株式会社ニコン    半導体装置事業部 様

半導体露光装置における    VPS「工程機能」の活用-VPSで開発・技術・製造をつなぎ、生産準備情報を一元的に作り込む-

    スマートフォンや家電など、さまざまな製品が小型化・高機能化され、生活の中の一部として使われています。これらの製品に欠かせない半導体の進化に大きく貢献しているのが、株式会社ニコン 半導体装置事業部様の半導体露光技術です。
半導体露光装置は半導体の製造工程の要を担う装置で、nm(10億分の1m)単位の精度が求められ、「史上最も精密な機械」と言われています。同事業部様では、COLMINA デジタル生産準備 VPS(以下 VPS)を徹底活用することで、半導体露光装置の製品開発プロセスにおける設計変更件数の削減、製造工程における組立性改善と生産性の向上、工期の短縮を実現しました。
    本事例では、具体的な取り組み事例として、①定期的に、またはオンデマンドでCADデータをVPSデータに変換する仕組みの構築、②工程検討を進める中で得られた情報を、開発・技術・製造部門で共有し、新機種組立工程及び製品形状最適化につなげた活動、③「工程機能」を活用した工程の最適化検討および日程表等の自動生成、について、半導体装置事業部    生産・技術統括部    製造部    DK課    梅原 秀孝様よりご紹介いただきます。


半導体装置事業部
生産・技術統括部
製造部    DK課
梅原 秀孝様

社内システムと連動させた「VPSファイル自動変換システム」の構築

    半導体露光装置は、1機種あたり30万点以上の部品点数となり、扱う図面が大量に存在します。また、オリジナル図面に対して、設計変更に伴う図面登録・発行も日常的に頻繁に発生します。VPSの活用にあたって、VPSファイルへの変換作業の効率化を図るため、CADデータを管理しているPDMシステムと連動させた「VPSファイル自動変換システム」を構築しました。
    システムが出図を自動検出すると、変換リクエストデータがCADデータを管理するPDMに送信されます。PDMはCADデータをリクエストデータに基づきデータ変換領域へコピーします。コピーしたCADデータはバッチ処置でVPSデータに自動変換されます。セキュリティ強化のため、変換と同時にVPSデータプロテクト機能でVPSデータが暗号化されて利用者に公開されます。急を要する変換依頼や、出図前のモデルが必要な際はオペレーターの指示によりオンンデマンド方式で変換することも可能です。

VPSファイル自動変換システム概要

開発・技術・製造3者間による「組立検討会」の実施

    組立性を考慮した工程の検討、設計変更件数の削減を視野に入れ、開発・技術・製造3者間による「組立検討会」を実施しました。「今日はA部組をBに搬送する方法を考えましょう」といった議題を都度設定し、出図前のデータを用いてVPSのアニメーションから組立/調整手順の検討、製品/工具干渉のチェック、運搬/輸送/搬入方法の決定やそれらの作業性の確認などを行います。VPSでは、モデルや組立順番の入れ替え、アニメーション中での治工具を含めた干渉チェックも容易に行えるので、課題を抽出するだけでなく、課題解決の方向性もその場で議論することができます。これまでも製造側が開発側に「組立がしやすい構成にしてほしい」などのフィードバックはしていましたが、実際に変更してもらうまでには、時間がかかっていました。今回、組立検討会中に同じVPSアニメーションを見て課題の認識合わせをし、その場で本質的な議論できたことで、開発側から素早いアクションがあり、製品構成の変更など積極的に実施してもらえるようになりました。

開発・技術・製造3者間による「組立検討会」の実施

工程機能を活用した工程の最適化検討と日程表の自動生成

    工程の最適化、工期短縮を狙いとして、同時並行作業が可能な工程の検討と日程表の作成をVPS上で実施しました。VPSの最新機能である「工程機能」を活用することで、ビジュアルに工程の区切りや流れの確認、工程順序の検討や並行作業の検討、作業者への工程割り振りを行うことができます。
    また、VPSに入力した各種作業情報、工程情報をExcelマクロと連携させて、各工程を担当する職場、作業人数、工期、開始日などを一覧表記する「日程表」、朝のミーティング時にその日に行う作業内容の確認資料として活用する「工程別作業概要シート」、工程ごとに安全性の確認とチェック履歴を残すための「工程別リスクチェックシート」を自動生成する仕組みを構築しました。

VPS工程機能活用の狙いとアウトプット

今後の展開

    VPSファイル自動変換システムは、運用を始めてから5年間経過し、順調に稼働しています。より利用者にとって使いやすく業務貢献するシステムに順次アップグレードを予定しています。組立検討や工程機能の活用といったVPSの活用は、今回は新機種への適用でしたが、今後は大規模な機種改造に対しても積極的に取り込んでいきます。

    VPSをシミュレーションソフトとしてだけではなく、開発/技術/製造をつなぐツール、生産情報を一元的に作り込むツールとして有効活用し、その役割と活躍の場を広げていきます。

株式会社ニコン 様(NIKON CORPORATION)(2020年3月末現在)

本社東京都港区港南2-15-3 品川インターシティC棟
代表者代表取締役 兼 社長執行役員 馬立 稔和
設立1917年(大正6年)7月25日
事業内容光学機械器具の製造 / 販売
資本金65,476 百万円
従業員数連結 20,190 名 / 単体 4,442 名

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