Skip to main content

Fujitsu

Japan

PLEMIA M3 ECODUCE 導入事例


株式会社ミクニ 様

全社・全製品対象の環境情報管理システムを構築
メーカー調査への回答時間の半減を目指す

大手自動車部品メーカーのミクニは、全社・全製品を対象にした環境情報管理システムを構築、2007年3月から運用を始めている。システム構築には、富士通の製品環境情報管理システムであるPLEMIAシリーズの「ECODUCE(エコデュース)」を採用して、JAMA統一データシート※1とIMDS※2 の連携を実現した。ミクニでは、自動車メーカーからの含有物質の調査への回答時間を、従来の2カ月から1カ月へと大幅に短縮させた上に、蓄積される環境情報データベースを、グリーン調達やグリーン設計にも活用していきたいと考えている。

西山 広之 様 西山 広之 様
株式会社ミクニ
統括開発技術本部
技術情報センター
技術管理グループ
リーダー

小池 映 様 小池 映 様
株式会社ミクニ
R&Dセンター
プロジェクト室
研究員
 

高倉 智美 様 高倉 智美 様
株式会社ミクニ
統括開発技術本部
技術情報センター
技術管理グループ
 

独立系のTier-1サプライヤー(1次部品メーカー)として、国内外のほぼすべての自動車メーカーに、燃料供給システム、バス用燃焼式ヒーターなどの自動車部品を提供しているのがミクニである。

自動車業界では、ELV指令※3が公布・施行されるなど、有害化学物質に対する規制が年々厳しくなっている。ミクニも、2003年7月にELV指令対応のグリーン調達委員会を作り、環境情報管理の可能性を探ってきた。

環境情報を管理するには、大前提として、社内の部品表を統一し、製品開発に必要な情報をデジタル化しておく必要がある。ミクニは2004年からPDM(Product Data Management)の構築に取り組み、2005年末までに、全社全製品の製品情報管理を実現していた。その際に利用したのは、富士通の部品表システム「STAGE」である。

「STAGEを選択したのは、機能が豊富で実践的だからです。富士通のエンジニアのサポートも的確でした。現在では、15万件の部品情報を一元管理して、約900人のユーザーが利用しています」と、同社の高倉智美氏は語る。

PDMが全社に定着した2006年初頭、いよいよ環境情報管理システム構築を目的とするプロジェクトが発足した。

小さく素早く始めて将来の利用は大きく広げたい

ELV指令が施行されて以来、顧客である自動車メーカーからは、部品や製品全体の含有物質や原材料情報など、様々な調査依頼が相次ぐようになった。

「従来は、専任者を置き、依頼があるとそのつど仕入先に問い合わせて回答していましたが、件数が増え続けて、対応しきれなくなっていました」と、同社の小池映氏はいう。

環境情報管理システムのベースには、富士通の製品環境情報管理システム「ECODUCE」を採用。すでに動いているPDMシステムがSTAGEベースであるためデータ連携しやすいこと、接着剤や潤滑油などの副資材まで管理できることなどを評価した。

「1サーバで全社に共通して利用できる製品体系に魅力を感じました。環境情報管理システムは、売上を伸ばすシステムではないだけに、コストをかけずに素早く作り、少しでも早く使い始めたかった。小さく始めて、後から利用範囲を安心して広げていけるのが、ECODUCEだったのです」と、同社の西山広之氏は付け加える。

ECODUCEで構築したミクニの環境情報管理システム

ECODUCEで構築したミクニの環境情報管理システム

JAMAシートとIMDSとが連携
自動車業界向け製品が誕生

ECODUCE Automotive Editionの画面例。含有物質の集計・出力は自動処理、ELV指令の合否判定もビジュアル表示される ECODUCE Automotive Editionの画面例。含有物質の集計・出力は自動処理、ELV指令の合否判定もビジュアル表示される

環境情報管理システムが稼働を始めたのは、2007年3月である。
開発にあたっては、JAMAの統一データシートと、自動車部品の材料と含有物質の標準データベースIMDSとの連携を実現。一度の入力で、両方のフォーマットでのファイル出力が自在にできるようにした。ECODUCE Standard Editionはもともと、電機・電子業界のRoHS指令(2006年7月にEUで施行)に対応した製品であるが、さらにミクニとの密な連携をとりながら開発を進めた結果、自動車業界向けバージョン「Automotive Edition」が誕生したのである。

「実は一番苦労したのは、システム開発ではなく、業務フローの再構築でした」と高倉氏は明かす。新しい業務フローでは、JAMA統一データシートに沿った調査とデータ入力を、約350社の仕入先に実施してもらわなければならない。仕入先の協力を得るには、ミクニの営業、購買などの部門までが一体になっての働きかけが不可欠。ミクニは、経営トップのリーダーシップのもと、全社を挙げて業務フロー変革に取り組んだ。また、協力会社を集めて何度も講習会を開き、海外拠点に対しても、日本人駐在員の教育を徹底した。

増加するメーカーからの調査依頼にスピーディーに対応できる体制

環境情報調査件数(製品点数) 環境情報調査件数(製品点数)

利用が始まってまだ1年足らずだが、調査依頼に対する回答は、目に見えて速くなった。「従来は、表計算ソフトで担当者なりの進捗管理をしながら、様々な仕入先から情報を集め、情報がそろったところで、数日間かかりきりでIMDSサーバへ直接手入力していました。今では、仕入先さえ情報を入力してくれれば、含有物質の集計・出力は自動で処理されます。調査の進捗状況もひと目でわかります」と高倉氏はいう。

環境情報データが充実してくれば、回答業務はさらにスピードアップする。「今後は自主調査を実施して仕入先からの環境情報データの収集・蓄積に力を入れていきたい。現在は、調査依頼を受け付けてから回答までに2カ月という期限を設けていますが、その半分の1カ月で情報開示ができる体制を目指します。そのベースができました」と西山氏は語る。

さらに大きな成果は、全社で環境情報管理の重要性が認識され、グリーン調達やグリーン設計に対しても意識が高まったことである。

「設計段階でこのデータベースを使えば、リサイクル率を上げる製品作りも可能になるはず。特定の物質を使用している部品や製品も容易に検索できるようになり、万一の問題発生時にも迅速な対応ができます」と小池氏。ELV指令をはじめとするグローバルな環境規制に迅速かつ的確に対応し、メーカーの社会的責任を果たす体制作りに向けて、ミクニは大きな一歩を踏み出したのである。

【会社概要】

株式会社ミクニ

  • 本社:東京都千代田区外神田6丁目13番11号
  • 設立:1948年10月1日
  • 代表取締役社長:生田允紀
  • 資本金:22億1,530万円
  • 従業員数:単独1,800人、連結5,427人(2007年9月時点)
  • 事業内容:
    自動車部品(燃料噴射関連製品)と、生活・環境・介護関連品(ガス機器類)の大手メーカー。生活関連品のガス器具でも大きなシェアを誇り、これらすべての製品を環境情報管理システムの管理対象としている。
  • URL:http://www.mikuni.co.jp/Open a new window