クラシエグループにおいて、トイレタリー・コスメティックス事業を手がけるクラシエホームプロダクツ株式会社様。ボディソープ、シャンプー、ヘアスタイリング剤などの商品開発に利用する処方設計システムの老朽化に悩まれていたクラシエホームプロダクツ様は、富士通株式会社のPDM(製品データ管理)ソリューション「PLEMIAM3(プレミア)」をベースに処方設計システムを再構築されました。その結果、配合情報や実験情報の「見える化」「共有化」が実現し、処方業務が大幅に効率化されました。さらに、後工程の生産管理システムとのシームレスな連携により、生産リードタイムの短縮を実現しています。
[ 2012年6月インタビュー ]
入江 大輔 様 クラシエ ホームプロダクツ株式会社 ビューティケア研究所 第二研究部 研究員 |
松江 由香子 様 クラシエ ホームプロダクツ株式会社 ビューティケア研究所 第二研究部 主任研究員 |
村上 寛和 様 クラシエ ホームプロダクツ株式会社 システム部 係長 |
1936年のカネボウ石鹸事業誕生を起源とするクラシエホームプロダクツ様は、長年培った独自技術とノウハウを生かしてボディソープ、シャンプー、ヘアスタイリング剤、基礎化粧品、入浴剤などを市場に提供してきました。
主力ブランドの「ナイーブ」は1995年の誕生以来、ボディソープなどのスキンケア・ヘアケアのロングセラー商品として親しまれています。また、補修&予防美髪成分「純・和草プレミアムエキス」を配合したヘアケアブランド「いち髪」は、女性ユーザーの圧倒的な支持を集め、主力ブランドに成長を遂げています。
クラシエホームプロダクツ様は、2004年にビューティケア研究所を設立し、トイレタリー商品の新技術に関する開発を精力的に進めています。成分の処方や配合を研究する第二研究部では、製品の処方登録、薬事申請といった業務を「処方設計システム」で行っていましたが、1997年から稼働している現行システムの老朽化が進んでいました。システム部 係長の村上 寛和 様は「VBをベースとしたWi n d o w s システムではOSのバージョンアップなどに対応が追いつきません。安定稼働を実現するためには、時代に合ったシステムが必要でした」と振り返ります。
そこで、こうした状況を改善するため、新たな処方設計システムの導入を決断されます。
クラシエホームプロダクツ様は、複数ベンダーの製品を比較検討した中から、F E A S T のP D Mソリューション「P L E M I A M3」をベースに、新処方設計システムを構築することを決定されました。富士通株式会社を選定した理由をビューティケア研究所第二研究部 研究員の入江 大輔 様は「単なるリプレースでなく、処方開発から薬事申請、生産管理システムとの連携まで、すべてをカバーするチャレンジングな提案を評価しました。処方管理に関しても、過去情報も含めて紙ベースで管理していた情報をシステムで一元化するという、私たちの要望にマッチしていました」とお話くださいました。
2010年5月にスタートした開発は、2011年3月に終了。同年4月から本稼働を開始し、現在は約30名の研究者が新システムを利用しています。開発時は、要件定義の段階で業務要件の確認を入念に行ったと言います。
処方管理の開発ではデータベースの性能にこだわり、3秒以内の高速レスポンスを実現しています。村上様は「処方情報の検索に長い時間がかかってしまっては、ユーザーにシステムを使ってもらえません。そのため、富士通株式会社のSEには目標をクリアするまで繰り返しデータベースのチューニングを依頼しました」とご説明くださいました。
新システムの導入により、成分の配合情報の一元管理化が実現。いつでも誰でも製品に含まれている原材料を確認したり、原材料が含まれている製品を探したりすることができるようになりました。また、ノウハウの共有化が進み、研究業務の効率化、高度化につながっています。製品の安全チェック作業においても、精度が大幅に向上。ビューティケア研究所 第二研究部 主任研究員の松江 由香子 様は「従来環境では薬事法上問題がある原材料/成分有無を目視で確認していました。新システムでは、すべてが自動化されているためエラーも瞬時にわかり、チェック精度も高まっています」とお話されています。
また、処方設計システムと生産管理システムの連携が新たに実現したことで、今まで郵送で行っていたデータの受け渡しを廃止することができました。「郵送で1日、2日かかっていたタイムラグがなくなり、製造現場からのフィードバックが即時に返ってくるようになりました。製造現場ではデータの二重入力もなくなり、作業の段取りを前倒しで進められるため、リードタイムの短縮につながっています」と松江様。
ユーザーの反応も上々で、若手研究者を中心に複合検索などを駆使して効率よく情報を絞り込んでいると言います。
今後は薬事法改正への対応を続けながら、よりよいシステムに修正していく考えです。最後に村上様から富士通株式会社の対応に対して「現場ユーザーの要望を極力取り込み、できる範囲で対応いただきました。開発にも最後まで誠意を持って取り組んでいただき、ありがたく思います」と評価のお言葉をいただきました。
富士通株式会社は、今回の処方設計システムの構築で得たノウハウに磨きをかけ、クラシエホームプロダクツ様のビジネスをサポートしてまいります。
所在地: | 東京都港区海岸3-20-20 |
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代表者: | 代表取締役 社長執行役員 岩倉 昌弘 様 |
URL: | http://www.kracie.co.jp/ |
事業内容: | トイレタリー商品(石鹸、洗剤、シャンプー、リンス等)、
基礎化粧品、その他日用雑貨の製造、販売、輸出入 |