やコスト削減は必須です。住民サービスの質を落とすことなく、限られた市の財源の中で確実に法改正対応を実現し業務効率化を図るため、利用料方式のパッケージ型標準システムの導入を検討することになりました。
黒石市 総務部 総務課 情報係
主査 大平 清紀 氏
ちょうど住民基本台帳法改正が控えている時期でしたので、法改正に確実に対応できる安心のシステムとサポート力のあるベンダーであることを特に重視しました。選定プロセスにおいては、全業務の担当者が複数ベンダーのシステムデモを通じて、各ベンダーがパッケージ標準で用意している機能の比較とSE力をしっかりと見て評価しました。
全業務の担当者がつけた機能面とサポート面での評価点にコストの観点を加えた総合評価で、最も高得点であった富士通を採用することに決まりました。またMICJET MISALIOの青森県内での導入実績の多さも決め手になりました。青森県独自の運用への理解や、データ移行などのノウハウを多く蓄積している点で安心感がありました。
パッケージ型標準システムの採用に合わせ、これまでの集合税方式を廃止し、地方税法に基づく全国標準の単税方式に切り替えることを決定しました。MICJET MISALIOも全国標準の単税方式を採用したシステムですので、パッケージの標準機能で税制改正に対応できるようになり、現在は税システムの改修負担を大幅に低減できています。当時は、単税方式に切り替えることは大きな決断でしたが、度重なる法制度改正対応で、近年では多くの自治体がパッケージ型標準システムを採用するようになってきています。そして自治体による基幹システムのクラウド共同利用など、今後のトレンドを考えると、多くの自治体で採用している単税方式に切り替えたことは肝要だったと感じます。
ノンカスタマイズで何ができるのかを明確にするため、RFPは詳細に記述することなく、例えば「こういう帳票がつくれること」などアウトラインだけにしました。
導入コストや維持費を削減するために、パッケージの標準機能をそのまま使って業務を標準化することを徹底しました。
システム検討時から何回も検討部会を開き、コスト削減など標準システムの活用やノンカスタマイズの目的について理解を求めました。また最終的に仕様を決める段階では、各業務の打ち合わせに必ず情報係のスタッフが立ち会い、意識の共有に努めました。
2011年3月、MICJET MISALIOの採用が決まった後は、富士通にも同席してもらい各主管課の担当者と膝詰めで説明を行いました。
例えば「いままでのこれはどうなるの?」といった各主管課からの質問に対し、富士通からも答えていただきました。黒石市の業務や運用をよく理解した富士通のきめ細かい対応は、新システム導入に対する各担当者の疑問や不安の解消につながりました。
住民基本台帳法改正への対応は、MICJET MISALIOのシステム機能で問題なく対応できました。また富士通の黒石市担当SE、営業、パッケージ開発部隊間で施行日に合わせ、緊密な連携のもとでしっかりとした準備を行っており、何かあってもすぐに対応してもらえる体制となっていました。大きなトラブルもなく無事に作業は完了しましたが、すぐにサポートしてもらえるという安心感は心強かったです。
またシステム改修のコスト面の大きな効果も実感しました。住民基本台帳法改正という大きな法改正でしたが、MICJET MISALIOの場合はパッケージの利用料内での対応でしたから、大幅なコスト削減につながりました。
ホストコンピュータに慣れていた各主管課に対しては、導入前はもとより、 導入後も標準システムの活用・ノンカスタマイズへの理解を求めるために、繰り返し説明を行いました。導入1年後、どうしても必要と考えられるカスタマイズについて数件対応しましたが、その翌年からは各主管課からの要望もなくカスタマイズはしていません。各担当者が新システムを使いこなしていることに加え、標準システムの活用・ノンカスタマイズに対する職員の意識改革も進んだことが、カスタマイズに要する運用コストの抑制につながっています。
今回、本番機と予備機の構成にすることで可用性を高め、業務継続性の向上を図っています。また検証機も導入し、事前にエラーをつぶしてから本番機に構築する運用を実現しています。これまで運用してきたホストコンピュータでは、検証用の環境を作成するのに多くの時間とコストがかかることから、事前に検証を行う運用はできませんでした。それが、パッケージを活用したシステムを導入したことで、環境の複製も容易になり、従来、本番でエラーが見つかり対応していた深夜作業も現在はなくなり運用負荷が軽減されました。いまは番号制度への対応に向け検証機で事前テストを行っているところで、確実性と効率性の向上が図れていると感じます。
加えて、個別開発し複数のシステムで運用していた保育料、ひとり親医療費助成をMICJET MISALIOに統合したことによる運用管理の効率化や主管課の業務の効率化も実現しました。今後もできる限り統合を進めていきます。
また、これまで各主管課は基幹システムのデータが必要なとき、情報係に依頼して提供を受けていました。いまはアクセス権限を管理したうえで、各主管課で必要なデータを必要なときにCSVファイルで利用できるようになり、業務スピードの向上に貢献しています。合わせて情報係の負荷も軽減できました。
コスト面で言えば、帳票印刷を各主管課のレーザープリンタでダイレクトに行うようになり、ストックフォーム(連続用紙)の使用量が約1/12となるなどトータルな削減効果が出ています。
本稼働から3年、安定稼働を続けています。何かあればすぐに対応してくれる富士通の迅速かつきめ細かいサポートにより、各主管課も安心してシステムを利用し業務を行っています。
また、住民基本台帳法改正対応時と同様に、これから本番を迎える番号制度対応についてはスムーズな対応とコスト削減の両面で期待しています。
黒石市をはじめ県内のMICJET MISALIOユーザー同士でユーザー会を定期的に開催し、クラウド化・共同利用に向けて検討を行っています。
いままでは各自治体で個別開発によるシステムを構築し運用するのが主流で、共同利用を支える共通基盤をつくろうとしてもなかなか難しい話でした。それが、各自治体がクラウドに対応したMICJET MISALIOという同じパッケージを使っていることで、いまは共同利用への理解も得やすく話もスムーズです。次の更新時にクラウド化したいという自治体もでてくると思いますので、ユーザー会でルールや共同利用の拡大などの検討を進めていきたいと考えています。
また、クラウド化によりデータセンターを活用した運用管理業務の効率化や、BCP強化の実現も今後の重要なテーマです。
富士通には今後も、全国のクラウド実績や共同利用実績をもとにした有益な情報提供・提案を期待します。
左から 黒石市 大平氏、工藤氏
所在地 | 青森県黒石市大字市ノ町11番地1号 |
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代表者 | |
人口 | 35,244(2015年5月末日現在) |
職員数 | 240名(2015年4月1日現在) |
ホームページ | http://www.city.kuroishi.aomori.jp/ |
黒石市のご紹介 |
八甲田連峰と津軽平野に抱かれた黒石市は豊かな自然に恵まれ、米やりんごの産地として知られています。現在、すし米で定評があった黒石米の品種「ムツニシキ」の復活に向けた実験を始めました。また太平麺が特徴の黒石やきそばなど名物も多彩です。 十和田湖の西玄関口でもある同市は、四季の彩り豊かな田園観光産業都市を目指したまちづくりを進めています。旧黒石藩の城下町としての風情を残す重要伝統的建造物群保存地区の「中町こみせ通り」、秋には山全体が燃えるような紅葉に包まれ「小嵐山」とも称される「中野もみじ山」など、「水清く人情のあついあずましの里」としての魅力にあふれています。
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