Director Interview 「変革」のためのプログラムを提供しデジタル時代に挑む企業と伴走する

多くの企業が、進化するデジタル技術を武器に新たなビジネス領域へと足を踏み出している。この状況の下、成長力を維持するには、既存の常識を捨て去り、まったく新しい価値の創出を目指す「イノベーション」が必要だ。FUJITSU Digital Business Collegeは、最新の技術やデザイン思考のアプローチを実ビジネスに適用できる人材の育成を通じて、日本企業の一層の成長に貢献していく。

Profile

紺野 登 教授

多摩大学大学院

FUJITSU Digital Business College Director。
早稲田大学理工学部(現・理工学術院創造理工学部)建築学科卒。博士(経営情報学)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別招聘教授、東京大学i.schoolエグゼクティブ・フェロー、一般社団法人Japan Innovation Network代表理事などを務める。

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PDCAを回すだけでは勝てない 経営の原理原則の入れ替えが必要

財務省の法人企業統計調査(注1)によれば、2017年4~6月期に日本企業の経常利益は過去最高を更新。「戦後最長の好景気」の中、活力を取り戻す企業が増えていることが分かった。

ただ同時に、手放しではよろこべない状況であることも見えてきた。全企業売上高は2007年度から2017年度の10年間でほぼ横ばい。つまり日本企業は、新たな需要を創り出すことなく、既存の市場に閉じたまま経常利益を伸ばしてきた傾向が見て取れるのだ。これについて、多摩大学大学院の紺野 登教授は次のように指摘する。

「深刻なのはイノベーションの不足です。高度成長期以来の強烈な成功体験を持つ多くの日本企業は、優れた前例を改善することでビジネスを高度化していく術に長けています。しかし、少子高齢化や人口減少といった課題が次々生まれている現在は、そうした前例踏襲型のスタイルでは、先細りしていくことは明白です。必要なのは、これまでの常識や“勝ちパターン”を捨て、新しい発想と技術でビジネスを捉えなおすこと。それにより、イノベーションを企業経営の核に据える『イノベーション経営』を具現化することが、日本経済の一層の成長には欠かせません」

また紺野教授によると、イノベーション経営のほかにも、日本企業が現状を打破するために必要な要素は2つあるという。

1つは「デジタル化」だ。AIやIoTをはじめとする先進テクノロジーを活用することで、ビジネス成長を加速する。もう1つは「デザイン思考」。事業のアイデアや問題解決策を考える際、観察や共感、プロトタイピングといったプロセスを経ることで、真に必要とされるモノやコトを生み出す手法のことである。「いずれも、企業経営のプリンシプル(原理原則)を入れ替えるというくらいの意識で取り組むことが必要なものだと考えています」と紺野教授は話す。

ビジネスイノベーションはどんな企業でも起こせる

もちろん、イノベーション経営、デジタル化、デザイン思考の重要性に気付き、それらを取り込むことでビジネス変革を推し進めようとする日本企業は多い。ただ問題は、「3つがばらばらなまま、取り組みが進められてしまっているため、成果につながっていない」ことだと紺野教授は述べる。

「例えば、先進テクノロジーを活用して、新しいビジネスを立ち上げようという企業はどんどん増えています。また、デザイン思考を社員研修のカリキュラムに組み込む企業も、大手を中心に増加しています。しかし、いずれも特定の部署や人だけが取り組んでいたり、知識を習得したりするレベルにとどまっており、企業全体が統合的な観点に立って取り組みを推進している企業は少ないようです」。そのため、各部署の担当者は「うちはイノベーションに取り組んでいる」とは言うものの、企業全体としての成長にはつながっていないケースが多く見られるという。

なぜこうしたことが起こるのか。要因の1つが、「イノベーションは不定形で、難しいもの」という先入観だという。「ビジネス全体を変えることなど自分たちには無理なので、部分的に取り入れるだけにしておこう」という思い込みが、変革に向けた統合的な取り組みを阻害している。

「現在はイノベーションマネジメントという国際標準が確立されようとしています。これにより、規模や業種、業態に関わらず、どんな企業でもイノベーションを経営の中核に据えることができるようになりました。意識を持って取り組めるか否か、また、与えられた機会を生かせるかどうかが、企業の明暗を分ける時代といっていいでしょう」(紺野教授)

実践型の人材育成プログラムで現実のビジネスに効果をもたらす

こうした状況を踏まえ、紺野教授がDirectorを務めるFUJITSU Digital Business Collegeは、イノベーション経営やデジタル化、デザイン思考に関する学びと実践の場を提供。時代に即応できる“人創り”によって企業に貢献することを目指している。

「単に知識や情報を伝える『研修』ではなく、明確な目的のもと、多彩な経験を積むことができる『意識醸成プログラム』という呼び方が適切だと思います」と紺野教授は説明する。例えば、デザイン思考とは何かを座学で勉強するだけでなく、顧客の現場を観察し、仮説を立て、ワークショップでプロトタイプをつくる。それを皆で評価、改善し、ふたたび仮説検証を繰り返すといった、実際のビジネスに近い流れを経験することができるのだ。これにより、机上の空論に閉じず、実ビジネスにイノベーションを起こせる人材を育てることを重視している。

「今、求められているのは、イノベーティブな発想を具現化するための行動に移したり、周囲を動かしたりできるアントレプレナーシップ(起業家精神)を持った人材です。私はこうした力を『構想力』と呼んでいますが、この構想力に関する気付きだけでもこのカレッジで得てもらえれば、非常にうれしく思います」と紺野教授は言う。

また、イノベーションは単発で起こしても実りは少ない。継続的に収益を生む事業へと育てたり、他の企業とエコシステムを構築していく取り組みにまで進めていったりすることが、より大きな成果につなげる上では不可欠だ。そこで同カレッジでは、そのために必要な組織のあり方や、CIO(チーフ・イノベーション・オフィサー)を含めたマネジメント体制や人材配置のあり方についても、ノウハウを提供できるようにしているという。

変わるべきは経営者とミドル層 そのために貢献する場を目指す

「今後、社会の変化とともに、企業は『なくなる企業』『なんとか生き残る企業』『急成長する企業』のいずれかに分かれていくといわれています。目指すべきは『急成長する企業』なのは言うまでもありませんが、これは簡単なことではありません。実際、急成長するスタートアップを見ていると分かりますが、どの企業も時間と戦い、常識のレベルを超えた努力をして日々のビジネスに向き合っています。これからは、すべての日本企業がそうした姿勢に変わらなければ、本当に生き残れない時代になるでしょう」と紺野教授は警鐘を鳴らす。

企業のこれからを担う若手世代は、既存のやり方にとらわれないフレッシュなセンスを持っている。大事なのは、現在のビジネスを牽引し、かつ若手世代の見本となるべき経営層やミドル層が過去の成功体験にとらわれ、思考停止してしまうことのリスクに気付き、自ら変わることにあるという。

「その点FUJITSU Digital Business Collegeは、各講座の内容はもちろん、企業の垣根を超えた受講者同士の交流なども通じて、経営者やミドル層が変わるための手助けができる場だと自負しています。“人創り”は、あらゆる企業のミッションです。人材育成プログラムを提供する側、受講する側という関係性を超え、ともに歩みを進めていくことで、企業の課題解決、ひいては日本の経済や社会全体に貢献していければと思います」と紺野教授は語った。

  • (注1)
    財務省「法人企業統計調査」平成29年度
  • (注2)
    記載の会社名、製品名、名称等の固有名詞は各社の商標または、登録商標です。
    記載の肩書きや役職、固有名詞などは2019年4月時点のものです。

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