GTM-MML4VXJ
Skip to main content
  1. ホーム >
  2. サービス >
  3. FUJITSU Knowledge Integration >
  4. Insights >
  5. 未来を描き、問題を設定する「未来開発型」組織へ

未来を描き、問題を設定する「未来開発型」組織へ

 

未来を描き、問題を設定する
「未来開発型」組織へ

ビジネスや事業を変革するには、アイデアを生み出すための情報量を増やし、視野を広げて「Why」から発想することが欠かせません。富士通総研では、未来予測や発想手法、組織知形成のための対話の手法などを取り入れた「未来洞察プログラム」を開発・提供してきました。

2017年8月30日

佐々木哲也 株式会社富士通総研 マネジングコンサルタント

アイデア創出を行う前に必要なこと

デジタルビジネスが進展する中で優れたアイデアを生み出し、ビジネスや事業を変革するプレッシャーは、多くの企業において日々増大している。デザイン思考やリーンスタートアップなどアイデアを練って実践するプロセスは整ってきており、それらに則って、すぐにでもアイデアを実現するべく、トライしたくなることも少なくないかも知れない。

しかし既存の知見やノウハウに頼った拙速なアイデア創出は、思わぬ落とし穴に足をとられる可能性があり、時には危険でさえある。その前の段階で、例えば世の中ではどんなビジネスが生まれ、成長しているのか、新たなITにはどんなものがあり、何ができるのかといったことを抑えておくべきである。

つまり、少し抽象的な表現になるが、いきなり「What」や、時には「How」から発想するのではなく、「Why」から考えるべき、ということだ。「What」や、「How」から始めてそのままアイデアの実現を進めれば、(1)本当に正しいかどうかに確信を持てず企画がふくれあがる、(2)決めた手段に捉われてコストや時間をかけすぎる、(3)競類似したサービスや製品が登場してそれに振り回される、といったことになりかねない。これを避けるには、アイデアを生み出すための情報量を増やし、視野を広げて「Why」から発想することが欠かせない。筆者はこれをコンセプト起点による未来の「創造」と定義している。

変化の予兆をとらえる

Whyから定義することで価値創造の軸足を定める

「Why」を考えるということから始めるには、どうすればいいか。視察やインタビューなどを通じて情報量を増やすのは当然として、もう一つ、未来を想定して自分たちがどういう存在でありたいかを強くイメージしておくことが大事になる。それができれば必然的に「Why」を導出でき、価値創造の軸足が定まる。

しかし未来を想定するのは難しい。例えば、技術の将来を予測する手法に、有識者の意見を集約するデルファイ法があるが、これでも大きくずれることが多い。そもそも有識者や専門家が集まって作成した予測は結果から見ればおおむね外れている。経済企画庁が(現文部科学省)1987年に2010年を予測した資料や、iPhoneに対する専門家たちの意見、多くの職業が失われ皆が路頭に迷うと主張した産業革命時における予測などを見るまでもなく、それは明らかだ。

ではどうするか?専門家の意見を参考にしつつも、常に修正や変更を加えながら自分たちで考えることがキーになる。もう少し説明すると、これは線形に推移する未来を想定するのではなく、非線形の未来を考えることであり、フォーキャスティングではなく、バックキャスティングという考え方に基づく。何が正しいか、確実か、ではなく、もしこうだったらどうなるか、もしこうなれば何が起きるか、を考えることである。

実は、そのための手法として石油業界などを中心に古くから用いられてきた「シナリオ・プランニング」がある。これを用いてシェル社は、オイルショックが起きる可能性を見出し、他社よりもいち早く行動を起こしたという話が有名である。ただし、この手法を今、企業全体で使おうとすると難しい問題がある。

  1. 不確実性の高い未来を予想する行為への理解がない
  2. 複雑で変化の激しい未来を考えるプロセスがない
  3. 継続的に自ら情報を収集し未来について考えるトレーニングをつんでいない
  4. 組織横断的に知見を持ち寄り新たな知恵を生み出す習慣がない
  5. 単独のシナリオ・プランニングでは、有効なアクションに落とすのが難しい

未来洞察プログラムの概要

これらの問題を解消するため、富士通総研は、シナリオ・プランニングを含めて未来予測や発想手法、組織知形成のための対話の手法などを取り入れた「未来洞察プログラム」を開発し、提供してきた。以下、このプログラムについて解説する。まず適する用途は、自社のビジョンや次世代商品コンセプトを全部門の次世代リーダーを集めて検討する、自社にとってのICT活用の可能性をITベンダーと協力して描く、自社グループの顧客接点全体での新サービスを考える、といったものである。

これらの事例から明らかなように、部門や立場を越えた複数の人が集まって、比較的短期間で未来を洞察するアプローチである。特徴をまとめると以下の3つになる。

(1)全員参加・短期間で実施する

自社の未来を創る様々な立場の人が全員で深く関わり、短期間で思いを共通化する

(2)理論・フレームワークを活用する

事業創造や組織変革について、実践に裏打ちされた理論やフレームワークを活用する

(3)創発型ファシリテーションを行う

創発のプロセスをリードしていくことに特化させたファシリテーションで推進する

注意して頂きたいのは、必ずしも未来を描くことを目標としているわけではないことである。それよりも未来を洞察することの難しさと重要性を理解することが目標である。言い換えれば、社会・経済動向といった外部環境がめまぐるしく変化する中で、様々なステークホルダーの考えや意見を反映させながらビジョンを共有し、まとめていくことの意味を認識するわけである。

このプログラムを通じて、「未来を自分達で考える事の必要性」や「そのために何を考えなくてはならないか」といった思考を習得し、日常的な情報の受け取り方を変えることができる。それまでは意味合いまで深く考えることなく看過していた情報に対して、このプログラムを通じて感度を高くしてもらう。いわばマーケティング用語で用いられる「テトリス効果」がポジティブに働いている状態をつくる。あるいはアジャイルな戦略策定などのトレーニングなどを提供するなど、思考を習慣づけ、広い視野を持つような訓練を積んでもらう。

当然、生きた情報を収集することを重視する。統計情報や専門誌、インターネットだけでなく、生の情報を自ら取りに行くことを推奨する。例えば、プロのリサーチャーに依頼してテーマを絞って情報を集める、実際にインタビューやミーティング、視察を行う、などである。それを通じてこんな技術が出てくる、あの企業はこんなビジネスを展開している、といった想定ができるようにする。

その上で、例えば顧客の業界(顧客・市場)と自社の業界(競合・自社)、2つの未来シナリオを描く。BtoCでもBtoBであっても、顧客と自社、あるいは新規参入業者という視点を持ち、客観性を持って未来を洞察するのである。この時、重要なことの1つが時間軸を合わせること。想定する未来が3年後なのか、5年後か、それとも10年後か。そのイメージを参加者全員が共有していないと洞察がうまくいかないことは自明だろう。

組織は「未来開発型」へと進化

未来洞察プログラムでは、以上を比較的短期の日程で集中して実施する。標準的な進め方と各フェーズにおける検討事項を、下記に示した。企業がターゲットとする顧客・市場、その市場における競合他社という2レベルの未来を洞察し、ビジネスモデルを検討するのがポイントである。例えば金融業なら顧客・市場は金融サービスを利用する法人・個人の動き、競合・自社は新規参入も含めた競合他社および業界全体の動き、である。こうすることでより深みのある洞察が可能になる。

結果として洞察される未来は複数になる。そうしておけば仮に望ましくない方向に進んだとしても、洞察できていた未来には対応しやすいし、事前に手を打つことができる。その上で、自分たちは「望ましい未来を開発するのだ」という考え方でアイデアや発想を生み出すのだ。

なお未来洞察プログラムと言うと、特別なワークショップの1つと思われるかも知れないが、我々はそうは考えていない。否応なしに不確実性が高まる中で、どんな組織も常に未来を描き、問題を設定できる「未来開発型」に進化する必要がある。未来洞察が日常になるのが理想である。

このプログラムはそのための手法であり、企業や組織の日々の活動に溶け込んでいかなくてはならない。その最初の一歩として、読者の皆様に理解していただき、日々の業務で実践していただくことを願っている。


本ページに記載された内容は、掲載日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。

トップ写真:Rawpixel/Getty Images

 
  • Facebook
  • twitter
  • はてなブックマーク
  • Linkedin
  • pocket
  • メールで共有
GTM-WZ8656