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Fujitsu

Japan

iCAD MX 導入事例


長年不変だった工作機械の骨格部分を
解析によって部材・造作レベルから見直し最適化

-2次元/3次元Hybrid 設計でスムーズに浸透

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株式会社岡本工作機械製作所 様 導入事例


2次元設計に慣れた設計者が、新たに導入された3次元CADを活用するには操作法習得などハードルが存在すると考えられている。各種研削盤の設計・製造のパイオニア企業、岡本工作機械製作所は、2次元・3次元設計機能を兼ね備えたiCAD MXを導入し、無理なくハードルを越え、やがて各種解析の効率化で3次元CADの威力を実感。想定外だった工作機械骨格部分の造作や素材の最適化による、コストダウン、歩留まり向上に取り組み始めている。

[ 2014年4月制作 ]

【導入事例概要】
業種: 製造業
設計品: 各種研削盤・半導体関連装置
製品: FUJITSU Manufacturing Industry Solution iCAD MX

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ハイエンドの3次元CADを導入するも足踏み状態

岡本工作機械製作所は、1930年に歯車研削盤、1953年には平面研削盤の国産第1号を開発。以来、国内における総合砥粒加工機製作のパイオニアとして、常に時代の最先端をいく製品開発に挑戦し、提供してきた。現在、約6万台以上の同社製高精度・高品位マシンが世界各国のメーカーにおいて稼働している。とりわけ同社が長年にわたり培ってきた「磨き」の技術は、自動車用パワーデバイス、フラットパネル用マザーガラス、そして情報機器などの最先端産業を支えている。

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平面研削盤 PSG52CA

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CNC平面研削盤 PSG52CANC

case-19-photo_01 藤田 悦男
株式会社岡本工作機械製作所
技術開発部 技術課 管理係 係長

同社の3次元設計は、1999年のハイエンド3次元CAD導入にさかのぼる。ただし導入は、約70名の設計者チームに2ライセンスの導入と、試験レベルにとどまったという。同社技術開発部技術課管理係 係長の藤田悦男氏はこう語る。「トレーニングを受けたメンバーは数名でした。日々の業務が忙しく、システムの概念を理解するレベルに留まり、実際の製品設計での運用には至らず、2年で運用を休止。その後5年間足踏み状態が続きました」。
しかし、同社をとりまく技術的環境は短期間に変化。「一つは、PCなどのハードウェアのスペックが向上し、各ベンダーから数々のミッドレンジのCADシステムが製品化されたこと。そしてもう一つの変化が、協力会社においてNC工作機械、マシニングセンターの導入が進み、3次元データをやり取りできる環境が整ったこと。それによって当社発注の装置や部品を、より低コストで製作できる可能性が出てきたのです」(同氏)。同社はこうして、あらためて同社の製品設計に耐えうる3次元CADの選定、導入に取りかかることになった。

2次元・3次元両設計機能を備え、従来の2次元データとの親和性を評価

2006年、同社はiCAD MX(旧SolidMX V2.1)を20ライセンス導入。選定理由の一つは、国産の3次元CADだったという。その理由は、1997年から運用している外資系ベンダーの2次元CADの開発が打ち止めになった経緯を踏まえたものだった。藤田氏はこう語る。「その上で、iCAD MXが 長年にわたって蓄積した2次元CADデータと親和性が高かったこと。そして何よりも2次元・3次元一体型システムである点を高く評価しました。設計者にとって日常業務が最優先なので、一気に2次元から3次元CADに切り替えると支障をきたします。当社の場合、設計者が無理なくいつでも3次元設計にトライできるiCAD MXが最適であると判断したのです」。また同社技術開発部開発課 次長の齊藤浩嗣氏は、iCAD MXの第一印象をこう述べる。「3次元設計機能を使い、平面図面が立体的になっていくプロセスには新鮮さ、楽しささえ感じました。3次元CAD習得は大変だと実感していましたが、3次元設計に触れて、少しでも興味を覚えたなら、大変さは段階的にですが乗り越えられることも分かりました」。

case-19-photo_02 齊藤 浩嗣
株式会社岡本工作機械製作所
技術開発部 開発課 次長

1週間かかっていた解析が1日に短縮

同社は2007年、iCAD MXを50ライセンス増設。全設計者の2次元・3次元設計環境を整えたが、多くの設計者が2次元CAD操作に慣れていたため、3次元設計の浸透はゆっくりで、2次元・3次元CADの併用がしばらく続いたという。そうした中徐々に、既存機の大型モジュールの2次元データをiCAD MXに取り込み、3次元モデリングし改造設計を行うなどの事案が増えていった。また精密研削機の設計で重要な、振動周期や剛性解析などをきっかけにiCAD MXの活用場面が増えていったという。以前のCADでは、経験により解析する断面を何カ所かに定め、2次元断面のモーメントを求め、簡略化した数式を使って剛性解析を行い、その結果をつなぎ合わせて等価的に剛性値を求めていた。藤田氏はこう述べる。「この方法で改造設計を行う場合、改造前の剛性の1.5倍、2.5倍といった大まかな結果にとどまること。また手計算で行うため1カ所の解析に1週間か かっていました。ところがiCAD MXでは、剛性や振動の解析計算をCADの中で実行できるので、1週間が1日に短縮。その解析結果をもとに新しい形状を考え、いろいろな角度から解析することも可能になりました」。

case-19-img_03 構造解析による最適化設計

工作機械のベース部分の設計、素材の見直しも可能に

iCAD MXを活用した各種解析は、既存機の強度を保ちながら、鋳物造形やリブ構造の素材変更や簡略化によりコストダウンを図るといった効果ももたらしている。齊藤氏はこう説明する。「工作機械では鋳物を使うことが多いのですが、例えば鋳物を鋼板に変えれば鋳型を作る工程が不要になります。従来、こうした変更では、鋼板の厚さによって素材特性が変わるため、変更分だけ実機を作成し各剛性を計測していました。このような素材変更も、iCAD MX内で条件を自在に変えながら解析できるのです。より低コストの部材で従来以上の強度を出すことができるのでは、など、試行錯誤が簡単になったのです。『楽しささえ感じる』理由の一つは、こういうことでもあるのです」。
さらに、解析により素材変更の検討が容易になったことは、同社のこれまでのものづくりの固定的な概念を変え始めているという。藤田氏は、「少し極端な話ですが、例えばあるシリーズの研削盤では、剛性を保つため骨格部分の構造は10年、15年と変えていません。その変更による影響を解析することを考えると、手を付けられなかったのです。しかし骨格部分はもちろん、あらゆる部分を柔軟に解析できるようになり、コスト、機能アップの観点から素材や造形を抜本的に変えることが可能になるでしょう。実際に、コンセプトや性能、外観は1号機と同等ですが、各所の造形を変えた平面研削盤の2号機を市場に投入しています」と述べている。

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配管・配線部門での3Dモデル活用

設計者の意図を現場に対して正確に伝え、現合をなくす

導入効果は設計工程の下流においても現れている。例えば組立工程に3次元図面を提示することで、組立段階での設計に対する問い合わせが激減したこともその一つ。同社技術開発部開発課係長の佐野文宏氏はこう述べる。「とりわけ問い合わせが激減したのは、配管・配線部門です。配管・配線の2次元図面はきわめて複雑になるため、熟練者はうまく組み立ててくれるのですが、経験が浅いと、例えば穴開け位置など細部に機差が生じることがあります。機差は保守の効率に影響するので、組立が正しくなされているかのチェックに多大な時間を要していました。しかし、iCAD MXを使うことにより、一目瞭然の3次元図面を作成し、現場に見せ、設計者の意図を正確に伝えられるようになりました。組立現場の担当者を悩ませない環境が整いました」。
今後の展開として、配管・配線以外の組立工程においても3次元データを閲覧できる環境づくりに取り組んでいくという。また、3次元データから製品の3次元図を作成し、営業部門の拡販ツールとして活用することも考えているという。
岡本工作機械製作所はiCAD MXをツールに、ものづくりにおける設計資産、ノウハウを根本的に見直し、新たな価値の創成に向かって進みつつある。

photo_03 佐野 文宏
株式会社岡本工作機械製作所
技術開発部 開発課 係長

【株式会社岡本工作機械製作所 様 会社概要】
所在地 〒379-0135 群馬県安中市郷原2993番地
代表取締役社長 石井 常路
設立 1935年6月
資本金 48億8,051万円
従業員数 1,780名(単体308名)(2012年9月末現在)
事業内容 各種研削盤・半導体関連装置の製造・販売
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ホームページ 株式会社岡本工作機械製作所 ホームページOpen a new window

【導入事例(PDF版)】

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