セキュリティマイスター紹介 佳山こうせつ
ハイマスター領域 シニアセキュリティコーディネーター

  • 富士通株式会社
  • 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA) セキュリティセンター研究員
  • 東京電機大学 サイバーセキュリティ研究所研究員 CySec国際化サイバーセキュリティ学特別コース講師
  • SECCON実行委員
  • (ISC)2 2016年アジア・パシフィック 情報セキュリティ・リーダーシップ・アチーブメント(ISLA)受賞

富士通での担当業務:
セキュリティマイスター認定制度の全社推進 サイバーレンジ「CYBERIUM」開発

佳山こうせつの写真

今までで一番印象に残る活動は?

SECCON主催の勉強会である 「CTF for ビギナーズ」を企画運営したことです。日本の教育機関ではCTFで扱われるようなコンピュータサイエンスを学べる場が少ないこともあり、学生たちからそういう勉強の場を作ろうという動きが出ました。基本的には彼ら彼女らのやりたいことを見守り、私たち大人が倫理や動機付けの面で後方支援する立場で一緒に推進することができました。
そのイベントを通して、若者たちのエネルギーを感じると共に、もっとも印象に残ったのは場作りの大切さです。セキュリティ分野では、アンダーグラウンドに落ちてしまう子どもたちも複数います。原因の一つとしては、コンピュータのスキルが他の子どもたちと比べて高いゆえに話の合う仲間を見つけられず、学校でマイノリティになってしまうことが挙げられます。話の合う仲間が周囲にいないままですと、間違った方向へ進んでしまうこともあるかも知れません。この点に関してはずっと問題意識を持っていました。そこで、話の会う仲間を見つけて情報交換もできる明るく自由な”場”が大切です。そういう場をもともと持つ高い技術とモチベーションを発揮し活用するきっかけにしてくれると思いますし、仲間が会話の中でブレーキを踏んでくれたり、止めてくれればアンダーグラウンドに落ちることも防げると思います。こういった取り組みで、若者たちが間違った方向へ行かずにその好奇心、探求心を伸ばしていく場作りに一役買えたことがとても嬉しかったです。
参加者の中には小中学生もおり、親御さんにとっては子供がコンピュータに向かってよくわからないことをやっていて心配に感じられる方もいらっしゃるかも知れません。今後もこういう明るい場作りで皆と一緒にできるのであれば安心だと言ってもらえるように頑張りたいと思います。

今までで一番印象に残る活動

  • SECCON「CTF for ビギナーズ」という皆で明るく楽しめる場作り

自発的に社外で活動する理由は?目指すものは?

私の造語ですが、「イノベーション・セントリック・セキュリティ」を広めたいです。イノベーションが中心にあって、セキュリティがそのための土台となる。AI、CPS、OTなどを軸に今後さまざまなイノベーションが起こる世の中になると思います。そのイノベーションを支えるためにセキュリティは不可欠です。ただ、セキュリティを第一に考えるのではなく、イノベーションを持続可能な形で縁の下から支えるセキュリティを実現したいのです。
せっかくのイノベーションのアイデアがセキュリティ事故などにより潰れてしまったり、そもそもイノベーションなんてやらない方がよいという風潮にならないためにも、セキュリティの専門家だけでなく、一人でも多くの現場イノベーターにセキュリティの知識を当たり前に保有していてほしいと考えます。富士通で全社横断でセキュリティマイスター認定制度を推進しているのもその取り組みの一つなのです。

後進育成としてどんな人材を育てたいか?

人材育成プログラムを提供しておきながら、私は人材育成をしている認識があまりありません。私が定義した人材像はあくまで目安ですし、セキュリティを土台にしたイノベーションを共創、協創できる人材が育つ”場”を提供したいと思ってます。何らかの価値を生むイノベーションマインドがあって、そのキャリアパスの一つにセキュリティを入れセキュリティバイデザインする人材が育つ場作りが私のやりたいことです。
今の若者は、きっかけさえあれば大人の想像をはるかに越えて考え、自ら動く素質を持っています。それに反して、昨今、セキュリティに対し思考が停止している大人が多いように感じます。ガイドラインにこう書いてあるからやる、業界がこういう流れだからやるといったモチベーションでは、これからの時代で勝ち残っていけません。この思考停止の世の中を打破すべく、柔軟な考えと行動力を持った若者が将来活躍できるよう、一つでも多くのきっかけを与えていけたらと思います。

~未来予想~5年後どんな変革が起こっているか?

コンピュータがある程度の作業をこなしてくれる一方で、イノベーションデザインとセキュリティバイデザインを両立する人材が求められる世界が来ると思います。どちらか一方だけであればコンピュータがこなせるのですが、両者のバランスを見ながらチューニングするヒトが必要になります。そんなヒトが活躍する世界になっていると予想します。

活動のモチベーション

  • イノベーションを支えるセキュリティを実現したい
  • セキュリティを土台にしたイノベーションを共創できる人材を育てたい

セキュリティマイスターからの一言

思いとモチベーションを持った若者が活躍できる場を私たち大人が作ってレガシーを残していきたいです。若者のチャレンジに対して評論家になるのではなく、自由な発想を見守る社会を産官学連携して醸成させていきたいと思っています。

セキュリティマイスターのこだわり

情報は発信するところに集まります。情報が集まるとまた発信量が増えます。このエコサイクルを作るためにも外に出て活動することを意識して実践しています。そして、私は今日も情報発信と情報収集のために飲みに行きます。

セキュリティマイスターのプライベート

野球が大好きで、休日は野球をやっています。イチローが好きすぎてイチローモデルの同じバットを9本持っています。

セキュリティマイスターからメッセージ

  • 若者が活躍できる環境と場を残す
  • 自由な発想とチャレンジを見守る社会を醸成する

佳山こうせつ プロフィール

担当業務

富士通独自のセキュリティ技術者育成プログラムであるセキュリティマイスター認定制度を2014年に設立し、全社で推進しています。セキュリティ専門家の育成だけでなく、開発・運用現場の技術者のセキュリティスキル底上げを盛り込んだ育成プログラムの開発と実施、技術者発掘のためのセキュリティコンテストの主催や富士通製のサイバーレンジ(仮想演習場)であるCYBERIUMの開発にも力を注いでいます。このCYBERIUMは、ICTの利活用に伴うサイバー攻撃を体験できる演習シナリオを充実させ、Made in Japanのサイバーレンジを目指しています。

社外での活動実績

  • 独立行政法人 情報処理推進機構 セキュリティセンター研究員
  • 東京電機大学 サイバーセキュリティ研究所研究員 CySec国際化サイバーセキュリティ学特別コース講師
  • SECCON実行委員
  • (ISC)2 2016年アジア・パシフィック 情報セキュリティ・リーダーシップ・アチーブメント(ISLA)受賞
  • 脅威の全貌を踏まえた対策の考え方について各種イベント、セミナーで多数講演
  • 執筆
    「『高度標的型攻撃』対策に向けたシステム設計ガイド」、「IPA テクニカルウォッチ:『攻撃者に狙われる設計・運用上の弱点についてのレポート』」

得意分野

セキュリティインシデントレスポンス
インシデントを早期に発見・対処できるシステム全体設計

セキュリティ脅威の全貌を踏まえた全体設計分野で頑張ってます。「ログが繋がらず、システム全体として追跡できないシステム」や「一部分のセキュリティ脅威にだけ過剰に投資したシステム」、「運用を考えず、セキュリティ機能を入れただけのシステム」などシステム全体を考慮していないセキュリティ対策がしばしば見られます。大事なことはシステム全体をデザインする過程でバランスよくセキュリティを盛り込むこと、イノベーションを支えるセキュリティであることなのです。

サイバーセキュリティ人材育成、啓発活動

技術者向けから一般ユーザー向けまで多岐にわたるイベント、セミナー等で講演させていただいています。常に聞く方のセキュリティ知識レベル、何を欲しているのかを考えながら、どうしたら伝わるかを意識してお話しさせていただいています。

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