「リードナーチャリング」とは、見込み客(lead:リード)を育成(nurturing:ナーチャリング)して受注に結びつけるプロセスの管理手法のことです。「リードナーチャリング」の意味や基本について、富士通総研 田中 秀樹が解説します。
法人向け(BtoB)の営業プロセスでWebサイトの活用が広がっています。商談開始から受注までに時間のかかることが多いBtoBでは、やみくもにセールスパーソンを投入するのではなく、より効果的なWebマーケティング手法が求められています。
リードナーチャリングとは、見込み客(lead:リード)を育成(nurturing:ナーチャリング)して受注に結びつけるプロセスの管理手法のことです。対象とする見込み客は、直ぐに購入しようと思っているホットリードではなく、ちょっと興味・関心を持っていたり、情報収集段階のコールドリードです。
一般的にBtoBの商材は、商品単価が高く購買の意思決定までに時間がかかるので、見込み客を受注にまで導くには、中長期的な関係作りが重要となります。このプロセスを「見える化」して効果的に進める手法がリードナーチャリングです。コンタクトから受注までを複数の段階に分け、それぞれの段階において決められたコミュニケーションを行って、徐々に購入意欲を高めていきます。
見込み客を受注にまで導くプロセスは、見込み客を獲得する「リードジェネレーション」、次に獲得した見込み客を育成する「リードナーチャリング」、最後に受注に結び付ける「セールス」の大きく3つに分けられます。
リードジェネレーションは、自社の商品やサービスに興味・関心を持ちそうな見込み客の個人情報を取得したり、会員登録へと誘導します。見込み客の獲得は、少し前までは展示会やセミナーでのアプローチが一般的でしたが、ユーザーが検索サービスで情報収集することが多くなった現在では、Webサイトにコンテンツを掲載する方が効果的です。
獲得した見込み客には、メールマガジンを送ったり、イベントなどに誘導して商品・サービスへの理解度を高めていきます。ただし、やみくもにメールを送っては見込み客が逃げてしまいます。見込み客が持つ購入意欲の状態に応じて、適切なタイミングで最適なコンテンツを送る必要があります。
そこで、リードナーチャリングの段階を細分化し、段階ごとに異なるコミュニケーションを行います。これを行なうために、見込み客が見たコンテンツや反応などのアクセスログを指標化し、見込み客がどの段階にいるかを把握します。そして、段階が変わった際にメールを送るなどの新たなアクションを起こします。これはマーケティングオートメーションと呼ばれる、メールを自動的に配信する仕組みを使うと効率的に実施できます。
リードナーチャリングの目的は、見込み客に購入してもらうというクロージングです。自社の商品やサービスと関連しないプレゼントで、いくら多くのリードを集めたとしても、本来の目的が達成できなければ意味がありません。リードナーチャリングの成功の鍵を握るのが育成の「シナリオ」です。
シナリオ作成にあたっては、顧客のペルソナを想定し、育成段階ごとに必要とするコンテンツやサービスを設定していきます。ただ、最初から効果的なシナリオは作り出せないかもしれません。他社で成功したシナリオを真似ても、会社ごとに状況は異なるので、上手くいくとは限りません。では、どうすれば効果的なシナリオが作れるのでしょうか。
ポイントは「見込み客の行動把握」と「施策の試行錯誤」にあります。どのコンテンツが頻繁に見られているか、といった基本的なアクセス把握だけでなく、受注に結び付いたコンテンツや結びつかなかったコンテンツを分析していきます。この結果を元に新たなコンテンツやサービスを投入して、トライアル&エラーでシナリオを熟成させていくことが重要です。
また、ユーザーがWebサイトでの情報収集を好むといっても、Webサイトだけでの情報提供で効果が上がるとは限りません。受注に結びつけるプロセスの要所でセールスパーソンによる対応と組み合わせることで、より効果的なリードナーチャリングが実施可能になります。
(株式会社富士通総研 田中 秀樹)
株式会社富士通総研(FRI)
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