医療用医薬品や医療機器等の卸売業を営む株式会社メディセオは、EOS(注)経由の受注率をもっと向上させたい、営業業務を効率化したいという課題を抱えていた。そこで、医療機関や調剤薬局へ富士通タブレットを配布しEOSの活用を促進、併せて導入したモバイルデバイス管理サービス「FENCE-Mobile RemoteManager」とキッティングやヘルプデスクのための「スマートデバイス-LCMサービス」によりセキュアで効率的なタブレット運用管理を実現し、受注率を10ポイント向上、業務の効率化にも成功した。
(注)EOS(Electronic Ordering System):電子発注システム
[ 2013年5月14日掲載 ]
業種: | 医療 |
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導入サービス: | FENCE-Mobile RemoteManager(MDM) スマートデバイス-LCMサービス |
1 | EOS経由の医薬品受注率を向上させたい | ![]() |
タブレットの導入により受注率を10ポイント向上 |
2 | 確実な受発注と営業業務のさらなる効率化を図りたい | ![]() |
タブレットで受発注記録を管理し、ミスを軽減 |
3 | タブレットに必要なセキュリティ対策を万全に | ![]() |
MDMサービスによって、きめ細かく確実なセキュリティの設定を実現 |
医療用医薬品や医療機器など総合卸売業を展開する株式会社メディセオは「生命や健康に関わる流通企業として、お得意様や仕入先の期待と信頼に応え、より価値の高い流通の実現を目指す」という姿勢のもと、常に卸機能の改善・改革を推進。積極的なICTの導入などにより効率的かつローコストな流通の実現に努め、お客様の支援に注力している。
メディセオでは2007年、他の競合企業に先駆け、医療機関や調剤薬局向けのWebサービス「Order-epi」を提供開始。医薬品の流通分野で採用されている専用のEOS端末からだけではなくWebからも医薬品の発注ができる仕組みを実現した。さらに、iOS、Android向けの専用アプリケーションも開発し、スマートデバイスからWebサービスへ容易にアクセスできる仕組みづくりにも取り組んできた。
髙原 大輔氏
株式会社メディセオ
顧客営業システム開発部
部長
顧客及び営業支援システムの開発や運用を統括する、顧客営業システム開発部 部長 髙原 大輔氏は、「お客様の利便性を追求し、Webサービスやモバイルアプリの提供を行ってきましたが、依然としてFaxや電話、もしくは営業担当経由の発注が多く、EOS経由の受注率は全体の約50%前後くらいにとどまっていました。より使いやすいシステムを構築し、お客様の発注業務や医薬品管理業務の効率化を図ることで、EOS経由の受注率を70%から80%まで上げたいというのが私どもの目標の1つでした」と語る。
また2011年7月には、社内の携帯電話をすべてスマートフォンに入れ替えるというプロジェクトが実施され、スマートデバイスを利用した営業業務のさらなる効率化を図ることも課題となっていた。
EOS経由の受注率と営業効率の向上のためにメディセオが着目したのが、タブレットの配布だ。医薬品の発注が簡単にできる端末を配ることで、医療機関や調剤薬局にとっては、発注業務や管理業務の効率化を図ることができ、それがEOS経由の受注率向上、営業業務の効率化の実現につながるという。
「お客様によって手書きのノートや札で管理するなど、医薬品の発注・管理方法はさまざまです。これらを電子化することで、確実な発注ができ、履歴も残るので便利で効率的な管理もできると考えました」と髙原氏。
医療機関や薬局でもインターネットの導入は進んでいるが、特に店舗スペースに制限のある調剤薬局ではPCは設置場所に困るというケースも多く見受けられるという。タブレットであれば設置場所には困らず、持ち運びながら、どこからでも発注作業が可能だ。タブレットにインストールされた発注用アプリケーション「Order-epi for Android」は、操作性を追求した画面設計でマニュアルなしで発注できるとともに、医薬品の使用上の注意や仕様その他の重要事項を記録した添付文書や、詳細情報をその場で簡単に参照できるため、発注業務のさらなる効率化をサポートしている。
2012年に入り、具体的なタブレットの検討を開始。まず着目したのがサイズだ。当時は10インチと7インチのタブレットがあったが、お客様の使い勝手を追求し、当時主流だった10インチではなく片手でも使いやすい7インチのSTYLISTIC(スタイリスティック) M350/CA2を選択した。すでに運用していた発注アプリケーションがスクロールタイプということもあって、操作性や視認性に優れる縦型のタブレットを採用。加えて、医薬品のJANコードを読むた めのバーコードリーダーを利用するためにフルサイズのUSBポートがあることなども条件となった。
今回の端末については医薬品の受発注に特化した機能の提供ということで、端末の機能制限などを一元的に行うことができるMDM(モバイルデバイス管理)サービスも検討対象となった。
こうした要件をきめ細かく網羅し、タブレットとMDMサービスをトータルソリューションとして提案した富士通が、最終的に採用に至った。
さらに、タブレットのキッティングと問い合わせに対応するためのヘルプデスクを提供する「スマートデバイス-LCMサービス」も含めた、導入から運用までのトータルサポートも採用のポイントとなった。すでに稼働中の受発注システムを富士通が担当しており、同社の業務にも精通していたことも、トータルで今回のプロジェクトを任せるにあたっての安心感につながったという。
髙原氏は「今後も開発・展開していく中で、富士通と一緒にステップアップしていきたいという気持ちもありました」と採用にあたっての熱い思いを語る。
本格始動に向け、キッティングや展開、動作確認、問い合わせ対応のためのヘルプデスクの構築を経て、2012年8月、完成したタブレット「medipad(メディパッド)」は医療機関や調剤薬局を対象に配布を開始。2013年3月の時点で約6000台が配布された。
「お客様からは、コンパクトで持ち運びできて使いやすい、画面が大きくて見やすく分かりやすい、どこでも発注できるのがありがたい、さらに医薬品の添付文書がタブレット上で確認でき、改めて検索する手間も省けるなど、多くの好評価を頂いております」と髙原氏。
タブレットの配布後、半年を経て「EOS経由の受注率は60%まで上昇しています。前年同期比で約10ポイント向上しており、期待した通りの効果が上がっていると言えると思います。今後はさらに受注率を上げていきたいですね」と髙原氏は評価する。
タブレットの導入により、営業がお客様に注文を伺いにいく時間やコストを削減でき、電話など口頭での受発注間違いによる取り消しや返品も目に見えて減少。営業の業務効率化にも役立っている。
今回のタブレット導入プロジェクト全体の評価として髙原氏は、「medipadにはこれまで培ってきた既存のアプリケーションを使うことで開発コストも大幅に抑えることができました」と語る。
今回配布されたタブレットは発注の機能に特化した形での展開だが、今後は情報サービスや機能の強化も検討していくという。
「medipadは、お客様とメディセオをつなぐ窓口として育てていきます。富士通とは次のサービスに関わる展開も協調していきたいと考えています。日本のITベンダーとして医療機関向けサービスや製品で定評のある富士通と、医療機関や薬局との窓口を持つメディセオが連携することで、利便性向上や効率化はもちろん、国産という安心感もお客様に与えられるような支援をこれからも提供していきたいと思います」と展望を語る。
より価値の高い医薬品流通の実現を目指すメディセオ。常にさまざまな最新の技術を取り込みながら、さらなる利便性の向上と効率化が図られていくに違いない。
写真左から富士通株式会社 池崎 雄二、株式会社メディセオ 髙原 大輔氏
設立 | 2004年4月1日 |
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代表者 | 代表取締役社長 長福 恭弘 |
従業員数 | 5,750名(2012年3月31日現在) |
概要 | 医薬品、医薬部外品、試薬、医療機器等に関する総合卸売業。生命や健康に関わる流通企業として、お得意様や仕入先の期待と信頼に応え、より価値の高い流通の実現を目指し、常に卸機能を改善・改革することで、効率的かつローコストな流通を実現し、社会的使命の遂行に努めている。 |
ホームページ | 株式会社メディセオ様 ホームページ![]() |
本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。
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