古絵図などの貴重な郷土資料を「しまねデジタル百科」で公開

異なるコンテンツ情報の一元管理から公開までをワンストップで実現し、しまねに関するタイムリーな情報発信と入手が可能に!

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島根県立図書館 様 導入事例


島根県立図書館様は、2015年7月、図書館情報システムの導入と同時に、古絵図、古書史料、郷土人物情報を検索できる「しまねデジタル百科」と「新聞記事検索」のサービス提供を開始しました。「FUJITSU 文教ソリューション Musetheque V4」の導入により、形態の異なるコンテンツを一元管理し、県民をはじめとする県内外多くの利用者がいつでもどこからでも検索・閲覧できるサービスを実現。拡大・縮小が可能な高精細画像の提供や異なるコンテンツ間の横断検索などにより、充実した情報がタイムリーに入手できるようになりました。同館は、今後もデジタルコンテンツの充実を図るとともに、島根県に関する情報のポータルも視野に入れていきます。

[2015年11月09日掲載]

【導入事例概要】

業種 文教
ソリューション FUJITSU 文教ソリューション Musetheque V4

島根県立図書館 館長 田中 郁子 氏
「古絵図や古書史料など貴重な郷土資料は、単に保存するだけでなく、県内外の方に広く利用していただくことが重要だと考えています。しかし、古い資料がゆえに取り扱いが難しいことなどから今回Musethequeを導入し、デジタル化したコンテンツを一元管理して公開するシステムを新たに構築しました。今後も郷土資料のデジタル化、利用提供を推進することで、皆様の役に立つ図書館を目指していきます」

【課題と効果】

1 古絵図、古書史料、郷土人物情報、新聞記事など、形式の異なる郷土資料データを一元的に管理し、インターネット上で公開したい それぞれの形態に合わせて管理項目を柔軟に設定できる「Musetheque」により、分散していたコンテンツを集約し「しまねデジタル百科」「新聞記事検索」としてワンストップで公開。いつでもどこからでも検索・閲覧を可能にし、県民をはじめとする県内外多くの利用者へのサービス向上を実現
2 古絵図・古書史料の画像を高精細に表示し、拡大・縮小などを1点ごとにコントロールしたい 「Musetheque」により、古絵図・古書史料の画像単位ごとに高精細表示を行うことで、高速な拡大・縮小を実現。古絵図や古書資料の文字も解読できる品質で、資料の価値を向上

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導入の背景

県内全域の図書館サービスと、郷土資料の保存・提供を担う県立図書館

松江城の写真

松江城

松江城の国宝指定で注目されている島根県松江市にある島根県立図書館様。同館は、1873年に日本で最も古い公立図書館の一つとして開設された松江書籍縦覧所を前身とし、1946年に島根県立松江図書館として開設、1950年に改称して今に至ります。「島根県は中小規模の市町村が多く、図書館も少ない人員で運営しています。県全域に視野をおいて各地域の図書館を様々な形で支援し、県民の皆様がどこにいても必要な図書館資料を利用できるようにサービスを提供することが当館の重要な役割の一つです」と、島根県立図書館 館長の田中郁子氏は話します。

島根県では2009年から、「子ども読書県しまね」を旗印に、すべての公立学校に学校司書等を配置する「人のいる図書館」の実現、就学前の子どもへの読み聞かせや親子読書のアドバイスなど、子どもの読書を推進する活動に積極的に取り組んでいます。その中心的な役割を担う島根県立図書館様は、学校司書等の研修を実施するほか、調べ学習用の図書約2,000冊や保育所などに貸し出す絵本約1,000冊を市町村に寄託するなど、この推進活動においても重要な役割を担っています。

島根県立図書館 館長 田中 郁子 氏の写真

田中 郁子
島根県立図書館
館長

さらに、松江藩から引き継いだ古絵図や古書史料などの貴重な資料をはじめ、郷土資料が充実していることも同館の特長の一つです。田中氏は「貴重な郷土資料を大切に保存すると同時に、皆様が簡単に利用でき活用してもらうことが重要でした」と話します。

導入のポイント

高精細画像表示機能、充実したサポートが採用の決め手

島根県立図書館 資料情報課 郷土資料・調査係長 大野 浩 氏の写真

大野 浩
島根県立図書館
資料情報課 郷土資料・調査係長

「システムの選定にあたっては、富士通を含め候補に挙がった3社のデモに加え、他県の図書館への視察なども行い、比較検討しました」と、島根県立図書館 資料情報課 郷土資料・調査係長の大野浩氏は語ります。 Musethequeを採用した決め手として大野氏は、「高精細画像の表示が可能で、拡大・縮小機能、公開の可否など画像関係の制御機能が優れていることが一番のポイントでした」と話します。インターネット上に公開したとき、サムネイル程度の画像では輪郭しかわからず、その資料の本当の価値は伝わりません。県民だけでなく県に関わりのある方や県外の研究者など多くの方に活用いただくためにも、古絵図や古書史料に書かれている文字を可能な限りはっきりと読めるようにすることが重要だったと、画像の品質や制御機能に最もこだわった理由を明かします。

加えて、古絵図や古書史料、地元紙の新聞記事、郷土人物情報など異なる形態のコンテンツを一元的に保存して管理できるMusethequeの機能、そしてトラブル時にすぐにかけつけてくれる富士通のサポートの安心感が高く評価されました。

導入のプロセスと効果

形態の異なるコンテンツを集約し、一元管理を実現

「システムの選定や導入にあたっては、4名の職員が中心となって対応しました。通常の業務をこなしながらの作業であり、かつ図書館情報システムの導入と並行していたため、Musethequeの導入作業に関しては、富士通に期待する部分が大きかったです」と大野氏は振り返ります。

同館では、過去にも郷土資料のデジタル化を行いましたが、そのコンテンツを複数のデータベースで管理していたため、どこにどのコンテンツがあるかわからず、公開するコンテンツの準備が大変でした。島根県立図書館 司書の藤田儒聖氏は、「コンテンツの一覧を作成し、現状を把握するところから始めました。そして、Musethequeに取り込むコンテンツ一つひとつに項目の設定を行うなど、郷土資料のデジタル化の作業が一番大変でした。どんな項目を設定するかは、富士通のサポートを受けながら決めていき、作成してもらった項目設計書に沿って入力していきました」と語ります。

島根県立図書館 司書 藤田 儒聖 氏の写真

藤田 儒聖
島根県立図書館
司書

【島根県立図書館様 しまねデジタル百科の検索画面】【島根県立図書館様 しまねデジタル百科の検索画面】

いつでもどこからでも貴重な郷土資料を高精細画像で閲覧できる

大野氏は、「 Musethequeの導入により、貴重な郷土資料を世界中のどこからでも見てもらえるようになったことが何より大きかったです」と話します。これまでは、同館に来館してもらい、館内のPCで閲覧していましたが、その手間がなくなったことや、古絵図などを高精細画像で見られるようになったことで、利用者の利便性や画像自身の訴求力が大きく向上しています。
藤田氏は、「古絵図・古書史料、新聞記事、郷土人物情報など従来なら別々に管理するコンテンツをMusethequeに集約して一元管理でき、それらをすぐにインターネットに公開できるので便利です。また公開システムでは課題であったコンテンツ単位だけでなく、全体での横断検索ができるインターフェースも準備しました」と、管理・運用・サービスの面での効果を話します。さらに、以前は専用端末で入力作業を行っていましたが、MusethequeではExcelで入力したデータを一括して取り込めるため、作業効率が上がったとも言います。

島根県立図書館様で展示されている郷土資料の原本の写真【しまねデジタル百科の原本を展示】

将来の展望

さらなるデジタル化、コンテンツの品質向上を推進し、利用者の役に立つように

郷土資料の中にはまだデジタル化されていないものもあり、これらのデジタル化を進め、公開していくという課題が残されています。大野氏は、「コンテンツの量を増やすだけでなく、古絵図や古書史料に関連情報を付加するなどコンテンツの品質を高めることで、利用の幅を広げ、利用者の研究や学習に役立つようにしていくことを考えています」と語ります。「同時に、検索の画面や機能を工夫してよりわかりやすく使いやすいシステムに改善したいとも考えています」と続けます。
「しまねデジタル百科」の存在を広く知ってもらうための取り組みとして、館内にデジタル化した資料の原本を展示しています。藤田氏は、「図書館で古絵図や古書史料の実物を見て興味をもち、自宅のPCで全文を見るという流れを作ることで、利用者を増やしたい」と、この取り組みを継続していく意義を説明します。さらに、大学、観光協会、商工会議所など島根県の情報を抱えている機関と連携し、「しまねデジタル百科」を文字どおり「島根に関する情報はここを見ればわかる場所にしたい」と今後の展望を語り、富士通には、「Musethequeを活用してMLA (Museum、Library、Archives)連携を発展させたポータル機能を実現する可能性を探ってほしい」と期待を寄せています。

富士通は、これからも島根県立図書館様の良きパートナーとして、細やかなサポートを続けていきます。

島根県立図書館様 館内の写真島根県立図書館様 館内

【島根県立図書館 様 概要】

所在地 〒690-0873 島根県松江市内中原町52番地
代表者 館長 田中 郁子
蔵書数 645,951冊(館内用、2014年度末現在)
しまねデジタル百科 コンテンツ数 約150,000件 (新聞記事を含む / 2015年7月現在)
ホームページ 島根県立図書館 ホームページ新しいウィンドウで表示

【導入事例(PDF版)】

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