設計関連図面を関連付け素早く検索・表示できるPLEMIAに着目。分散していた設計データベースを統合し、一元管理することにより図面の構成管理や変更管理を電子化した。これにより、多くの派生機種設計変更時の影響度管理や、流用設計時の図面作成の効率的運用の目処が立った。
田島利秋様
株式会社ホンダエレシス
管理室 情報システムブロック
主幹
佐藤 徹夫様
株式会社ホンダエレシス
管理室 情報システムブロック
ブロックリーダー
藤井 正彦様
株式会社ホンダエレシス
開発本部 開発企画室
宇都宮開発管理ブロック
ブロックリーダー
内海 愛様
株式会社ホンダエレシス
開発本部 開発企画室
宇都宮開発管理ブロック
田代 史雄様
株式会社ホンダエレシス
管理室 情報システムブロック
自動車電子制御ユニットメーカーのホンダエレシスは、2002年、本田技研工業と日本電気の合弁会社として設立された。近年、クルマの走行基本性能(走る・曲がる・止まる)、安全性、快適性を向上させるエレクトロニクスは日進月歩。急ブレーキ時の安全性を確保するABS、確実なハンドル操作を支えエンジンに負荷をかけない電動パワーステアリング、前方車との安全距離を維持する要となるミリ波レーダーユニットなど様々な安全支援機能が装備されようになった。同社は、これら機能を実現する電子、制御装置の開発・製造・販売を一手に担っている。
会社設立と同時に同社がトップダウンで取り組んだのは、合弁2社でそれぞれ異なる図面規定の統合と、紙ベースの図面管理を電子化することであった。前身会社では他のシステムで各図面を単独で管理し、紐付けのデータベース化はされていなかった。また頻繁に発生する設計変更では、製品を構成する部品数百点の子図面の親子関係を確かめながら、改変に関連する部品の子図面を拾い出し、一枚一枚に修正を加えるという作業が手作業で行われていた。例えば、共通部品であるネジを1本変える場合は百枚単位で図面を書きかえ、1枚ずつ承認を得ていた。さらに人命に関わるクルマの重要保安部品の設計・製造に携わるため、改変図面を何度も入念にチェックする作業が行われる。ベテラン設計者は、膨大で煩雑なこの図面管理を熟練した手作業でこなしていた。佐藤氏は「しかしクルマの安全、快適を支える技術競争はとどまるところを知りません。製品ラインナップは増え、新機能追求、コスト低減などのため設計要求は高まる一方。設計変更に迅速かつ柔軟に対応するPDMを導入し、設計本来の業務の質を上げることは急務でした」と語る。
各種の図面情報を統合的に管理、設計開発、生産管理、製造の現場と情報を共有するPDM導入に際して同社が検討したシステムは、PLEMIAを含め5種。会社設立期、しかも海外事業拠点の展開、全社的インフラ整備を同時に進める中、選定グループはコストパフォーマンス面についてとくに厳しい目で精査した。メンバーの1人、田島氏は「すでに3次元CAD『SolidMX』を使用していた設計部門の、富士通PLMシリーズに対する評価と、コストパフォーマンスの高さ、そして他社での稼働実績を考え合わせ、PLEMIA導入に至りました」と語る。
PLEMIAの導入により、図面規定に沿った図面採番、資材番号の採番を統一するロジックを構築し、従来の図面規定による膨大な図面資産の統合環境を整備。PDMシステム導入のプロジェクトリーダーを務めてきた藤井氏は「図面規定に沿ってカスタマイズをしていただいたのでこのシステムを操作することが規定に沿うことになりました」と語る。
また藤井氏は、「PLEMIAを導入し、必要な製品図面、部品図面を瞬時に検索し、これらの親子関係を正展開、逆展開が可能となったことで、図面改変時の修正情報の抜け、もれ、ミスを根絶する環境が実現しました。今後は電気回路設計、メカニカル部分の設計と図面情報を連携させていきます」と語る。
※お客様導入製品の最新バージョン画面例(画面はお客様のシステム、製品とは異なります)
その後、システムは設計メンバーの一部を中心に着実に普及しつつある。今、同社設計部門の目標は「従来の方法に手慣れている設計者への普及」である。現場の視点に立った活用マニュアルを作成するなどし、システムの普及に努める内海氏は「解りやすいマニュアルを作ることで若手設計者が短期間で操作を身につけたり、新たな設計部署についた設計担当者が、システムの共通ルールを頼りに迷うことなく必要図面にたどり着くなど目に見える導入効果も現れました。とりわけ、機種ごとに手書きで作成していた親子関係を一覧するための構成図が電子化されたことでシステム利用への認識は高まりました」と語る。また各設計者のシステムへの要求を吸い上げ、フィードバックする田代氏も「あと1年を待たずに全ての設計者がシステムを使いこなすレベルに達するのでは」と期待する。PLEMIAの導入により、設計データの一元管理の環境を整えた同社は、設計作業効率化の次なるステップへと踏み出した。