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Fujitsu

Japan

FTCP SignalAdviser 導入事例


ハイスペック基板を安定動作に導く電源品質シミュレーション(Power Integrity)
基板設計にかかる期間・コストを大幅削減

アポロ技研株式会社 様

電子機器開発の戦略的アウトソーシングパートナーで『ワンストップ・デベロップメント』を実現しているアポロ技研株式会社は、電子機器の高機能化や多機能化が進んだ“ハイスペック基板”を安定動作に導くために電源品質シミュレーション「FTCP SignalAdviser-PI」を導入した。これまで重要視されてこなかった電源設計の品質を安定化させることにより、電子機器の安定動作を実現させ、更に基板設計期間の大幅短縮、低コスト化を図った。

【導入事例概要】

業種 :製造業
設計品 :電子機器開発・設計、プリント基板設計
製品 :FTCP SignalAdviser-PI

電子機器の安定動作の実現を目指して

アポロ技研株式会社は、基板設計者、シミュレーション技術者が一体となって、プリント基板設計業務を行い、高品質な電子機器開発・設計・製造を提供している企業。そうした同社は、近年、電子機器の高機能化や多機能化が進んだプリント基板の設計業務を積極的に取り組んでいる。

「大量データ伝送を実現するための信号の高速化、計算処理速度の増大に伴う大電力化は、プリント基板設計に高い品質を求めており、従来の経験や実績に頼ったノウハウでこれらの品質を担保することは実現不可能であった。特に、これまでは重要視されてこなかった電源設計の品質は機器の安定動作の大きな要因となっており、信号配線のみならず、電源配線もシミュレーション技術を活用し定量的に評価することが重要である。」と語るのは、アポロ技研技術部要素技術推進課の遠藤聡様だ。

シミュレーション技術を活用した試作一発完動へのチャレンジ
<インテル®Cyclone®V SoCを搭載したマクニカ製『FPGA評価ボード「Sodia」』の開発>

同社が開発する“ハイスペック基板”、とりわけFPGA開発ボード設計は、複雑化の一途をたどっている。

今回、同社が設計・開発した、FPGA評価ボード「Sodia」は、インテル®Cyclone®V SoCを搭載したハードプロセッサおよびFPGA開発ボードで、多数のインターフェースや、5Gbpsのトランシーバー、DDR3メモリなどを実装している高機能な評価ボード。お客様より、このFPGA評価ボード「Sodia」の開発依頼があったのが、一昨年の6月下旬のこと。お客様の要望は、この年の11月中旬に開催される最先端の技術総合展示会に出展し、FPGA評価ボード「Sodia」にてデモンストレーションを実施すること。実質3か月程度の開発期間で動作不具合なく、試作一回で完全に動作する機器を納めることが要求されました。失敗が許されないこの短納期開発において、品質を担保しつつ、後戻り工程も極力抑えて設計を進めるためにもシミュレーション技術の活用は必須でした。

この様な状況の中、信号品質を担保するSIシミュレーションでは、5Gbps信号のEye波形検証やDDR3タイミング検証を行い、信号配線の配線層や配線経路、配線長に問題がないか確認しました。また、EMCシミュレーションでは電源プレーン共振を実施し、電源パターンからのノイズ放射を抑えた設計を検討し、放射ノイズ抑制のためのスナバ回路追加を実施しました。

「Sodia」FPGA評価ボード
「Sodia」FPGA評価ボード
SIシミュレーション結果 「Eye波形」5Gbps信号
SIシミュレーション結果
「Eye波形」5Gbps信号

更なる基板層数削減による大規模コスト削減

今回の「Sodia」開発では、基板設計品質確保の他に、もう一つのチャレンジがありました。

それは、基板層数削減による大規模なコスト削減検討で、このコスト削減において大きな効果を発揮したのが、電源品質シミュレーション「FTCP SignalAdviser-PI」でした。

元々、同社では「Sodia」開発前に「Apollo-5」という評価ボードを開発していました。「Apollo-5」は5GbpsトランシーバーやDDR3メモリ実装など、機能や拡張インターフェースが「Sodia」に似通っており、この「Apollo-5」の基板層数は16層でした。お客様は、この「Apollo-5」とほぼ同じ仕様の「Sodia」を、12層の基板層構成でコスト削減を目指しており、これは当社にとって大きなチャレンジでした。

「Apollo-5」の16層基板では、プリント基板での大きな電圧降下や温度上昇が生じない様に、電源はベタパターンや太いパターンで設計しており、FPGAの性能を最大限に発揮するために電源仕様を設計しています。一方、「Sodia」では、全体的に「Apollo-5」よりも最大消費電力が小さく見積もられており、当社ではこの電源仕様の違いに着目し、「Sodia」に対し最適な電源設計を検討しました。

まずは、比較的、消費電流値の小さい電源については、信号層と同じ層にて、配線パターンで設計し、基板層数削減を検討しました。また、低電圧・大電流のFPGAのコア電源のみならず、細長くなった電源も、配線長や配線幅に問題がないかを「FTCP SignalAdviser-PI」にて検証しながら設計を進めました。そして、基板設計と並行して実施した電源品質シミュレーション検証により、最終的には電源層を2層、グランド層を2層削減し、12層基板を実現することに成功しました。

「Sodia」基板 FPGAコア電源(1.1V、2.0A)
「Sodia」基板
FPGAコア電源(1.1V、2.0A)

「Sodia」基板 FPGAコア電源シミュレーション結果
「Sodia」基板
FPGAコア電源シミュレーション結果

SI/PI/EMCトータルシミュレーション活用によるクオリティの高い製品開発

同社は更なるシミュレーションの活用で、品質の良い基板設計と、”ものづくり”を提供できる体制を整えている。遠藤氏はこう語る。「FPGAをはじめとする低電圧・大電流電源を持つLSIが搭載されたプリント基板では、電源品質を定量的に検証することが必要で、電源品質(PI)シミュレーションは安定動作を担保するためにも必須である。また、SI/PI/EMCシミュレーション技術の活用で、高品質・短納期・低コストのハードウェア開発を実現し、技術者同士の連携によるクオリティの高い製品開発を目指している。」

FTCP SignalAdviser-PIは、アポロ技研における高品質な基板設計の開発をアシストするツールとなっている。

【アポロ技研株式会社 会社概要】

アポロ技研株式会社は、プリント基板設計業務を軸に、電子機器の開発を回路設計から製造まで社内一貫体制をとっており、総勢80名を超えるハードウェア設計者、ソフトウエア設計者、基板設計者、シミュレーション技術者が一体となって、高品質な電子機器開発・設計・製造を提供している。また、年間200件におよぶ受託開発、1000件を超える基板設計、200件を超えるシミュレーションなど、これまで培われた豊富な実績と技術力は、音響・映像機器、通信インフラ、産業機器、車載系など様々な業界カテゴリーをカバーしており、お客様のご要望に合わせた最適な“ものづくり”を提案している。

所在地 神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎南2-6-25
代表取締役社長 荒井 眞澄
会社設立 1978年8月2日
資本金 311,734,000円
従業員数 115名
事業内容
  • 電子機器開発に関する総合的な技術支援・開発
  • プリント基板CAD設計・製造・販売
  • オリジナル製品の開発・製造・販売
ホームページ http://www.apollo-g.co.jp/Open a new window