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Fujitsu

Japan

FTCP SignalAdviser 導入事例


ノイズ発生源を効率的に特定する電源品質シミュレーション(Power Integrity)
電源仕様を考慮し、シミュレーション検証で安定動作へ

アポロ技研株式会社 様

電子機器開発の戦略的アウトソーシングパートナーで『ワンストップ・デベロップメント』を実現しているアポロ技研株式会社は、電子機器の高機能化や多機能化が進んだ“ハイスペック基板”を安定動作に導くために電源品質シミュレーション「FTCP SignalAdviser-PI」を導入した。これまで、多くの時間を費やしていたノイズ発生源の特定を短時間で可能とし、設計期間内にカット&トライを繰り返すことにより、製品の安定動作を実現した。

【導入事例概要】

業種 :製造業
設計品 :電子機器開発・設計、プリント基板設計
製品 :FTCP SignalAdviser-PI

電子機器の安定動作の実現を目指して

アポロ技研株式会社は、基板設計者、シミュレーション技術者が一体となって、プリント基板設計業務を行い、高品質な電子機器開発・設計・製造を提供している企業。そうした同社は、近年、電子機器の高機能化や多機能化が進んだプリント基板の設計業務を積極的に取り組んでいる。

「大量データ伝送を実現するための信号の高速化、計算処理速度の増大に伴う大電力化は、プリント基板設計に高い品質を求めており、従来の経験や実績に頼ったノウハウでこれらの品質を担保することは実現不可能であった。特に、これまでは重要視されてこなかった電源設計の品質は機器の安定動作の大きな要因となっており、信号配線のみならず、電源配線もシミュレーション技術を活用し定量的に評価することが重要である。」と語るのは、アポロ技研技術部要素技術推進課の遠藤聡様だ。

ノイズ発生源を短時間で特定し、電源品質を確保

先日、あるお客様から「製造した基板で、品質評価試験(低温評価試験)を行うと、CPU-DDR2メモリ間の動作でタイミングエラーが出る。原因を調査して欲しい。」と相談がありました。そこで、お客様と弊社にてプリント基板の目視チェックをしたところ、電源パターンに疑わしい個所を発見。まずは、細くなっている電源パターンに着目し、「FTCP SignalAdviser-PI」にて、直流解析(電圧ドロップ)検証を実施しました。しかし、電圧降下の値は小さく、CPUの電源電圧は推奨動作条件を満たしており、特に問題なし。次にインピーダンス解析で、パスコンの個数、定数、配置に問題がないかを検証すると、CPUの電源端子における「インプットインピーダンス」が「ターゲットインピーダンス」を超えており、CPUが動作した際にパスコンからの電荷供給が追い付かず、電源電圧が推奨動作条件を満たしていないことが判明。また、解析結果のグラフから、この原因はパスコンの個数や定数のミスマッチではなく、パスコンの配置位置に問題があると推測。対応策は「いかにパスコンをCPUの電源端子に近づけて配置するか」に絞られ、基板設計CADにてパスコンを電源端子に極力近づけるパターン修正を行い、再度解析を実行すると、インプットインピーダンスは下がり、この対策に効果が見込まれることを確認。また、この設計変更を盛り込んだ実基板を、再度、品質評価試験(低温評価試験)を実施したところ、今回は動作不具合が発生せず、電源品質の確保が安定動作につながった。

基板A(改版前の電源パターン)
基板A(改版前の電源パターン)

基板B(改版後の電源パターン)
基板B(改版後の電源パターン)

FTCP SignalAdviser-PI シミュレーション結果 (改版前後のインプットインピーダンス)
FTCP SignalAdviser-PI
シミュレーション結果
(改版前後のインプットインピーダンス)

更なる電源品質向上を目指して、Power-Aware-SIシミュレーションの実現

更に、近年、高速ディジタル回路設計において課題となっている“同時スイッチング・ノイズ(SSO)”問題を、「FTCP SignalAdviser-PI」の電源配線Sパラメータ抽出機能と他社SIシミュレーションツールを用い、電源・グラウンドの変動を考慮した信号品質(SI)解析、Power-Aware-SIシミュレーションとして実現。改版前のタイミングエラーが出る基板では、CPU動作に合わせ変動する波形を確認すると、ある本数以上の信号線が同時スイッチした際に電源変動が信号波形にも表れ、Hi/Lo反転の可能性があることが判明。しかし、改版後の基板を確認してみると、同時スイッチングによる電源変動は小さく、信号波形も安定しており、良好な状態。改版前後での基板設計の違いは電源設計のみで、信号配線の変更は行っていませんが、信号波形に大きな違いが生じていることが確認されました。

Power-Aware-SI解析概念図
Power-Aware-SI解析概念図

SIシミュレーション結果 (改版前:波形Hi/Lo反転)
SIシミュレーション結果
(改版前:波形Hi/Lo反転)

SIシミュレーション結果 (改版後:波形安定)
SIシミュレーション結果
(改版後:波形安定)

電源仕様を考慮した設計、シミュレーションによる検証で安定動作へ

同社は更なるシミュレーションの活用で、品質の良い基板設計と、”ものづくり”を提供できる体制を整えている。遠藤氏はこう語る。「今回の低温試験のみならず、量産が近くなったフェーズで高負荷試験を実施した場合、メモリアクセスを上げた時に、これまでの試作では発生していなかったデータエラーが生じる場合など、この様なケースは電流変動が大きくなったことによる影響だと推測されます。また、これらの問題は電源品質によるものと考えられ、こういった問題を回避するためには、設計の初期段階より電源仕様を考慮した電源設計が必要で、その際には、電源品質シミュレーションの活用が適している。また、「FTCP SignalAdviser-PI」は、電源品質を検証するにあたり、迅速に計算結果を出してくれるため、プリント基板設計期間内にカット&トライを繰り返すことができる有効なツールである。」

FTCP SignalAdviser-PIは、アポロ技研における高品質な基板設計の開発をアシストするツールとなっている。

【アポロ技研株式会社 会社概要】

アポロ技研株式会社は、プリント基板設計業務を軸に、電子機器の開発を回路設計から製造まで社内一貫体制をとっており、総勢80名を超えるハードウェア設計者、ソフトウエア設計者、基板設計者、シミュレーション技術者が一体となって、高品質な電子機器開発・設計・製造を提供している。また、年間200件におよぶ受託開発、1000件を超える基板設計、200件を超えるシミュレーションなど、これまで培われた豊富な実績と技術力は、音響・映像機器、通信インフラ、産業機器、車載系など様々な業界カテゴリーをカバーしており、お客様のご要望に合わせた最適な“ものづくり”を提案している。

所在地 神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎南2-6-25
代表取締役社長 荒井 眞澄
会社設立 1978年8月2日
資本金 311,734,000円
従業員数 115名
事業内容
  • 電子機器開発に関する総合的な技術支援・開発
  • プリント基板CAD設計・製造・販売
  • オリジナル製品の開発・製造・販売
ホームページ http://www.apollo-g.co.jp/Open a new window