シナリオ1 /基板温度サイクル解析シナリオ(SimPRESSO/BTS)
温度サイクル試験に相当する時間刻みの熱荷重を与えて、基板・部品・はんだバンプの変形・応力・歪みを解析しています。基板取付のボス位置を変更する前は、着目するBGA部品に高い応力が発生し、はんだバンプのダメージが予測されましたが、ボス位置を変更することにより応力が緩和され、はんだ寿命の延長が見込めます。
シナリオ2 /リフロー炉伝熱解析シナリオ(SimPRESSO/RFL)
リフロー炉の温度プロファイルを変更して、基板/部品の時間刻みの温度を解析し、最高到達温度の比較をしています。プロファイルA(左)の結果では温度にバラツキがあり、特に丸印部分では十分に加熱されておらず、はんだが溶融しない可能性があります。プロファイルB(右)の結果では均一に加熱されておりよりよい加熱条件であることが確認できます。
シナリオ3 /基板応力解析シナリオ(SimPRESSO/BSA)
インサーキットテストにおける基板の変形/応力状態を解析し、押さえピンの位置検討をしています。初期の押さえピン位置(左)で応力集中している箇所(丸印)に、押さえピンを追加することによって応力集中が緩和され(右)、テスト時の不具合(はんだや部品へのダメージ、プローブの未接触等)を低減することができます。
シナリオ4 /基板発熱・変形解析シナリオ(SimPRESSO/BHT)
部品が発熱した際の基板の温度/変形状態を解析し、冷却用メタルシートの効果を確認しています。冷却シートを付けることにより、温度上昇と変形が抑えられているのがわかります。
連成解析((1)BTS+(3)BSA)/はんだバンプズーミング解析シナリオ
温度サイクル試験時の基板/部品の熱歪み解析の結果から、特定BGA部品の着目するはんだバンプのみを解析対象として、詳細なズーミング解析をしています。バンプの詳細な挙動が確認でき、塑性歪みの結果から予測寿命サイクルを算出することができます。
連成解析((2)RFL+(1)BTS)/リフロー実装冷却変形解析シナリオ
リフロー工程で加熱した基板温度分布の解析結果(左)を初期条件として、冷却工程(常温になるまで)の熱収縮による変形/応力状態(右)を解析しています。リフロー後の基板のそり変形と応力集中を抑えることは、実装基板の高信頼性につながります。
連成解析((2)RFL+(3)BSA)/リフロー炉内基板たわみ解析シナリオ
多面取り基板を分割する時の外力を想定し、基板/部品の変形/応力を解析しています。ミシン目のパターンを変更することにより、分割のし易さ、基板/部品への影響を確認することができます。つなぎ目が1か所の方がつなぎ目部分のみに応力集中し、他の部品に影響が少ないことがわかります。
はんだ融点や部品の耐熱温度を考慮したリフロー炉の加熱温度の調整は、熟練の技術と長年の経験値が必要です。小型化、高密度実装、開発期間の短縮の環境の中、実測による検討では限界があり、CAEによる事前予測によりテスト回数の低減とより良い条件出しを実現できます。
実装基板の信頼性検証のために実施される試験のひとつに温度サイクル試験があります。温度変化の繰り返しが、部品や機器などに与える影響を確認しますが、実測による評価では、試験機を稼働させ数か月の期間がかかります。CAEによる評価なら、数時間で部品レイアウト、接続方法、材質等の複数回のパラメータスタディを実行することができ、実装基板の信頼性/品質向上につながります。