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VPS 導入事例

株式会社島津製作所 様


VPSでドキュメント制作工数を半減 仮想DRや生産準備の効率化にも道を開く

分析・計測機器などの分野で世界的に知られる島津製作所は、「十分な評価と市場への早期投入を両立させる」「開発段階での品質の作り込み」「加工性と組み立て性が高い設計の実現」といった課題の解決をねらって富士通の「VPS(バーチャル・プロダクト・シミュレータ)」を2007年に導入した。
現在の用途は、様々なドキュメント制作の効率化、仮想デザインレビュー(VDR)、生産準備の効率化の3つ。
今後は海外拠点での開発にもVPSを適用するとともに、全事業・全製品への拡大を目指した普及・啓蒙活動を続けていく。

導入事例キーワード
設計品: 分析・計測機器、医療用機器、航空機器、産業機器などの開発・製造・販売
ソリューション:
PLMソリューション
製品:
VPS

甲斐 治 様 甲斐 治 様
株式会社島津製作所
CS 統括部 課長

笠井 貴之 様 笠井 貴之 様
株式会社島津製作所
CS 統括部 主任

1875年に創業、1917年に設立された島津製作所の沿革には、「世界初」「日本初」との冠が付く機器が並ぶ。
現在の主な事業分野は、分析・計測、医用、航空、産業機器の4つ。ノーベル化学賞受賞者の田中耕一氏を輩出するなど、その先進性と技術力は世界的にも認められている。
そうした島津製作所におけるものづくりでは、(1)十分な評価と市場への早期投入を両立させる、(2)開発段階での品質の作り込み、(3)加工性と組み立て性が高い設計の実現の3点が長年の課題になっていた。

VPSの導入と、普及活動のポイント

液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-IT-TOF」 液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-IT-TOF」

これらの課題を解決するべく、同社の3D-CAD研究会内にワーキンググループ(WG)が設置されたのは2006年8月。「ドキュメント制作の効率化」「仮想DR(VDR)の実施」「生産準備業務の効率化」などを実現するため、デジタルモックアップ(DMU)の検討をスタートさせた。
WGメンバーの所属部署は品証部、生技課、技術部など。要件として設定されたのは、試作前段階での評価、サービスマニュアルの制作、サービス員の教育(以上・品証部)、組立手順書の制作、工程バランス検証(以上・生技課)、タイミングチャートによる仮想メカ動作(技術部)などである。
検討作業を経て2007年3月に採用が決まったのは、富士通のVPS。「当社が使用中の3種類の3次元CADのすべてと連携できること、データ容量が小さくて一般的なPCでも扱えること、操作が簡単であること、検証機能と評価機能に優れ、拡張性が高いことが決め手になりました」とCS統括部 課長の甲斐治氏は語る。
その後、同年6月にはパイロット用の6ライセンスが導入され、具体的な活用方法の検証と社内に向けた普及・啓蒙活動が始まった。VPS推進の主担当となったCS統括部 主任の笠井貴之氏は、「まず、幅広い部門で3次元データを活用する意義を、設計部門にしっかりと理解してもらう活動に力を入れました。後工程での活用を前提とした3Dモデル命名規約や属性情報の入力ルールなどが設計部門内で運用され始めたことで、各部門にVPSが広く普及していきました」と話す。

ドキュメント制作工数を半減でき生産準備の効率化にも道が開けた

現在、島津製作所では約200名のユーザーがVPSをドキュメント制作、仮想DR(VDR)、生産準備の各用途に活用している。
VPSを活用して制作しているドキュメントは、組立手順書、パーツリスト、サービスマニュアル、取扱説明書など多岐に及ぶ。組立手順書は、VPS / Manufacturingにある組立順情報、工程情報、スナップショットを利用し、ワンボタンで所定のフォーマットに出力される仕組みを構築している。テクニカルイラストについては、操作性の良いVPSでイラストの構図を検討し、バックグラウンドで富士通の3次元CAD「SolidMX」を動作させることで、線画品質の高いEPSデータを作成している。笠井氏は「ドキュメント類の制作に要する工数は、従来のほぼ半分。ハーネスやケーブルのイラストでは、10分の1になりました」と導入効果を語る。
VDRを行うねらいは、フロントローディングによって手戻りや実機試作回数を減らすこと。構想設計と詳細設計の終了時に実施される集合VDRに加えて、随時、各部門内でVDRを実施して製造性・組立性・メンテナンス性・操作性・安全性などの評価を行っている。部門内のVDRがスムーズに実施されるように、逆引き操作手順書やVDR実施要領、VDRチェックリストなどの運用マニュアルも整備した。今後は、設計が何割まで進んだ段階で行うのが適切か、VDRによって指摘された事項をどのように設計仕様にブレークダウンするかなどを見極めながら、より多くの製品に適用していく見通しだ。
さらに、VPSは生産準備業務にも広く使われ始めている。狙いは、3次元データを利用した工程設計業務の早期着手と効率化。VPSを製造情報の共有化ツールとして捉え、関係者全員でデータを育てていくことで、情報の共有化や作業の効率化、各種帳票の整合性/メンテ性の向上を図る取り組みを試行中だ。例えば、設計部門が設定した部品金額に、製造部門が検討した製造フローと組立工数をプラスするとおおまかな製造原価も求められる。このような活用を実現するために、島津製作所ではVPSサーバを設計部門と生産部門で共有。設計→試作→検証→量産の全ライフサイクルを通じて情報を共有するとともに、組順検証図、工数計算グラフ、QC工程表、組立手順書、パーツリスト、部品表(M-BOM)、調整手順書、組み立てアニメーションなどの資料を作成している。

VPSを製造情報の共有化ツールとして捉え、データを関係者全員で育てていくことで、情報の共有化や作業の効率化、データの整合性 / メンテ性の向上を図る

VPSを製造情報の共有化ツールとして捉え、データを関係者全員で育てていくことで、情報の共有化や作業の効率化、データの整合性 / メンテ性の向上を図る

目標は全事業部、全製品への適用海外拠点での開発にも広げたい

このように数々の成果は出ているものの、道はまだ半ばといったところ。全事業部、全製品で使われる標準ツールへと昇格させるべく、CS統括部は普及・啓蒙活動に引き続き取り組んでいる。
その一つのテーマが、海外対応。新興国向け仕様に基づいた製品の開発から製造までを現地で行えるようにする-とのトップ方針に従い、VPSについてもなんらかの形で中国をはじめとした海外拠点で使えるようにする予定だ。
また、他事業部に使ってもらうことも、もう一つの重要テーマ。「医用機器事業部では、3機種の製品に対してパイロット適用を進めています。普及のスピードを加速するために、このパイロット適用にはわれわれCS統括部が全面的にバックアップします」と甲斐氏。ボトムアップの社風を大事にしつつVPSを着実に普及させていくことを、CS統括部は活動の目標としている。

【会社概要】

株式会社島津製作所

  • 本社:京都市中京区西ノ京桑原町1番地
  • 設立:1875年3月創業、1917年9月設立
  • 代表取締役社長:中本 晃
  • 資本金:約266億円
  • 従業員:9,624名(連結、2010年3月31日現在)、3,434名(単独、2010年3月31日現在)
  • 事業内容:
    1875年に京都で創業。「科学技術で社会に貢献する」との社是のもと、分析・計測、医用、航空、産業機器の4事業分野で装置の設計・開発、製造、販売を行っている。次世代医療、環境、産業計測の各領域にも取り組み中。