市川市様 コンビニ交付対応ソリューション 導入事例
千葉県北西部、人口約48万人の市川市。同市はコスト削減と市民サービス向上の両立を目的に、窓口改革の一環としてクラウド型の行政サービス「コンビニ交付サービス」を開始。住民基本台帳カードを利用して全国のコンビニエンスストアで証明書の交付が可能となり、窓口交付業務コストの削減を目指しています。
[ 2010年7月22日掲載 ]
概要 | |
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業種: | 地方自治体 |
製品: | コンビニ交付対応ソリューション |
財政状況が厳しさを増す中、いかにコスト削減と市民サービス向上の両立を実現していくか。東京都に隣接する千葉県市川市では窓口改革の一環として、2010年2月、「コンビニ交付サービス」を開始。
現在、市民は住民基本台帳カード(以下、住基カード)を利用して全国約1万2,600店舗のコンビニエンスストア(セブンイレブン)で住民票の写し、印鑑登録証明書の交付サービスの利用が可能です。また、民間インフラを利用することで低コストでの運用を実現。窓口交付に比べ人件費、運用費などのコスト削減と市民サービスの向上に結びつくことから4、5年後の目標達成に向けて取り組んでいます。
課題と効果 | ||
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1.市民から要望の多い、コンビニでの証明書交付を実現したい | ![]() |
証明書交付センターを介して自治体の既存住記システムとコンビニ間を接続。市民は住基カードを使って全国のコンビニで住民票の写し、印鑑登録証明書を取得可能、利便性が向上 |
2.窓口交付業務の効率化、コスト削減を図りたい | ![]() |
窓口交付の50%をコンビニ交付に転換へ。これにより人件費、運用費など窓口交付業務のコストを40%削減可能との試算に基づき、4、5年後の目標達成を目指す |
千葉県北西部、江戸川を挟んで東京都に隣接する市川市。緑と水辺と歴史に彩られた同市は、現在、人口約48万人、約22万世帯が暮らす文教・住宅都市として発展を続けています。厳しい財政状況が続く中、同市では1998年頃から行財政改革を進めており、その柱の1つがICT化です。
「1998年に窓口改革の一環としてコンビニのキオスク端末を利用した公共施設の利用申請手続きサービスを開始しました。官民連携で生活者の視点に立ったサービスを目指すべく、コンビニを役所の窓口として利用するという新しい行政サービスの姿はすでにこの時点で描いていました」と、市川市CIO 情報政策監 井堀幹夫氏は語ります。
当初から市民の要望が多かったコンビニでの証明書の交付ですが、その実現には12年の歳月が必要でした。同市における証明書交付サービスは2004年に住基カードを利用した自動交付機の導入によって始まりました。自動交付機は市内の主要駅やスーパーなどに設置され、電子申請サービスなど先進的なサービスを提供、2010年度からは戸籍証明書の交付も開始するなど現在、24種類へとサービスが拡大しています。
こうした取り組みにおいて同市は生活者の視点を大切にしています。たとえば、自動交付機による福祉券の交付は役所までの移動が大変な障がい者の立場に立ったサービスです。市川市では通勤・通学者の65%(約16万人)が都内などの市外に就業・就学しています。2006年8月に同市が実施したコンビニ利用に関する意向調査によると、86.2%の市民が身近なコンビニでの行政サービス利用を希望していました。
こうした市民の声に応えるために、市川市はコンビニ交付に関する検討プロジェクトを設置。また総務省が主催するコンビニ交付検討会に参加し、さまざまな課題について議論を行ってきました。特に民間業者が行政情報を取り扱うことに関する課題(契約の問題、トラブル時の対応の問題、セキュリティなど)や証明書受領機関での取り扱いに関する課題などです。「利用シーンを細部に渡ってチェックし、仕様の決定やその見直しに3年間、じっくりと時間をかけました。その結果、大切なセキュリティ対策については安心できる環境が整いました」(井堀氏)。
コンビニ交付サービスは地方公共団体が設置する証明書交付サービス協議会により運営されます。同協議会が作成した証明書交付サービス仕様書の中には、契約手順からサービスの詳細、システム要件、セキュリティ対策、障害対応、保守、費用負担、交付手数料の精算などが細かく定められています。また、普通紙での証明書交付にあたり、改ざん防止対策として、富士通グループが開発した紙文書の暗号化技術が標準技術として採用されています。
同市では検討会に参加する一方で、コンビニ交付サービスの導入に向けて費用対効果の試算や条例の変更などの作業も進めました。「窓口交付の50%をコンビニ交付に転換することで従来に比べて40%のコスト削減が可能です。従来の窓口交付と比べ、コンビニ交付は民間のインフラを利用することができるため、人件費、設備費等が抑制され、低コストで市民の利便性を高めるサービスが実現できます。また、それ以上に期待できる効果は職員が窓口で市民に対面してサービスする時間や内容を充実させることができることです」(井堀氏)。
同市の住基カードの登録者数は8万3,000人(2010年5月末)、人口比率で18%、全国自治体の中でもトップクラスです。同市では、当面の住基カードによる証明書交付利用件数の目標50%を4、5年後には達成したいとしています。
「住基カードの多目的利用としてコンビニ交付サービスを行うことについて条例の変更手続きを行い議会の承認を得ました。市民サービスの向上と、コスト削減・セキュリティなどにおいて、市議会からの理解が得られました」
2010年2月市内2店舗でコンビニ交付サービスを開始、同年3月から首都圏の約5,900店舗に拡大、同年6月には全国約1万2,600店舗(セブンイレブン)に展開されました。市川市内で利用できる店舗は現在、27カ所あります。「システム構築に関しては、既存の証明書自動交付サービスを熟知している担当者が関われるように配慮して、コスト高やリスク低減を考慮しました」
「コンビニ交付における住民票の写し、印鑑登録証明書の交付件数(2010年6月28日現在)は1,519件、開始5カ月の実績としては評価できますが、まだまだこれからです。まずは、納税証明書交付などサービスの拡大、新規コンビニ事業者の参入など、コンビニ交付サービス自体の拡張に加え、住民への周知、メリットのアピールも必要です。窓口サービスのあり方を検討していく上で、コンビニ交付の利用拡大と自動交付機のさらなるサービス拡張が今後のテーマと考えます」(井堀氏)。
コンビニ交付サービスは早朝6時30分から夜間23時まで、年末年始を除く毎日、利用可能です。同市の利用状況をみると、休日、早朝、夜間での利用が約65%あり、また市外からの利用が19%と、コンビニ交付がより生活スタイルに密着したサービスであることがわかります。
コンビニ交付サービスの導入にはいくつかポイントがあります。「窓口業務のあり方をどう変えるか、コンビニ交付の利用者をいつまでにどのくらい拡大するかなど明確な計画を持つことが重要です。また、住民への広報と関係機関に対する説明会などの開催も大切です。また、市川市は先行団体として今後も検討会に対し、コンビニ交付サービス活性化に向けた提言活動を続けていきたいと思います」(井堀氏)。
同市ではコンビニ交付を窓口改革のための第一ステージとして位置付けています。今後の展望について「まずはコンビニ交付のさらなる普及を図りながら標準化を進めていきたい。そして、将来的には共通IDなども視野に入れながら、官民連携(手続きの簡略化・証明書レス化など)行政サービスを受ける手続きのあり方を市民視点で改善していきたい」と、井堀氏は力強く結びます。
富士通は、住民情報システムや自動交付システムの構築実績を活かしたコンビニ交付対応ソリューションをご提供し、住民サービス向上をトータルにご支援いたします。
所在地 | 千葉県市川市八幡1丁目1番1号 |
代表者 | 市川市長 大久保 博 |
人口 | 475,935人(2010年6月1日現在) |
ホームページ | http://www.city.ichikawa.lg.jp/ |
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