Skip to main content

Fujitsu

Japan

iCAD MX 導入事例


設計チームとモデリングチームの分業により、
2次元設計から3次元設計への円滑で着実な移行を実現

-特許図面管理チームが3次元モデリング教育を担当

eyecatch_01

株式会社日本ピスコ 様 導入事例


2次元設計から3次元設計への移行には一定の時間を必要とする。理由は、多忙な設計業務に追われ、操作を学習する時間を確保できない、あるいは3次元設計の操作に慣れない段階ではかえって時間がかかるため、2次元設計から離れられないなど。空気圧機器を開発・製造する日本ピスコは、必要に応じた2次元設計、3次元設計の使い分けと、特許図面管理チームによる3次元モデリングの最適化により、無理なく着実に3次元設計への移行を進めている。

[ 2014年2月20日掲載 ]

【導入事例概要】
業種: 製造業
設計品: 空気圧機器
製品: FUJITSU Manufacturing Industry Solution iCAD MX


伊那第二・第三工場
img_01

icon-form 本事例に関するお問い合わせ

グローバル競争での生き残りをかけた設計プロセスの見直し

日本ピスコは、社名の由来でもある独自発想の流体切換法「PIPE・SLIDE・CHANGE(P.S.C)」により流体の切換弁を商品化し、1976年に創立。以来、空気圧機器の継手、チューブ、制御機器、各種真空ポンプをはじめとする多種多様な製品を開発・製造・販売している。なかでもワンタッチ継手は世界各国で特許を取得し、海外においても高い評価を得ている。近年では空気圧機器にとどまらず、さまざまな製造分野における流体搬送のニーズに応える特殊継手の開発・製造にも力を入れ、総合継手メーカーとして成長を続ける。
同社技術開発グループ 執行役員の北原敏正氏は、「主力製品の継手は新興国メーカーの参入で厳しいコスト競争にさらされている。その中でさらなる成長を目指すには、既存製品の改良設計を効率化し、なおかつ新製品を素早く開発、生産する必要があり、常に設計プロセスの見直しに取り組んでいます」と語る。

photo_01 北原 敏正
株式会社日本ピスコ
技術開発グループ 執行役員

img_02 主要製品

数々の2次元CAD運用上の課題と顧客からの3次元モデル要求

同社は1995年から7年間にわたって海外製の2次元CADを運用していた。しかし流用設計において、図面が一元管理されていないため、必要図面の抽出に時間を要し、一から設計し直さなければならない、版数管理ができない、専用部品が多く標準化ができないなど解決すべき課題が多々あった。同社技術開発グループ 特許図面管理チーム 主査の中山奈緒美氏はこう語る。「3次元CADの導入に踏み切った直接のきっかけは、お客様から『自社装置への組み付けをしっかり検証したいので、納入部品の3次元モデルが欲しい』とのご要望でした」。こうして同社は、3次元CADおよび図面管理システムを選定・導入することになった。

photo_02 中山 奈緒美
株式会社日本ピスコ
技術開発グループ
特許図面管理チーム 主査

2次元・3次元設計のどちらにも対応するiCAD MXを採用

3次元CADに求められた要件は、国産CADでサポートを受けやすい、従来のCADで作成した
2次元データとの互換性がある、2次元・3次元設計環境が共存している、図面管理システムと連携しているなど。これらの要件を1つ1つ検討した結果、同社はiCAD MXの採用を決定。
中山氏は採用理由をこう述べる。「採用検討時、お客様へ提供する図面は3次元で、製品設計は当面2次元を継続していく考えでした。したがって2次元・3次元設計環境が共存し、サポート面で安心できる国産3次元CAD、iCAD MXを採用。同時に図面・技術文書などをファイル管理するツール、MX Explorerの導入を決めました」。

徐々に習得した設計変更に対応する3次元モデリング

同社は3次元CADの利用を、3次元設計を真に必要とする業務に限定した。開発設計部門への一斉導入、あるいは3次元CADの利用を強制する策はとらなかった。「重要なことは設計作業の効率化、スピードアップであって、3次元モデリングに手間取って設計時間が増大することは避けなければならないからです」(北原氏)。
その一方で進められているのが、主要製品の3次元モデル化。作業にあたるのは、特許図面管理チームだ。同チームは当初、図面・技術文書等をMX Explorerで管理する作業にあたっていたが、顧客から提供を求められる3次元部品図の作り込みも引き受けるようになった。

img_03 設計変更時の柔軟な対応

中山氏はこう振り返る。「最初は富士通さんに手伝っていただきながら、見よう見まねでお客様に提供する製品の3次元モデリングに慣れていきました。その後、『設計変更時に、最小限の操作で形状変更できるように考慮しながら拘束をつけよう』と模索しながらモデリングするようになりました」。

特許図面管理チームが成し遂げた主要製品の3次元モデリング

iCAD MXおよびMX Explorerの導入後、特許図面管理チームによる図面の一元管理は着実に進み、現在までに約9,000部品の図面が電子登録された。それにより図面の検索が容易となったため、設計検討に必要な図面を迅速に用意できるようになり、共通利用する部品も増えた。また部品図の3次元モデリング作業も進み、設計変更に要する時間も短縮した。「例えば継手のチューブ径を4ミリから6ミリに換える場合、モデリングがしっかり作り込まれていれば、径寸法を6ミリに編集するだけで、関連部分も同時に形状が変更され、あっという間に設計変更されます」(中山氏)。特許図面管理チームは、主要部品のほとんどの3次元モデル化を完了したという。

教育により着実に3次元設計のエキスパートを育てる

当初、開発設計部門における3次元設計は、各種解析、干渉チェックを必要とする部品等に限られていたが、若手設計者を中心に、徐々に3次元設計の利用が広がっている。その若手設計者、3次元モデリングの習得を希望する設計者への教育を担当しているのも、特許図面管理チームだ。

img_04 新製品開発への適用
(真空ポンプ構想・設計)

2年前から始まった教育は受講者が最大4名に対し講師1~2名。同チームが自作したテキストを使い、3次元モデリングにおける最適な拘束設定などの教育を中心に進められる。教育が進めば、開発設計段階から3次元CADを使う設計者が増え、設計効率は着実に向上し、新製品開発に充てる時間も増えていく。

中山氏はこう語っている。「教育を受けて3次元モデリングを習得した開発担当者が、『一から3次元CADで設計し、設計変更が驚くほど簡単になった。つくづく3次元設計に切り替えて良かった』と言っていました。多忙な設計業務の中で機材を確保するのは大変ですが、月に1度は開催していきたい」。

ボトムアップ的に進んだ3次元CAD利用が上流工程からの1本の流れを形成

img_05 樹脂流動解析(肉厚部の確認)

img_06 樹脂金型の構造検討

3次元CADは、あくまでもそれを使うことで設計作業が効率化される場面に限って利用していくべきであるとの同社方針は変わっていない。その中で、あらたな利用場面となっているのが金型設計とCAMによる加工業務だ。さまざまな製造分野の多様なニーズに応えようとする同社は、従来のような金属素材の製品だけでなく、樹脂を素材とする製品の開発に力を入れる。そこで求められるのは、金型、射出成形、製品形状の解析ノウハウ。これまでグループ会社に頼っていた作り込み、解析のノウハウをiCAD MX利用によって自社内に蓄積し、開発のスピードを上げていくことになる。
同社はこれまでに、上流の設計部門ではまず構造解析、流動解析のために3次元CADを導入。そしてお客様に提供する部品の3次元モデリング、さらに既存の主要製品の3次元モデリングと、3次元CADを段階的に、着実に導入してきた。

北原氏はこうした経緯を踏まえ、同社の3次元CADの今後の展開についてこう述べている。「これまでは要所要所で点のように3次元CADを運用していました。今後は、上流から下流、設計開発から組立、製造へと1本の流れができるように運用していくことになります。やはり各部門一斉に導入するのではなく、個々の部門でテーマを決め、数人単位で運用しながら問題点を探り出して解決。その繋がりを上流から下流へと形にしていく手法で臨んでいこうと考えています」。
日本ピスコは、iCAD MXの運用を着実に定着させることで、厳しいコスト競争に勝ち残るための仕組みを構築しつつある。

【株式会社日本ピスコ 様 会社概要】
所在地 〒394-0089 長野県岡谷市長地出早3-9-32
代表取締役 山崎 清康
設立 1976年10月
資本金 4億8,856万円
従業員数 342名(2013年12月現在)
事業内容 空気圧機器の開発・製造・販売
logo_01
ホームページ 株式会社日本ピスコ ホームページOpen a new window

【導入事例(PDF版)】

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。