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DMP(Data Management Platform: データ・マネジメント・プラットフォーム) :デジタルマーケティング コラム

「DMP(Data Management Platform: データ・マネジメント・プラットフォーム)」とは、広告主を中心とした事業会社が、自社と外部の様々なデータを一元管理・分析する基盤のことです。「DMP」の意味について、富士通総研 田中 秀樹が解説します。

マーケティング活動全体を最適化する基盤となるDMPとは

デジタルマーケティングの分野でDMPというキーワードを目にする機会が増えました。このキーワードは、ネット上だけでなくリアルも含めたマーケティング活動全体を最適化するための重要な基盤となる可能性を秘めています。

大手企業で使われ始めたプライベートDMPとは

DMPとはデータ・マネジメント・プラットフォーム(Data Management Platform)の頭文字を取った略語です。DMPには様々な定義がありますが、ここでは広告主を中心とした事業会社が、自社と外部の様々なデータを一元管理・分析する基盤と定義して解説していきます。

DMPは、「オープンDMP」と「プライベートDMP」の二つに分けられます。前者は、広告関連のアクセスデータやデモグラフィックデータなどを他社に提供するプラットフォームのことを指しています。これに対して後者は、事業会社(広告主)がオープンDMPのデータに加え、自社Webサイトのアクセスデータや、保有しているリアルの顧客情報などの自社データも統合して分析する、企業独自のプラットフォームです。このプライベートDMPが大手企業やEC事業者で利用され始めて、マーケティング活動に変革をもたらそうとしています。

図:DMP(Data Management Platform:データ・マネジメント・プラットフォーム)のイメージ

大手化学メーカーの花王では2013年からプライベートDMPを活用し始めました。手始めとして、自社データを元に、花王の企業Webサイトを訪問した人を対象として複数ブランド間の親和性分析を行っています。双方のブランドページを訪問する人が多い相性の良いブランドの組み合わせが見つかった場合、片方しか訪問していない人をもう一方のブランドに誘導するというマーケティング施策を実行するそうです。これは、マス広告などを中心とした集団で捉えていたマーケティング施策の対象を個々の「人」に変えるアプローチの大きな変化と言えます。

プライベートDMPがマーケティングを変える

なぜプライベートDMPが導入され始めたのでしょうか。この背景にはRTBやDSPといったアド・テクノロジーの進化があります。これらのキーワードとマーケティング進化の関係を説明しておきます。

2008年のリーマン・ショックで金融業界が不況になると、失業した金融工学のエンジニアがアド・テクノロジー業界に流れ、ネット広告の最適化と自動化が急速に進みました。Webサイトに表示されるバナー広告は、以前は固定かランダムで表示されていましたが、今は瞬間で入札が行なわれて最高値で落札した広告が自動的に表示されるようになりました。

この瞬間の競争入札の仕組みがRTB(リアルタイムビッディング)です。到底、人の手では入札出来ないので、これを支える仕組みとして、広告主側のターゲティングと予算管理を行なうDSP(デマンドサイドプラットフォーム)と、媒体社側のアクセスしてきたユーザーや媒体の情報を管理するSSP(サプライサイドプラットフォーム)が作られ、データが管理されるようになりました。

このような仕組みの進化と同時に、マーケティングの考え方も変わりました。以前はターゲット集団を推測してどの広告「枠」に掲載するかを考えていましたが、RTBではどの「人」に配信するかを考えるようになりました。「人」への配信を更に最適化するには、アクセスした人を詳しく知る必要があります。アクセスデータにデモグラフィックデータなどを加えて行くなど、データ種類を増やしていくことでDSPなどがプライベートDMPに進化しました。

「人」への配信を最適化するという考え方は、1990年代に提唱された顧客を「個」として捉えるワン・トゥ・ワン・マーケティングに通じるものです。考え方として賛同を集めたものの、実践するには技術的な課題が多くて広まらなかったワン・トゥ・ワン・マーケティングがDMPを使えば実現できるようになり、ネット上だけでなくリアルも含めた形でマーケティング活動全体を最適化することになるでしょう。

プライベートDMPを導入する前に準備すること

プライベートDMPは、大量のデータを扱うのでシステム構築にある程度の費用が必要になります。ただ、費用以前に大きな課題があります。プライベートDMPはシステムを構築してユーザーを分析しただけでは、一部の価値しか得られません。プライベートDMPは、分析結果からマーケティング施策をプランニングし、その反応を蓄積・反映する試行錯誤のための基盤です。まず、どんな施策を講じるかを考えた上で、最適なプライベートDMPの導入を検討する必要があります。

また、プライベートDMPには「プラットフォーム」という言葉が含まれているように、様々なデータが載っていて、社内の様々な人が分析できる状況になっていることが重要です。多くの企業では、商品ブランドや部署毎にデータを抱え込んで分析しているのが実態かもしれません。プライベートDMPを有効に活用するには、社内にあるデータの共有を進め、それらデータ活用を促進する組織や体制作りが必要になります。いくらデータを集めてもデータ自体は何も語りはしません。マーケティング担当者やWeb運営担当者がデータを元に語れるようになることが重要です。

さらに、パーソナルデータの扱いやセキュリティの課題もあります。単体では個人情報に該当しなくても複数のデータを組み合わせると個人が特定されてしまう場合があります。パーソナルデータの取り扱いに際しては関連法規制の動向を確認した上で細心の注意が必要です。プライベートDMPは、現時点では導入の敷居は高いかもしれませんが、今後、費用的に導入しやすいサービスが登場したり、活用ノウハウが蓄積され、利用が進むことになるでしょう。その時に備えて、今からデータに基づいたマーケティング活動が出来るよう、社内のデータや体制を整備しておく必要性が高まっています。

(株式会社富士通総研 田中 秀樹)
株式会社富士通総研(FRI)

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