ロボットが職員不足、
業務増で悲鳴を上げる自治体を救う

~ 業務効率化の切り札として注目されるRPA ~

少子高齢化に伴う就労人口の減少、「働き方改革」の推進などを背景に、今日のビジネス現場においては、業務効率をいかに高めるかが、これまで以上に切実な課題となっています。ビジネス現場の要請に応えるデジタル技術として、いま脚光を浴びているのが「RPA(Robotics Process Automation)」です。近年、民間企業においては、このRPAの導入に向けた取り組みが急速に進んでおり、その動きは、今まさに自治体にも波及してきています。今回は、自治体業務におけるRPA活用の必然性と動向について解説します。

職員が減少する一方で、増加する業務量

自治体の職員数は、1994年をピークとして、大局的には年々減少する傾向にあります。総務省の調べによれば、1994年に328万2,000人であった地方公共団体の総職員数は、2017年には274万3,000人にまで減少しているのです。
一方、職員数の減少と反比例するかたちで、自治体がこなすべき業務量は、各種法制の改正などを背景に、むしろ年々増加する傾向にあります。
例えば、2016年1月にはマイナンバー制度の本格運用が開始されました。これにより自治体の庁内には、それ以前にはなかったマイナンバーカードの発行、管理などに伴う様々な事務処理が新たに発生しています。

そして、さらに業務量増加の状況に追い打ちをかけることになりかねないと目されているのが、来る2020年に予定される「地方公務員法」および「地方自治法」の一部改正です。
両法の改正では、新たに「会計年度任用職員」が制度化され、臨時・非常勤でフルタイムの職員には、給料と手当が支払われるほか、期末手当や地域手当も支払われることになります。そうなると、自治体運営に要する人件費の増大は必定で、自治体によっては、臨時・非常勤職員の数を削減せざるを得ないというケースも考えられます。

このような動向を踏まえたとき、今後、自治体にとって不可欠なのが、より少ない人員で、住民サービスの品質をさらに高めながら、必要な業務を適正にこなしていけるような体制の構築です。そして、そのカギを握っているのが、業務効率化の実現であることは言うまでもありません。

RPAが人手不足や生産性向上にかかわる問題を解消

自治体が抱える人手不足問題の解消や、作業効率の向上に貢献するソリューションとして、最近、自治体の間で急速に注目度を高めているのがRPAです。

RPAとは、データ入力などPCで行っている、定型的な作業をソフトウェアに肩代わりさせ、処理の自動化を行うための技術です。人手と時間を要する業務などを対象にRPAを適用することにより、職員の単純作業を解放し、作業にかかわる労力や時間の大幅な削減、作業品質の向上を図ることができます。

RPAは、かねてより金融・保険業などを中心に採用が進んできましたが、最近では、働き方改革に貢献するソリューションとしても注目を集め、より広範な業種への適用が加速しています。一方、そうした中で、現場ユーザーが特別なITスキルを必要とすることなく、手軽にロボット開発が行えるようなRPAツールなども登場してきています。

国内外の自治体で進むRPAの活用

自治体におけるRPAの活用は、世界的に見れば、確固たる潮流となっています。例えば、英国のセフトン市の市役所では、地方税の自動引落口座の登録業務にRPAを導入。従来は800件分の登録に92時間を要していたところが、その約5分の1にあたる19時間で完了でき、また、職員が人でなければ行えない業務に集中できるようになったという効果ももたらされているということです。このセフトン市のように、RPAの活用によって、多大な成果を享受している自治体の事例が、世界中の様々な地域で登場してきています。

国内に目を移しても、RPAの導入に向けた検証などを先進的に進めている自治体の取り組みが報告されています。その1つが愛知県の一宮市の取り組みです。同市では、個人住民税、事業所税の各業務システムにRPAを適用し、業務プロセスの自動化を検証しました。具体的には、紙の申請書(特別徴収異動届出書と事業所税申告書)をOCRでデータ化したあと、RPAでシステムに自動入力し、現状、職員の手で何度も同じ情報の入力を行っている作業を、人による入力は一度限りにすることで、どの程度の業務効率化が可能かを計測するという取り組みを実施。結果、今後の労働力不足となる時代を見据えた手法としてRPAの導入が非常に有効であると評価し、積極的な導入検討を進めていく旨を表明しています。

RPAの活用で業務効率が大幅に向上することで、残業時間の削減など、自治体が推進する「働き方改革」にも大きく寄与することも期待されています。

AIとの連携/融合でさらなる高付加価値が実現

RPAの技術も高度化しており、今、最もホットなトピックスが、AI(人工知能)との連携です。

例えば、高度な文字認識機能を備えたAI搭載型のOCRとの組み合わせにより、画面上に表示された画像中の文字や手書きの文書からのデータ入力処理を自動化するといったことも実現可能になってきました。特に、いまだ手書き文書に依拠した業務プロセスが数多く存在している自治体業務では、画期的なメリットをもたらすことが期待されます。

また、音声に特化した自然言語処理機能を備えたAIの音声認識エンジンとRPAとの組み合わせも、コールセンター業務などでの業務効率化など、大きな可能性を秘めています。

さらに、現状のRPAでは、基本的には人間がソフトウェアの動作に必要な「シナリオ」を定義して、RPAのルールエンジンがそれを再現するというかたちとなっていますが、このルールエンジンにAI機能を組み込めば、RPAによる自動処理のプロセスを、状況に応じて、自律的に実施できるようにするといったことも可能となるはずです。

今後RPAは、AIをはじめとする周辺技術とのさらなる融合によって、広範な業務の効率化を実現し、自治体経営や住民サービスの向上に高度な付加価値を提供していくことになります。積極的にRPAの活用を検討していく必要があるのではないでしょうか。

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