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VPS 導入事例

クラリオン株式会社 様


VPSを国内外の製品開発と製造の拠点に導入
DMDRの活用で試作回数が3回から2回へ

2003年から車載用音楽/情報機器の設計を3次元化してきたクラリオンは、設計品質を評価するツールとして、富士通の3次元仮想設計支援シミュレータ「VPS(Virtual Product Simulator)」を採用。金型手配前の合同判定会で3次元評価を行うことにより、金型修正に要するコストと期間の削減を目指した。半年間の運用準備後、VPSを使った3次元評価は2006年から定常業務としてスタート。従来は3回行われていた試作を、3次元評価と2回の試作に圧縮するという効果をもたらした。VPSは海外の製品開発にも導入され、国内拠点との情報共有による評価や生産準備の効率化・迅速化も実現している。

導入事例キーワード
業種: カーオーディオ、カーナビゲーション、車載用カメラなどの自動車関連の音楽/情報機器。
ソリューション:
PLMソリューション
製品:
VPS

熊坂 憲一 様 熊坂 憲一 様
クラリオン株式会社 技術開発本部
量産技術部
部長

1940年に設立されたクラリオンは、カーラジオ(1951年)やカーステレオ(1963年)を国内で最初に商品化するなど、車載用の音楽/情報機器の最先端を走り続けてきた。現在は主要な自動車メーカーに製品を供給しているほか、国内外のアフターマーケット向けの販売にも携わっている。

そのクラリオンがデジタル試作/デジタルモックアップデザインレビュー(DMDR)への第一歩を踏み出したのは、2003年のことだった。「車載機器の設計・開発では、供給先の自動車メーカーと連携して作業することが大前提となります」と語るのは、クラリオンの生産技術チームを率いる、技術開発本部 量産技術部 部長の熊坂憲一氏。早期から3次元設計に取り組んできた自動車メーカーに習い、同社でも3次元CAD構築プロジェクトが立ち上げられ、その中で量産技術部として3D評価の検討に参画していた。

同社がこの3次元CAD構築プロジェクトでねらったのは、「開発リードタイム50%短縮」「開発費用50%削減」「設計品質50%向上」「製品開発プロセス改革」の4つの目標。進め方としては、まず2003年からの第1ステップで3次元設計の基礎環境を整備し、次いで、デジタル試作の鍵となる3次元評価の方法を2004年からの第2ステップで決めるという段階的な方式がとられた。具体的な活用は、それに続く第3ステップで進めていくという手順である。

金型手配判定にDMDRを活用・使い勝手と発展性でVPSを採用

カーナビゲーションの新時代を切り開いたクラリオンの「クラスヴィア NX809」 カーナビゲーションの新時代を切り開いたクラリオンの「クラスヴィア NX809」。ワイド7型 VGA 2DIN 地上デジタルTV/DVD/HDD AV-Naviシステム。リアルタイム情報を駆使した高精度な渋滞回避能力を備える

しかし、3次元評価の方法が決まるまでの過程は決して容易なものではなかった。「実は、第2ステップに進んだばかりの時点では、3次元設計のアウトプットをどのように評価すればよいのか、まったくイメージを持ち合わせていませんでした」と熊坂氏は語る。いくつかのITベンダーから技術資料や顧客導入事例を取り寄せて検討を重ねた結果、実機の場合と同じプロセスで同じ項目を評価対象とするのではなく、現状の3次元評価が有効かつ可能なものに絞り込めばよいのだと頭を切り替えることにしたという。
VPSを使ったDMDRは金型手配を決める出図判定の段階で行うという運用ルールは、このようにして決まった。クラリオンでは、金型の手配に移ってよいかどうかを開発関連部門(設計、生産技術、品質保証、品質管理、購買など)による合同の判定会で決めることにしている。そこで、このタイミングで3次元設計の構造と機能をレビューすることにより、開発リードタイム短縮と金型修正に要するコストの削減を目指したのである。
併せて、DMDR用のツールには富士通のVPSを採用することに決め、2005年8月に導入した。導入の決め手となった点を熊坂氏は「『見るだけ』のビューア機能しか持たない製品が多い中で、VPSは3次元CADのデータをネットワーク経由で手軽に扱える唯一の3次元仮想設計支援ツールでした。また、投資対効果の観点からは、生産技術部門での活用まで想定した多様な使い方ができる発展性の高さを評価しました」と話す。

DMDRの活用で3回の試作が2回に海外拠点にも導入して効果発揮

導入決定後、第3ステップが始まるまでの半年間は、富士通と共同で開発した実践的研修プログラムの実施や運用プロセスの検討にあてられた。「VPSの使い方が分かっただけでは、設計から上がってきた3次元モデルのDRは行えない」(熊坂氏)と考えたからである。最も重視したのは、3次元モデルをどこから取り外していけば分解できるかを自分で考えられるようにするためのトレーニング。それが分かれば、組み立て順も容易に確認できるようになるからだ。
第3ステップがスタートしてから、間もなく4年――。クラリオンは3次元化のメリットを日常の業務で実感できるようになった。設計については、すべての製品・機種を3次元設計に移行済み。すでにふれたように、型物部品については金型手配前に3次元評価によるDRを必ず実施する開発プロセスになっている。「以前は手作り試作、型物試作、最終試作と3回の試作が必要でしたが、現在では試作2回のみで済ませられるケースが多くなってきました」と熊坂氏は顔をほころばせる。
また、海外にも製品開発と製造の拠点を置くクラリオンは、VPSを現地オフィスにも導入。国内拠点との情報共有によって作業の効率化・迅速化も実現している。「当社は設計基準や生産技術基準を全世界で統一しています。海外の拠点での設計も進めていきます」と熊坂氏。そのための第一歩として、海外製品開発拠点で作り上げた3次元モデルの評価を国内の生産技術部門が並行して実施したり、海外製造拠点で使う治具を現地業者に発注する際にVPSで分かりやすく説明したりするなど、今では欠かすことができなくなっている。

VPSによる3次元DR評価を行うことにより試作完成度を向上

VPSによる3次元DR評価を行うことにより試作完成度を向上。従来3回試作していたものを2回の試作に。コスト削減と納期短縮に大きな効果を得る

今後は工数計算をVPSで自動化
教育訓練にも継続的に取り組む

金型手配前の合同判定会で3次元評価を実施することが定常業務となった今、クラリオンはVPSを生産技術の他の目的でも活用するための準備を進めている。その1つとして熊坂氏が挙げるのが、組み立て工数の自動計算。3次元設計で扱っている要素についてのデータベース化はすでに始まっており、パネル部については2010年度内に処理を開始できる見込みだ。「実は、自動工数計算もVPS導入の本来の目的の1つでした。当面の目標は、誰が担当しても同じ計算結果が得られるようにすること。将来的には、外部に発注する際の見積計算にも利用したいですね」と熊坂氏は話す。
また、継続的な取り組みが求められる課題として、教育訓練もある。「若い人から熟練者まで、すべての人に3次元評価の考え方を浸透させていかなければなりません」(熊坂氏)というのが、クラリオンの基本的な考え。海外拠点についても、国内で作成したマニュアルや事例教材を基にトレーニングを強化していく構えだ。

【会社概要】

クラリオン株式会社

  • 本社:東京都文京区白山5-35-2
  • 本社事務所住所 :埼玉県さいたま市中央区新都心7-2
  • 設立:1940年12月18日
  • 取締役社長:泉 龍彦
  • 資本金:261億円
  • 従業員:10,132名(連結・2009年3月期) 1,075名(単独・2009年3月期)
  • 事業内容:主力製品は、カーオーディオ、カーナビゲーション、車載用カメラなどの自動車関連の音楽/情報機器。