今すぐ役立つAI活用ノウハウ

第6回実践企業が本音で語る「上手にAIを使う方法」とは
~講演では語り切れなかったAI活用の裏話~

デジタル領域で注目の最新技術動向がわかる「Fujitsu Insight 2018」が11月20日に開催され、AIプロジェクトを実践した先駆者が講演。AI導入に際し、経営層の説得、データの作成・収集など様々な壁を乗り越えて取り組んだ実践例が紹介され、検討しているプロジェクト責任者の背中を押すヒントが示されました。

今回は、実践例を紹介したユーコット・インフォテクノの秋山氏、梅垣氏、藤永氏を中心に、金沢工業大学教授の松井氏、富士通の浦田の5人でセミナーでは語り切れなかった、AI活用の本音について紹介します。

株式会社ユーコット・インフォテクノ
代表取締役常務 秋山毅氏
業務改革室 室長代理 梅垣陽一氏
総合サポート部 サービスデスクグループ 主任 藤永恵理子氏

金沢工業大学工学部情報工学科教授
松井くにお氏

富士通株式会社
サービステクノロジー本部
つながるサービス技術統括部シニアマネージャー
浦田敏氏

Q. AIプロジェクトをスムーズに成功させた秘訣は?

スムーズなんてとんでもありません。発表したコールセンター業務は、うまく適用したケースで、ほかでは失敗を多く経験しました(笑)

〈秋山〉

そうです。IoTやRPAといろいろなシステムの構築に取り組んで、失敗を重ねながらFAQ業務で「AIなら行けるかな」って思いました。失敗し続けても絶対に役に立つ業務はあるはずだと思っていました。失敗プロジェクトで多かった共通問題は、データ関連ですね。我々側が、AIの出した答えが正解なのか間違っているのか判断できなかったんです。だから先に進めない(笑)

〈梅垣〉

AIは失敗しながら感覚を磨いていくしかないです。失敗とチューニングを繰り返し、またはやり方やデータを変えるなどで試行錯誤しながら精度を上げていきます。スポーツ選手が、毎日の練習を積み重ねることで、パフォーマンスが上がっていくのと同じで、やっぱりAIも練習を重ねていかないと上手くなりません(笑)

〈松井〉

まさにその通りだと思います。AIを成長させていくには、失敗してからの軌道修正が大切だと思います。

〈藤永〉

そうです。AIを運用していくうちに、「こっちの業務ならうまく行くかも」って分かるタイミングがあります。

〈浦田〉

Q. 企画・検討段階で経営層や周囲への説明で苦労はありましたか?

弊社の場合は逆でして、トップが積極的で「AIを使って何かやれ」と迫られました(笑)。

〈秋山〉

そうなんです。「やれ」と言われても…むしろ期待されている結果が出せるのか不安でした。

〈藤永〉

経営陣を納得させるのに一番効果的なのはやはりPoC(概念実証)ですね。実データを投入してAI活用の検索ではどのような回答が出てくるのかなど、イメージさせるのが有効ですね。

〈秋山〉

証明するのに時間がかかりましたが、成功をイメージしてもらうことが大切です。PoCは料金が高くなりますけど、でもやらないと進みませんでした。もう少しPoCを安くしてくれると助かりますね(笑)

〈梅垣〉

もう1つ効果的なのは、プロジェクト責任者は一人で抱え込まず周囲を巻き込むことです。難しくはありません。まず、同じ考えの人を3人つくることです。その3人がさらに3人ずつ仲間をつくり増殖していきます(笑)。気づくと、皆が自分ゴトとして考えるようになるんです。

〈松井〉

Q. 開発・運用段階で必要なデータ収集も問題なかったのですか?

実は、コールセンター業務のインシデントに関するしっかりとしたデータは全然ありませんでした(笑)

〈秋山〉

ひどかったですね(笑)「お客様からの問い合わせがあって完了しました」とか、「この問い合わせはこの人に対応してもらいました」とか、インシデントの問い合わせに対し回答事例がない、ファジーなデータばかりでした。ですから、AIを運用しながら教師データを作成することにしました。教師データを作ってから始めていたら一年経ってもAIを導入することはできませんでした。

〈梅垣〉

最初は、教師データを1,000件作ってほしいと言われましたが、通常業務の傍らでそんなの出来ませんよ(笑)。実際は2週間ぐらいは頑張ったのですが、データの中からしっかりした教師データは3%程度しか作り出せなかったので、あきらめました。

〈藤永〉

強化学習はやりましたか? 成功した事例を選別することで少ないデータでも学習させることができますよ。

〈松井〉

運用中はやりました。1つのインシデントの回答をほかのインシデントに結び付けて加えていきました。でも…結構しんどい作業ですね、今は最初なのでやってますけど(笑)

〈梅垣〉

Q. AI導入を決めた大きな理由は?

やっぱり、業務課題の解決に役に立つと思ったからです。役に立たないシステムなら導入はしないです。

〈藤永〉

弊社はUCCグループで、その中でも実験的な役割を担っていまして、現場で使えるシステムの実験をするミッションがあり、失敗してもグループのどこかで役立つ事例になれば成功です。いろいろトライする環境があって、それは経営陣が5年先を見据えているからだと思います。

〈梅垣〉

素晴らしい経営陣ですね。5年先のビジョンを持っている会社は少ないですよ。ビジョンをトップの口から発すると従業員にその意思が伝わり、会社はさらに成長していきます。

〈松井〉

従来ですと、例えば500万円でシステムを構築したら2、3年後にはそれ以上で返ってくるという考え方でしたがAIは全く違います。役員の立場から他企業の経営者の方にお伝えしたいのは、AIは費用対効果はもちろん大事ですが、「投資」という考え方をもたないとだめだということです。そうでないと企業は生き残っていけない。時代に後れるばかりになってしまう。

〈秋山〉

そうです、5年先の投資として考えられるかです。考えられ会社が生き残り、考えられない会社は淘汰されます。

〈松井〉

Q. 日本企業のAI活用状況についてどう考えますか?

セミナー参加者に現在の状況を挙手してもらいましたが、企画・検討フェーズがほとんどでした。私の予想では運用フェーズが3分の1はいると思っていましたので、少し驚きました。

〈松井〉

私も少ないと感じました。もっとAIを導入する企業が増えて、自然言語処理とか顔認証などコールセンター以外でのAI活用の成功事例を知りたいですね。どんな業務で役立っているのか。

〈梅垣〉

成功事例はあるはずなのに、表にでてこない。日本は情報をクローズにしがちです。海外はオープンする情報とクローズを切り分けています。オープンにすることで企業のPRにもなりますし。日本もAI活用を進め、成功事例など情報をもっとオープンにするべきですね。それが活性化にもつながる。

〈松井〉

Q. AI導入に悩む経営者やプロジェクト責任者にアドバイスをお願いします。

各企業には積極的に新しいことに取り組んでいただきたいです。新しい技術(AI)を使ったイノベーションを進めないと、日本企業は、中国やインドにどんどん遅れてしまいかねないと感じています。

〈浦田〉

AIを導入して業務課題を解決した企業と交流して情報交換をするのもいいと思います。良いこと、悪いことをもっと企業間で情報共有していけるといいですよね。

〈藤永〉

私はAIを始める入り口に大学をぜひ使ってほしいです。本格的に導入する場合はベンダーですけど、自社で何をやればいいのか分からない場合は、まず大学を使って試してみることです。大学では様々なAIを研究していますし、基礎研究ではなく実証研究に取り組んでいます。大学側も研究できる企業の実データを求めているんです。

〈松井〉

なるほど、それはいいですね。大学を使うという発想はこれまで企業になかったですね。

〈秋山〉

これからはAIセンスを持った人材を育成することも重要です。私は学生にAIツールを使わせて卒業させています。産学連携によって、企業の本物のデータを使わせることが大切です。作り物データで試験的にやっても無駄です。本当にその会社の貴重なデータを使わせていただいて結果を出す、それが将来を担う人材の育成にもつながります。

〈松井〉

とにかくトライすることです。新しいことにチャレンジするのですから、失敗を前提というか、受け入れる感じですね。弊社はFAQの業務でAIが運用フェーズに入り軌道に乗っていますが、別な領域にもチャレンジしたいですね。それこそ、大学と連携して新規事業を創出するようなチャレンジをするべきです。

〈秋山〉

まとめ

  • 1
    まずは、同じ考えの人を3人つくり徐々に広がって皆が自分ゴトとして取り組むことが大事。
    PoCは経営陣を説得させる1つの手段でもある。
  • 2
    教師データは、運用しながら成長させていく(作る)方法もある。
  • 3
    AI活用は、5年先のビジョンに対する投資と考える。
  • 4
    AIを始める入り口は、大学との連携もあり。

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