今すぐ役立つAI活用ノウハウ
~3つのアプローチ方法、6つの観点~

今回は、より具体的なAI導入についてご紹介します。第1回では、AIを活用したシステム導入には大きく企画・設計・構築・運用の4つのフェーズが必要なことをお伝えしました。その最初のフェーズとなる、AIの適用先を決める「企画」を成功させるのはなかなか難しいもの。適用先をどのように選定すればよいかは、経営層や情報システム担当者が最も悩むところです。今回は、失敗しないためのAI適用先の選定について解説します。
Q. 成功しやすいAIの適用ポイントは?
AIをどのような業務に適用させるのかを選定することは非常に重要だと思うのですが、業務範囲でどのように適用先を選ぶか、ポイントは何でしょうか?
質問者
成功しやすいAIの適用ポイントは、人が判断、予測をする仕事のなかで、ルール化するのがちょっと難しいくらいのことを、AIの適用先として選ぶことです。なんでもかんでもすべてAIに担わせるのは間違いです。
富士通
ちょっと難しいくらいのこと?それは、どういうことですか?
例えば不良品の検出などで、発生する事象の件数も多くその発生理由の予測が簡単な場合は、何もAIを活用する必要はありません。ルール化が可能なのでプログラミングで十分対応できます。一方、発生する事象が少ない場合、解析することができない(教師データが少ない)ため、そもそもAIの適用は難しくなります。ここを無理にAI化するのは、時間とコストの無駄です。
なるほど、確かにそうですね。では具体的にはどんな領域がいいのでしょうか?
AIの導入を検討している企業は、人の手間を省く業務の自動化や省力化を目指しているはずです。しかし、すべての業務をAIに置き換えるとかえって非効率になることもあります。AIに適した領域を的確に選び、人でなければ判断や予測が困難な作業に専門家を専念させることで、専門家の負荷を減らすことを目指すべきです。大切なのは、人とAIの役割分担を明確にすることなのです。
また、適用先を絞ることも有効です。業務課題の範囲で学習に必要な過去のデータが大量にあるなど、「できるところ」からAIの利活用を始めれば、準備期間も短縮できます。
Q. 適用先を選定する、より具体的な方法は?
少しイメージできましたが、多くの業務の中から絞るのは大変そうです。選定する際の基準や方法があれば教えてください。
AIの適用先を選定するには、3つのアプローチ方法で考えると具体化しやすくなります。
1つ目は、経営視点からの選定です。
例えば、自社製品の売上アップを目指す、修理部品の過剰在庫を削減するなど、AI導入の目標をはっきりと打ち出しましょう。
2つ目は、データ視点からの選定です。
企業内には、有効活用されていない大量なデータや情報があるはずです。販売や購買、取引、監視、記録、報告書などなど。これらの大量なデータを掛け合わせることで新たな利活用が期待できます。例えば、これまでの販売データとSNSのコメントからより正確な販売予測を実現する、といった具合です。
3つ目は、現場視点からの選定です。
現場がどんな課題に対して情報を活用したり分析したいのか、さらにどのように進化させたいと考えているのか。例えば、より的確な発注数を決めるために販売実績と天候や競合他店を考慮したい、保守効率化のためにトラブル原因と対処法を予測したいなどです。

なるほど。よりイメージすることができました。3つのアプローチ方法から選定すれば、AIの適用先として成功しやすいのですね。
それだけではありません。3つのアプローチ方法からAIの適用先を選定したら、次のステップとして6つの観点から、AI適用後の具体的な仮説を立案することです。
6つの観点とは俗にいう、5W1Hとして定義づけできると考えています。

このような具体的仮説をしっかり立てることは、導入後の運用の定着化にも役立ちます。
特にこの仮説段階では、AIの性能と年間の運用コストをしっかり把握することが重要です。大切なのは投資対効果です。業務効率化のためにAIを導入しても、AIシステムへの投資が膨れ上がってしまっては意味がありません。費用対効果の全体のバランスを見ることが重要です。
まとめ
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1発生する事象の頻度と難易度を整理し、人とAIの役割分担を明確にする
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2経営視点、データ視点、現場視点の3つのアプローチ方法で適用領域を見極める
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36つの観点でAI適用後の具体的な仮説を立案する
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