使い手を選ばないきわめて簡単な操作性を重視された「PLEMIA」。図面・技術データをERPに取り込んで業務の効率化を図り、開発部門間を異動する担当者の本来業務以外の作業負荷軽減に成功。ERPとPDMの連携をより高度化させ、各部門で培われた専門技術を組み合わせた製品をスピーディーに開発する企業体質への改善を進める。
折茂 勝巳 様
株式会社モリテックス
取締役
高橋 忠良 様
株式会社モリテックス オプト・ビジョン開発生産本部 本部長兼さいたま事業所長
藤田 善昭 様
株式会社モリテックス オプト・ビジョン開発生産本部 副本部長
モリテックスは、半導体・エレクトロニクス製品の製造ロボットの「眼」となるレンズや照明、光通信関連機器、コスメティック業界向け肌カウンセリングシステム、そしてバイオ関連機器と多岐にわたる製品を生産する。ベースとなる光技術を駆使し、ニッチなハイテク製品を受注生産し、高い評価を受けつつ成長を続けてきた研究開発型企業だ。最先端の研究を手がけながら、市場が求めるニーズに即応した製品の開発力が求められている。
高橋 大輔 様
株式会社モリテックス オプト・ビジョン開発生産本部 さいたま事業所 技術管理グループ
吉田 均 様
株式会社モリテックス オプト・ビジョン開発生産本部 さいたま事業所 LEDグループ グループリーダー
豊田 誠 様
株式会社モリテックス オプト・ビジョン開発生産本部 さいたま事業所 技術管理グループ グループリーダー
同社は、より厳しさを増す市場を見すえた企業体質への転換を求められている。課題は、今後成長を見込める分野を選択し、そこに得意とする光技術を駆使して、他社が追随できない製品をいち早く開発することである。じつは、光学、電気、機械、測定の各技術の複合で生まれたコスメティック分野向け肌カウンセリングシステムの開発こそ、経営の選択と集中の実証例だ。とくに全顔撮影装置は、売上比率では小さいが国内外でナンバーワンシェアを誇る。「30数年にわたり、ニッチなハイテク技術で多様な事業領域を展開してくると、必然として開発各部門がいわゆるタコツボ化します。全顔撮影装置のような得意技術の組みあわせ製品を次々に開発するには、業務を標準化して部門間の壁を取り払い、専門技術を結集する必要があるのです」と同社取締役の折茂勝巳氏は語る。
数年前から業務標準化を目指し、ERP導入を進めていた同社が突き当たった課題が、開発部門ごとにクラスター化した技術資産の活用だった。「レンズ、照明、カメラの図面体系がそれぞれ違うので3技術を結集した製品開発では1つの図面体系に書き直す手間があった。また部品情報も共有されておらず無駄な部品を抱えていました。1つ2つの開発プロジェクトは乗りきれても、それ以上は業務負荷が増し、耐えられません」とオプト・ビジョン開発生産本部さいたま事業所技術管理グループ グループリーダーの豊田誠氏は語る。また、現場担当者のスキルが十分に発揮されないという問題もあった。「事業規模に伴い、開発担当者の異動が頻繁になります。せっかく人員が配置されても、業務に必要な技術情報の利用に慣れ、100パーセントの戦力を発揮できるまでに1年はかかっていました」(オプト・ビジョン開発生産本部さいたま事業所LEDグループ グループリーダーの吉田均氏)。
再構築するPDMとして「PLEMIA」を採用した理由について「ERPとのつながりの良さとスピード。データが増えて動きが遅くなるPDMでは使われなくなってしまいます」と語るのはオプト・ビジョン開発生産本部本部長の高橋忠良氏。また、開発部門からは現場の立場から使いやすさを重視したいとの要望が出された。「開発は、複雑なCADを覚えながら業務を遂行するなど『ながら仕事』が多く、また年に2、3回しかPDMを操作しない、例えば測定担当者のデータももれなく共有されなければならないので、とにかく簡単に操作できることが求められました」(吉田氏)。
もちろん、PDMで部品情報を統一し、部品構成表がスムーズにERPに流れれば、それで部門をこえて技術力を結集する体質へと簡単に変わるものではない。同社は、社内各層がシステムへの問題意識を持つことを重視する。「基本の図面データなどがPDMからERPへ送られるようになったこれまでが第1ステージ。開発担当者、中間管理層、そして経営層のそれぞれが、ERPとPDMの連携によりどんなメリットを出していくか提案を出し、その結果を連携第2ステージの課題とし、ステップ・バイ・ステップで連携の完成度を高めていきます」(オプト・ビジョン開発生産本部副本部長の藤田善昭氏)。同社さいたま事業所で続くERPとPDMの連携による開発と生産のIT基盤再構築は、この効果を実感しつつ今後他事業所においても展開されていく予定だ。
すでに、第1ステージにおける導入の成果も数多くある。「今まで部署を異動した担当者は、最初の1ヵ月は部署ごとの決まり事を覚えるまでに1日の半分を費やしていましたが、それがデータの共有化で2時間程度になりつつあるのでは」(さいたま事業所技術管理グループ 高橋大輔氏)。また、重視された使いやすさは狙いどおりの効果を見せている。「引き続き、購入部品のカタログデータ、環境関係のエビデンスデータをPDMに取り込んでいますが、PDMの利用度の高い部門から『もっと早く進めてほしい』と声を掛けられます。環境対策として使う部品がRoHS対応かどうか、簡単な操作で瞬時に分かるようになったことなどで、一気に信頼感が増したようです」(吉田氏)。
サポート態勢を振り返り吉田氏はこう語る。「採番体系の採用をはじめ、精密機器メーカーとしての実績をふまえた富士通のアドバイスをいただいたことが、スムーズなPDM導入につながったと思います。また、今後の課題であるCADとPDMの連携については大塚商会の親身な支援をいただくことができました」。
多彩な専門技術を結集した新しい製品の開発態勢がいよいよ整おうとしている。