
株式会社四電工 様
ビジネス変化に対応するための、業務効率化と
人材スキルの向上に向けたメンバーの意識改革に挑戦
ビジネス変化に対応するための、業務効率化と
人材スキルの向上に向けたメンバーの意識改革に挑戦
四電工様では、四国電力の個人向け光インターネットサービス「Pikara」関連業務の改善にフィールド・イノベーションを活用。フィールド・イノベータが業務全体を可視化することで課題を明らかにし、現場の担当者とともに解決策を検討しました。
職場環境と人材の両面で改革に取り組む
四国電力グループの一員として、配電/送電設備工事を手がける四電工。長年にわたり培った技術力を活かし、四国の有力地場企業として官公庁やビル・工場向け設備工事、情報通信設備工事など、幅広く事業展開している。
同社では今回、情報通信部門において業務効率化と人材育成支援を目的とした業務改革を実施した。情報通信技術部 副部長 村上 博志氏は、「当社では『中期経営指針2020』において、売上高や営業利益の拡大を掲げています。しかし、少子高齢化や電力自由化が進む中、既存事業に力を入れるだけでは大幅な伸びは見込めません。業務の効率化と新規ビジネス分野に積極的に関わる人材を育成することで、今後の成長につながる体制を築きたいと考えました」と明かす。
株式会社四電工
情報通信技術部
副部長
村上 博志 氏
株式会社四電工
高知情報通信センター
副所長 兼 情報通信工事課長
丸山 和紀 氏
業務の全体像を可視化で洗い出す
その牽引役として導入されたのが富士通のフィールド・イノベーションだ。村上氏は「業務を改革しようと思うものの、具体的にどう取り組めば良いのかが分かりません。そんな時にフィールド・イノベーションの話を聞き、まさにこれだと飛び付きました」と語る。
今回の活動対象として選ばれたのは、同社 香川情報通信センターの情報通信工事課だ。四国電力グループの個人向け光インターネットサービス「Pikara(ピカラ)」関連業務や官公庁向け業務などを担当する同課では、慢性的に多忙だった。プロジェクトを担当したフィールド・イノベータ(以下、FIer)は、その原因を探るべく可視化作業に着手。関係者へのインタビューやピカラ関連業務の実態調査、職務経験のヒアリングなどを通して、業務の全体像を明らかにしていった。
その結果、様々な事実が判明。たとえば、同課では各担当者がそれぞれに現場を抱えているため、仕事の進め方が個人商店のようになりがちであった。これを改善するために工事種別で担当者をまとめたチーム制を導入したが、思うように機能していなかった。また、特定の担当者に仕事が集中している、業務量に対し人的リソースが足りていない、助け合いの仕組みや若手のスキルアップ体制が不十分などの点も明らかになった。
高知情報通信センター 副所長(活動当時は香川情報通信 センター 情報通信工事課長)丸山 和紀氏は「業務の現状が定量的なデータとして示されたことで、改めて現実的な課題として再認識できました。我々が薄々感じていた事も多かったので、その後の取り組みも納得感を持って進められましたね」と語る。
さらにFIerは、可視化結果から抽出された19項目の課題を「ピカラ工事管理」「業務内容・フォーメーション」「スキルマップ」の3つのカテゴリに分類。これらを解消するための施策立案へと進んでいった。
3つのテーマで具体的な改善施策を展開
合計3回にわたり開かれたワークショップには、現場の担当者も積極的に参加。FIerがまとめた課題を基に、「ピカラ工事管理の改善」「メンバー間/チーム間の連携・助け合い」「メンバーのスキルアップ」の3テーマで具体的な施策検討を行った。
情報通信技術部 情報通信工事課 主任 前場 恵介氏は「FIerと我々の距離感が近かったのが良かったです。話しやすい雰囲気を作ってもらったおかげで、メンバーからも活発に意見が出てきました。施策についても自分たちで考えるので、自ずとモチベーションが高まります」と振り返る。FIerが提供した「デジカ(デジタルカードセッション)」などのツールも、議論を円滑に進めていく上で大いに役立った。
取り組みの結果、いくつもの施策をまとめることができた。まずピカラ工事管理では、特定担当者への業務集中を避けるべく、派遣社員の増員や役割の見直しを実施。併せて業務マニュアルも新たに作成し、業務の習得や引き継ぎを行いやすくした。香川情報通信センター 情報通信工事課 横山 綺音氏は「以前は現場の負担感も重かったので、役割を見直せたのはとてもありがたかった。マニュアルについても、富士通に提供してもらったひな形を用いることで、効率的に作成を進めています」と語る。
また、協力業者に対しても、工事報告書の記入ミスなどによる手戻りを防ぐための書き方指導を実施。また、協力業者との連絡に新たに構築した共有ファイルサーバを利用することで、従来のメールや紙ベースのやりとりを削減し効率化を図った。
メンバー間/チーム間の連携・助け合いでは、スケジュール管理システムの入力を徹底し、他のメンバーの行動予定が分かるようにした上で、作業支援や共通業務の依頼ができるようにした。「申請書を取りに行く、書類を届けるといった業務は、担当者本人である必要はないので、スケジュールを見て助け合うようにしています」と丸山氏は語る。また、手の空いたチームやメンバーが多忙な他チームや他メンバーの支援をする業務をいくつか決めることで、課全体として繁閑の差をなくし、業務量を平準化していく仕組みをつくった。
さらにスキルアップに関しても、定期的なジョブローテーションを行って幅広い業務知識を身に付けられるようにする、資格取得を促すためのポイント制度など新たな制度を導入。村上氏は「ポイント制度については、資格取得のための勉強時間や受験申し込みもポイントの対象となります。こうした施策を通して、社員のやる気を刺激できれば」と語る。
株式会社四電工
情報通信技術部 情報通信工事課
主任
前場 恵介氏
株式会社四電工
香川情報通信センター
情報通信工事課
横山 綺音氏
助け合いの精神を醸成
このように全員参加で改善に取り組む中で、職場の雰囲気にも変化が生まれてきた。「時間の使い方などが可視化されたことで、業務負担を減らすにはどうすれば良いか、手伝えることはないかを以前よりも考えるようになりました」と横山氏。また、丸山氏も「全員が業務をもう一度見つめ直し、お互いに助け合おうという気運が生まれたことは大変大きかったですね」と続ける。
「自律的な改善・改革に向けたきっかけを作れたことで、さらなる業務効率化やチーム連携、スキルアップが加速することを期待しています。今後はその成果を着実に刈り取っていくと同時に、他の拠点へも活動を拡げていきたい」と抱負を語る村上氏。既に高知、愛媛などの拠点でも、具体的な検討が進められている。
本店 | 香川県高松市花ノ宮町2-3-9 |
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設立 | 1963年5月1日 |
資本金 | 34億5125万円 |
ホームページ | http://www.yondenko.co.jp/ ![]() |
[2018年6月掲載]
今回のプロジェクトを通して
四国電力グループで初めてのFI活動であり、また、情報通信工事の現場代理人の皆さんの職場ということで、始めはどのように進めたらいいのか我々FIerもお客様も、全く手探りの状態でした。可視化期間中にピカラの工事手配業務の申し込み件数が多くメンバーの皆さんが苦労されていたので、まずはそこから入っていきました。結果的に、電力チームや自治体チームのメンバーも現場がお忙しい中、チームワークやスキルアップというテーマに積極的に取り組んでいただき大変感謝しております。今回の活動内容が四電工の経営幹部から高い評価をいただき、他の様々な部門からも活動のお声がけをいただけております。今後も営業/SEとも連携しながら、お客様の改革をご支援していきたいと考えております。