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Fujitsu

Japan

VPS 導入事例

三洋電機株式会社 様


操作性と活用度の高さで選択したVPS
VDRだけでなく作業手順書作成にも利用

一般消費者向けと業務用の両方のものづくりで力を発揮してきた三洋電機は、1990年代から3次元設計に取り組んでいる。2003年からは富士通のデジタルモックアップ(DMU)ツール「VPS(Virtual Product Simulator)」を使ったバーチャルデザインレビュー(VDR)をスタートさせ、事業部レベルで効果を確認した上で、トップダウンで全社へと展開した。同社のVDRの特長は、VPSで作成したDMUとアニメーションを使って設計者が製品の構造を説明した後、チェックシートを基に関連部署が検証をするという運用法にある。このほか、作業手順書の作成を効率化するためのツールとしても使われるなど、VPSは同社のものづくりに欠かせない存在となっている。

導入事例キーワード
設計品: AV/情報機器や家電製品、業務用冷蔵ショーケースやエアコン など
ソリューション:
PLMソリューション
製品:
VPS

設計部門と製造部門の意思疎通がカギに

case-13-pre01 平手 政之 様
三洋電機株式会社
ITシステム本部
ビジネスソリューション部
CAE担当チーム
マネージャー

日本を代表する電機メーカーである三洋電機は、一般消費者向けではAV/情報機器や家電製品、業務用では冷蔵ショーケースやエアコンなどの製品に強みを持つ。また、ブランドビジョン「Think GAIA」を掲げる環境・エナジー先進メーカーとして、繰り返し使える電池「eneloop」を始めとするエコロジカルな製品も数多く世に出している。

そうした三洋電機は1990年代に3次元設計を導入し、1997年頃には3次元CADを本格的に使うまでになっていた。「まず金型への適用からスタートし、金型メーカーと3次元データをやり取りすることを目指しました。そのうちに、設計・開発面での効果も出始め、3次元設計についてのノウハウも蓄積できたのです」とITシステム本部 ビジネスソリューション部 CAE担当チームマネージャーの平手政之様は振り返る。

次の段階として考えたのは、金型以外への3次元モデルデータの活用だった。

その成果の1つが、デジタルモックアップ(DMU)を使ったバーチャルデザインレビュー(VDR)、もう1つが作業手順書作成業務の効率化である。


VPSでDMUとアニメを作成しチェックシートでVDRを検証

case-13-01 三洋電機のDRプロセス。最初の2~3回はDMUを使ったVDR、以降はモノによるDRで行う

三洋電機で現在行われているデザインレビュー(DR)は、最初の2~3回がDMUによるVDR、それ以降が技術試作や量試(量産試作)見本などのモノによるDRとなっている。DMUのためのツールとして同社が2003年に選んだのは、バーチャルなものづくりを実現する富士通の「VPS(Virtual Product Simulator)」だ。VPSに決めた理由を、平手様は「アニメーションを制作できることと、現場でも簡単に使える操作性の高さを評価しました」と話す。

VDRを行うにあたっては、まず3次元モデルからDMUとアニメーションのファイルをVPSで作成しておく。その後、アニメーションを使って構造の変更点や追加点を設計者が関連部署に説明し、関連部署が検証をした後、部内会議と全体会議を経て1回のVDRが完了する。検証で指摘された事項を共有・管理するために、三洋電機はWeb上で管理するシステムも独自に開発している。

この一連のプロセスで最も重要な役割を果たすのが、検証の基準として使われているチェックシートだ。平手様は「このシートには安全性、組立性、サービス性、干渉、貼り合わせなどの様々なチェック項目が盛り込まれており、現場のノウハウをまとめたものとなっています」と説明し、「放っておくと数百項目の巨大なチェックシートになってしまうので、『漏れなく』『重複なく』を主眼に、プライオリティー付けを定期的に見直しています」と付け加える。

DMUを使ったVDRの効果として、平手様は「より多くの不具合を試作前に発見できるようになったこと」を挙げる。VDRを開始した2003年の段階では試作前に発見された不具合の37%をDMUで検出できた。その後の改善を継続的に続けることで、現在では約50%をDMUで検出している。「Fコスト(Failure Cost)の引き下げにも、DMUベースのVDRは大きく寄与しています」と平手様は言う。

また、VPSは作業手順書の作成作業を効率化するためのツールとしても使われている。具体的には、3次元モデルからのアニメーション制作、工程表作成、部品一覧出力までをVPSで行い、Excelマクロでカスタム開発したアプリケーションによって作業手順書の原稿を一括作成してしまうという流れだ。この使い方について、平手様は「生産の垂直立ち上げ、作業ミスの撲滅、製造ノウハウの落とし込みなどに役立っています」と評価している。

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(左)三洋電機の防水仕様デジタルムービーカメラ「Xacti(ザクティ) DMX-CA8」
(右)VPSによる「Xacti」の3次元イメージ


一事業部で効果を実証してからトップダウンで全社展開

2003年の導入後、VPSは三洋電機内の様々なカンパニーや事業部でVDRや作業手順書作成に使われるようになった。

普及の成功要因について、平手様は「1つの事業部で実際の効果を出した後、トップダウンで広げていくようにしたのが功を奏しました。また、VDRの標準的なプロセスや運用ルール等をテンプレートとして社内展開したことも、普及を促進する一因になったと思います」と語る。

VPSのさらなる有効活用に向けて、三洋電機はこれからも多様な取り組みを進めていく。

「今後は、VDR自体のブラッシュアップのほか、組立難易度の評価や生産設備の検証にも応用していくつもりです。また、蓄積された設計・検証ノウハウを共有するためのナレッジ管理にもそろそろ手を付けなければなりません」と、平手様。VDRはすでに三洋電機のものづくりに欠かせない存在となっている。

【会社概要】

三洋電機株式会社

  • 本社:大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号
  • 設立:1950年4月(創業は1947年2月)
  • 代表取締役:佐野精一郎
  • 資本金:3,222億4,200万円(2008年3月31日現在)
  • 従業員:1万823名  連結:9万9,875名(2008年3月31日現在)
  • 事業内容:
    日本を代表する電機メーカーとして、一般消費者向けではAV/情報機器や家電製品、業務用では冷蔵ショーケースやエアコンを強みとする。ブランドビジョン「Think GAIA」のもと、環境・エナジー先進メーカーも目指す。
  • URL:http://www.sanyo.co.jp/新規ウィンドウが開きます