監視カメラをマーケティングにも活用 AI映像解析がもたらす新たな価値の威力

テロや犯罪を防止するため、街中に数多く設置されている監視カメラ。いまその役割が大きく拡大しつつある。より高度なセキュリティのための監視だけではなく、マーケティングに活かす取り組みが進んでいるのだ。その背景にあるのがAIの急速な進化。AIによる映像解析を行うことで、そこからさまざまな気づきが得られると期待されている。ではこれを現実的な形で利用するには、どのような点に注意すべきなのか。そして実際に、どのようなユースケースが実用化されているのだろうか。見ていこう。

テロや犯罪を防止するために、街中に監視(防犯)カメラを設置する取り組みが世界中で広がっている。「監視カメラ大国」と呼ばれる英国では約600万台の街頭監視カメラが設置されているという。

監視カメラというと不穏な響きがあるが、これらのカメラの用途は防犯だけに限らない。店舗などに設置したカメラで得られた映像を、マーケティングに活用しようという動きが、この数年で急速に拡大しつつあるのだ。設置したカメラを監視に使うだけでは「守り」だけになってしまうが、これをマーケティングに応用できればビジネス面での「攻め」につながり、投資を回収しやすくなる。

その背景には人工知能(AI)の進化がある。ディープラーニングを活用することで、映像の中の対象物を的確に見分けることが可能になってきたのだ。例えば年代や性別による購買行動の違いを見分けられれば、よりきめ細やかな顧客対応ができる。映像から人の数をカウントしたり、その動きを分析することで、店舗内における顧客の滞留状況や流れを知ることができれば、店舗設計をより最適化することも可能になるだろう。

その一方で本来のセキュリティを目的とした活用方法でも、急激な混雑や制限区域への侵入をリアルタイムで検知したいといった、AIを利用した、より高度な安全確保へのニーズが高まっている。監視カメラの数がこれだけ増えれば、人の目で映像を見てリアルタイムに異常を検知し、対応することは困難だ。特に日本では少子高齢化によって労働人口が減少しており、監視要員の確保も容易ではない。この作業をAIによって補完すれば、セキュリティスタッフの作業負荷を抑えつつも、高度なセキュリティ監視を同時に実現できると期待される。

このようにAIによる映像像解析は、すでに設置されている膨大なカメラの可能性を、飛躍的に拡大できる可能性がある。ではそれを成功させるには、どのようなハードルをクリアすべきなのか。そして具体的に、いかなる活用例が実現されているのだろうか。

AIによる映像解析で乗り越えるべき2つのハードル

まずここで、AIを活用した監視カメラ映像解析の流れを、簡単に説明しておこう(図1)。

まず映像を監視カメラで撮影し、そのデータをビデオ管理システムで蓄積する。ここで得られた映像データを、GPUを装備した高速処理可能なコンピュータに送り、ここでAIによる解析を行う。解析結果は解析データとして出力され、それをさらに可視化していく。この一連の流れによって、はじめてビジネスに活かすことが可能になる。

図1:AIを活用した監視カメラ映像解析の流れ 図1:AIを活用した監視カメラ映像解析の流れ

「これらの処理を効果的に行うには、大きく2つの課題を解決する必要があります」と富士通でAIなどのテクニカルコンピューティングの最前線を担当する、TCフロンティアセンター シニアディレクターの中村 精一は語る。第1の課題は、AIが学習を行うために必要となる「教師データ」を、十分な量確保することだという。

 「例えば車が映っている映像をディープラーニングで解析した場合、映像に映っている物体が車であるということだけではなく、車種やブランドまで識別させることが可能になります。一方で、より精確な学習モデルの作成には、画角や日射条件が異なる大量の教師データを用意する必要があります。多種多様な車種やブランドを識別するために必要となる画像数は数百万枚に上ることもあります」(中村)。

第2の課題は、膨大な計算負荷にどのように対応するかである。映像解析のリアルタイム性やカメラの高解像度化に伴い、解析に必要な計算量も膨大になる。最適な解析手法の選定やスケジューリングなど、計算負荷を分散させるためのシステムアーキテクチャーの設計も欠かせないのだと指摘する。

 「富士通はAI映像解析ソフトウェア『FUJITSU TechnicalComputing Solution GREENAGES Citywide Surveillance』を軸に、最適なトータルソリューションをご提供できます」と中村は説明する。これを可能にしているのは、富士通がもつ幅広い技術の組み合わせなのだという。

続きは、こちらからお読みいただけます

監視カメラをマーケティングにも活用 AI映像解析がもたらす新たな価値の威力

概要

  • AIによる映像解析で乗り越えるべき2つのハードル
  • 幅広い技術を組み合わせることで実用的なAI活用を実現
  • すでに始まっているマーケティング分野での活用例

ページの先頭へ