受講生&経営者の声 学びを生かし、新しいビジネスの種をまく
次代を担う“尖った人材”を育てたい

泥臭いところから仕組みを学び新しいサービスをつくる視点と実践力を会得

西村氏が受講したのは、期間は約4カ月・全24日で構成された「AI・Analyticsコース」だ(注1)。同じコースの受講生は約20人。IT関連企業よりも、一般企業でプロジェクトをドライブする立場にある現場のキーパーソンが多かったという。

「始めに入学式と親睦会があり、共に学ぶ仲間と交流を図ります。その後、実際の講座では『AIとは』といった基礎的な内容から、徐々に高度な内容に進んでいきました。段階的に掘り下げていくカリキュラムだったため、難易度の高い統計学の回なども理解しやすく感じました」と西村氏は振り返る。

各回の講義は、内容に合わせた形態で行われた。座学のほか、実際に手を動かしてプログラムを組んだり、ワークショップ形式で複数名とサービスを考案する実践的なものもあった。「ここまで長期のプログラムに参加するのは初めてだったので、当初は付いていけるのか不安でした。しかし、各回の内容が次回につながる構造になっていたため、間に復習を挟みながら無理なくスキルアップが図れたと思います」(西村氏)。

今回の受講では、AI活用に入る前の「データの収集」や「クレンジング」の重要性が、理由と合わせて理解できた。

「目指すビジネス成果につなげるAI活用を具現化するには、どんなレベルのデータがどのくらい必要なのか。そして、仮にそれらのデータが手元にない場合、蓄積するための環境をどんなかたちで整備しなければいけないのか。そうした泥臭い部分から、専門知識を持つスタッフの方とともに取り組めたことで、自ら考え、実践できるようになりました」と西村氏は話す。

それまでAIサービスは「使うもの」という認識だったが、受講により、「必要ならばAIサービスを自らつくればいいのだ」という新たな視点と自信を得ることができたという。

学んだ内容をかたちにすることで社内に「やればできる」ムードを醸成

タックの受講生3名は毎回、講座で学んだことを社内に持ち帰り、周囲に広めていた。これは特にトップが指示をしたわけではなく、各自の自発的な行動だったそうだ。

「受講生が講師となって勉強会を開くところもあれば、アイデアソンを開催したところもあるようです。いずれにせよ、受講生にとっては復習になるし、周囲のメンバーにとっては専門性の高い知識が新しい発想のきっかけになると思います」(浅井氏)。まさしく、同社が目指すボトムアップ型のアイデア発信が具現化されたケースといえるだろう。

少しずつだが、実ビジネスでも成果が出始めている。例えば、かねて開発を進めていた製造業向けの生産支援システムでは、データの収集・活用フェーズに講座で学んだAIや統計学の知識・手法を反映。製品機能の高度化につなげた。

また西村氏は、AIを活用した新しいヘルスケアソリューションの実現に向け、“種”をまいている最中だ。「カリキュラム最後のワークショップでは、参加者が所属する会社の実データを使った開発体験を行いました。そこで私は、健康診断などで使われる診断データを活用して新しいサービスを検討することにしました」と西村氏。具体的には、いくつかの質問をユーザーに回答させることで、AIがストレス診断を行う仕組みだ。

最初はあまり意味を持たない結果しか出なかったが、支援役として参加した富士通研究所のスタッフに相談したところ、ある分析手法を取り入れることで、ユーザーの状態をより詳しく診断できる可能性があるとアドバイスを受けたという。そこで早速取り入れたところ、様々な興味深い結果が得られるようになった。

「例えば、ストレス要因は男性と女性で異なることが分かりました。具体的には、仕事の質や量に対する価値観には男女間で差があることや、残業時間の量がストレス要因に大きく影響していることなどです。この仕組みをさらに改良していけば、社員ごとに適したストレス対処法を提案することも不可能ではなくなるでしょう。新しいサービスに発展させるため、目下社内で検討を進めています」と西村氏は述べる。

加えて、勤怠の打刻時に簡単なアンケートを記入してもらい、そのデータを蓄積・分析することで社員のメンタルヘルスを支援するシステムも、社内で検証を重ねながら開発が続けられている。これが実現できれば、社員にメンタルの不調が現れる可能性を、いち早く予測できるようになるという。

「私は毎回の講義後、学んだことを基にプロトタイプを作成していました。主には自分の復習が目的でしたが、つくったものを積極的に周囲に見せることで、同僚や後輩の意識も少しずつ変わってきたように思います。実際に成果物を見て、『やればできるんだ』という感覚が定着してきたのではないでしょうか」(西村氏)。事実、西村氏のところには、各社員が書いた新規企画の提案書が、以前より多く集まるようになってきたという。これは、同社のイノベーション創発にFUJITSU Digital Business Collegeが貢献した部分といえる。

“最初のひと転がり”が重要今後は現場の化学反応に期待

タックの社員は約300人。そのうちわずか3人がFUJITSU Digital Business Collegeを受講したからといって、組織全体がすぐに変わるとは考えていないと浅井氏は言う。「あくまでこの3名は、“最初のひと転がり”。ただ、変化を起こすのは、最初がとても大変なのです。FUJITSU Digital Business Collegeによって、そこをスムーズに進められたことの意義は計り知れません」と浅井氏は力を込める。

一度動き出せば、次のアクションのハードルはぐっと下がる。現場が自発的にサイクルを回しながら、スムーズに転がり続けていくこともできるようになるだろう。その意味で、FUJITSU Digital Business Collegeがタックのビジネスに効果をもたらすのは、これからが本番だ。

「私は、こうした学びの場を、国産ベンダーである富士通が提供していることに価値があると考えています。欧米企業が主導する現在のデジタル市場ですが、第一線で活躍できるポテンシャルを持った日本企業は、もっとあるはず。富士通には、その真価を引き出すために尽力してもらいたいし、我々も協力できることがあれば力は惜しまないつもりです」と浅井氏は最後に語った。

  • (注1)
    記事内のコース名や内容は2018年開催のものです。
  • (注2)
    記載の会社名、製品名、名称等の固有名詞は各社の商標または、登録商標です。記載の肩書きや役職、固有名詞などは2019年2月時点のものです。

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