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Fujitsu

Japan

PLEMIA M3 BOM 導入事例


エムケー精工株式会社 様

年間1000件を超える多様な受注設計作業を
PLEMIAのマトリクス部品表で大幅効率化

国内有数の洗車機メーカーであるエムケー精工は、門型洗車機の開発業務を効率化するために富士通の統合設計情報管理システム「PLEMIA」を導入。それまで内製アプリケーションで作られていた部品表(BOM)システムを一新することにより、部品の差し替えや品番変更の連絡を素早く行えるようにした。導入にあたっては、「業務を変えない」、「パッケージを標準機能で使う」を基本に、「Quick Start & Small Win」の漸進的なアプローチを選択。カスタマイズを最小限にし、確実に「採算が取れる導入」を実現させた。

case-07-per01 早川 和弘 様
エムケー精工株式会社
取締役
商品開発研究所所長

case-07-per02 徳竹 和博 様
エムケー精工株式会社
商品開発研究所
研究開発一グループ
チームリーダー

case-07-per03 酒井 陽三 様
エムケー精工株式会社
商品開発研究所
研究開発一グループ
主任

多くのガソリンスタンドに設置されている門型の洗車機――。その有力メーカーの1社が、エムケー精工株式会社だ。同社のビジネスの柱となっているのは、オート機器(洗車機、自動車整備機器、灯油配送機器)、情報機器(情報ボード、案内サイン、情報メディア)、生活機器(パン焼き機、精米機、餅つき機)の3事業。本社内にはエレキ、メカ、ソフトの複合型研究・開発に携わる商品開発研究所があり、製造は本社工場と信濃町工場(長野県上水内郡信濃町)で行われている。

同社の門型洗車機には、操作方式の違いで、スタッフ洗車用、セルフ洗車用、ドライブスルー洗車用、整備工場向けの4種類がある。「以前はどれだけきれいに洗えるかが競争のポイントでしたが、最近では節水性や静穏性などの環境性能が重視されるようになりました」と語るのは、商品開発研究所の所長を務める取締役の早川和弘様。洗車機の開発に携わる酒井陽三様(商品開発研究所 研究開発一グループ 主任)は「さらに弊社は、多様な車の形を正確に把握し洗い残しを少なくすることに力を注いでいます」と、センサーとそれを活用するソフトウェアに同社の強みがあるとアピールする。ベースとなる機種は10種類ほどだが、派生機種やオプションを加味すると組み合わせの数は膨大である。さらに年間の受注機種は1000件を超している。


開発作業全体を効率化するには部品表の改善が欠かせなかった

その酒井様が部品表(BOM)の改善にとりかかったのは、10年ほど前のこと。「弊社は1990年代に2次元CAD、2001年には3次元CADを導入して、設計作業の効率化を進めてきました。しかし、洗車機の開発では既存ユニット・部品を流用することが多く、開発作業全体の効率を高めるには、BOMの作成・管理工数を削減する必要がありました」と、酒井様。

洗車機の年間開発機種数は派生モデルを含めても一桁台に収まるが、実際の受注件数は前述したように1000件を超す。こうした個々の受注では細かい仕様が少しずつ異なり、流用ユニットも多く、BOM作成が極めて重要な意味を持つ。つまり、3次元CADによるモデリング効率化もさることながら、BOM業務の改善が大きな課題だった。

同社で調査したところ、BOM作成に要する時間のほぼ50%は部品の検索作業に費やされていたという。「そこで、まず、BOMアプリケーションの内製を目指しました。しかし、洗車機は部品点数で3万点、深いもので10階層にもなるBOMを素人がシステム化するのは容易ではありません。結局は、部品データの入力と印刷だけを支援するアプリケーションになってしまいました」(酒井様)。

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PLEMIA導入の決め手は派生機種のBOM作成の容易さ

このような状態が続いていた2008年秋、酒井様は富士通の統合設計情報管理システム「PLEMIA」に出会う。「どのようなツールがあれば部品表関連の業務を効率化できるか、頭の中ではだいたい分かっていました。思い描いていたイメージにPLEMIAはぴったりのツールでしたから、これならうまくいくはずという確信が持てました。そしてPLEMIAはレスポンスが速い」と酒井様。BOMデータベースから様々な派生機種のBOMを作り出せる「マトリクス部品表編集」機能(図)、設計変更時に瞬時に影響範囲が把握できる「部品表の逆展開」機能が、洗車機の開発作業を大幅に効率化するのに役立つと判断したという。

ただ、PLEMIAを実際に導入するにあたっては、クリアしておかなければならないハードルがあった。開発メンバーのマインドである。

「作業が楽になるのは大歓迎だが、今の仕事の進め方は変えないでほしい、という要望が多くのメンバーから上がってきました」と振り返るのは、商品開発研究所 研究開発一グループ チームリーダーの徳竹和博様。そうした懸念への対応と100年に一度の不景気状況のもと「採算が取れる導入」を両立させるために、徳竹様と酒井様は「Quick Start & Small Win」の漸進的なアプローチを取ることにした。「業務を変えない」、「パッケージを標準機能で使う」を合言葉に、カスタマイズは最小限にとどめたのである。

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部品差し替えや品番変更連絡が素早く行えるようになった

洗車機開発チームへのデモ・説明会を経て、導入が正式決定したのは2009年2月のこと。3月にはインストールと諸設定が完了し、PLEMIAを利用したBOMシステムは4月に稼働を開始した。BOMデータベースは共有のファイルサーバーに格納されており、開発メンバーは各自のCAD端末からいつでも自由にアクセスできる。

導入効果について早川様は「効果測定はこれからですが、洗車機は部品点数が多い製品なので、設計業務の効率化、特に新しい商品の開発時間を短縮するのに効果を発揮することでしょう」と期待している。また、酒井様は「部品の差し替えや品番の変更連絡を素早く行えるようになりました」と評価。徳竹様も「設計者が部品表処理に追われることなく開発構想に注力でき、より広がりのある製品開発への一助になると期待しています」と話す。

こうして動き始めた設計BOMを、全社の技術情報データベースへと成長させていくのが、エムケー精工の描いている将来構想だ。「既存のBOMをすべて移し替え、PDF化した図面データと技術文書を品番で紐付けして管理や出力を行えるようにしたいと考えています」と、酒井様。将来的には、部門内では3次元CADとの品目/品番による連携、部門間では調達などの基幹システムとの密連携が予定されている。

【会社概要】

エムケー精工株式会社

  • 本社:長野県千曲市雨宮1825
  • 設立:1956年12月
  • 代表取締役社長:丸山永樹
  • 資本金:33億7355万円
  • 従業員数:864名(2009年3月現在)
  • 事業内容:
    オート機器、情報機器、生活機器の3事業を軸に、研究開発から製造・販売までを手掛ける。オート機器事業の主力製品の門型洗車機では、スラントスキャンやCCDカメラを国内で初めて採用するなど、技術面での業界リーダー的存在。
  • URL:http://www.mkseiko.co.jp/Open a new window