ウシオ電機株式会社 様
SAP ERPの運用基盤をAWS上に構築
コスト最適化・運用負荷軽減と、
パフォーマンスの大幅な向上を実現
1964年の創業以来、「光」を切り口とした産業製品を開発してきたウシオ電機様では、国内の製造業務を支えるIT基盤としてSAP ERPを運用してきた。運用負荷の軽減やインフラリソースの最適化、パフォーマンスの向上を目的にSAP環境をアマゾン ウェブ サービス(AWS)に移行し、富士通の導入支援を受けて2017年5月から本番稼働を開始した。クラウドへの移行により、月次処理やバッチ処理の時間短縮とともに、TCOも削減している。
会社概要 | |
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会社名 | ウシオ電機株式会社(USHIO INC.) |
業種 | 製造業 |
導入製品名 | 富士通のSAPソリューション |
ウシオ電機株式会社 様 課題と効果
- 課題5年単位のサーバ更新や運用のコストを削減したい
- 効果AWS移行により定期的なサーバ更新が不要になり、TCOも大幅に削減
- 課題月次処理、日次の夜間バッチ処理などのパフォーマンスを向上したい
- 効果インフラリソースの最適化とレスポンスの安定化により、処理時間が夜間バッチ処理で40%、オンライン処理で30%、全体で30%強削減
- 課題SAPシステムのリカバリ対応など運用負荷が大きく、深夜や休日対応を減らしたい
- 効果富士通にリカバリ対応まで依頼し、問い合わせ窓口も一本化して、AWSに関する問題は富士通に対応を一任
導入の背景
運用コスト軽減を目指し、SAP基盤のクラウド化を検討
産業用光源メーカーとしてスタートしたウシオ電機様は、独自の光学技術の開発・応用により、ユニットや装置、システム、さらには光のソリューションを提供する「光創造企業」へと発展してきた。その光技術は「あかり」の領域ばかりでなく、産業や科学技術の先端分野でエネルギーとして幅広く利用され、数多くの世界シェアNo.1製品を誕生させるとともに、バイオや農業、医療、環境などの新しいビジネス領域を開拓している。
社の製造業務を支える基幹システムは、主力の光源事業部、装置事業部、バイオメディカル事業部の3部門が2005年にメインフレームからSAP R/3に切り替え、生産管理からプロジェクト管理、販売管理、在庫管理、会計までを統合。インフラには富士通のホスティングサービスを利用して監視・運用を委託していた。その後、SAP R/3をSAP ERPにアップグレードして運用を続けてきたが、2017年にインフラ基盤が保守契約の終了を迎えるタイミングでクラウドサービスへの移行を決断した。その理由をIT戦略部門 IT活用推進部 課長補佐の小川善弘氏は次のように語る。
「5年単位のサーバ更新や運用負担を見直すため、以前からクラウド化を検討していました。近年SAPシステムの稼働を保証するクラウドサービスが増えてきたこともあり、クラウドに移行することでインフラリソースの最適化とレスポンスの安定化を実現し、運用管理の効率化と自動化、インフラセキュリティの強化、BCP対策の強化を図ることにしました」
導入の経緯
将来を見据えたAWSの設計、運用、DR環境などの提案内容を評価
ウシオ電機では複数のクラウドサービスを検討し、最終的にAWSを採用。「決め手はSAPシステムの圧倒的な運用実績による信頼性です。サーバのラインアップも高性能型からコスト重視型まで幅広く、コストの最適化にもつながると判断しました」と小川氏は語る。
また、AWSへの移行と運用保守を委託するパートナーに富士通を選定した理由について、IT戦略部門 部門長 ITソリューション推進部 部長の須山正隆氏は次のように話す。
「AWSのサービスの進化は非常に早く、領域もIoT、コンテナ管理、セキュリティなど多岐にわたるため、ベンダーの力量が問われます。富士通はAWSに関する知識が豊富で実力も申し分なく、今後の進化にも追随できると判断しました。導入後の運用体制も重要で、富士通のコンサルタントからはそれまでの実績を踏まえ、将来を見据えたAWSの設計、運用のあり方、DR環境などの提案をいただけました」
移行プロジェクトは2016年9月にスタートし、2017年のゴールデンウィーク後に本番運用を開始。移行したサーバはSAP ERPの本番/検証/開発環境、インターフェース、運用管理を含めた13台で、サイジングの結果サーバを10台に集約。また、今回の移行ではSAP ERPのサポートパッケージの適用やサーバOSのアップグレードは実施せず、既存の環境をそのまま移行することでリスクの軽減を図っている。「SAP ERPのアプリケーション改修は発生しませんでしたが、.NETを使った製造系の実績収集システムや工程管理システムのほか、人事システム、データウェアハウス(DWH)など、SAP ERPと連携する周辺システムが多く、移行時はインターフェースの検証に多くの時間を費やしました」とIT戦略部門 IT活用推進部の飯田達男氏は振り返る。
移行のプロジェクト自体は、ウシオ電機と富士通の良好なコミュニケーションによって円滑に進んだと、IT戦略部門 IT活用推進部 部長の小暮正樹氏は評価している。
「事前のサイジングで、現状のシステムの稼働状況を把握したうえで適切なリソースを確保していただきました。プロジェクト開始後も毎週ミーティングを行い、課題対応、進捗管理、影響調査などの報告を受けながら、非常にスムーズに進んだ実感があります。本稼働に向けた最終判定会議でも、ユーザーテスト、総合テスト、移行リハーサルなどの結果をもとに確実な移行計画を立てて、本稼働まで進むことができました」
移行後の効果
パフォーマンスの向上で月次と夜間処理の時間が大幅に短縮
SAP ERPのAWS移行により、当初の課題としていたサーバ更新の手間から解放されただけでなく、AWSの運用を富士通にアウトソーシングすることで、IT要員の負荷も軽減されている。飯田氏は「それまでSAPシステムのジョブが止まると、深夜や休日にも私たち自身でジョブの再投入をする必要がありました。今回富士通にリカバリ対応まで依頼し、運用マニュアルの整備や自動化を進めた結果、時間外対応から解放されました。問い合わせ窓口も一本化して、AWSに関する問題はすべて富士通に対応してもらえるメリットは大きいと思います」と述べている。
システム面ではハードウェア環境の強化とインフラリソースの最適化によりパフォーマンスが向上し、月次の処理時間と日次の夜間バッチの時間が大幅に短縮されている。
「処理時間は、夜間バッチ処理で40%削減、オンライン処理で30%削減、全体で30%強削減されました。具体例としては、以前は就業開始時間にまでずれ込むこともあった夜間バッチ処理が短縮され、処理が間に合わないという不安と間に合わなかった時のフォロー対応がなくなりました」(小川氏)
その他、AWSのシンガポールリージョンに新たにDR環境を構築し、BCP対策も強化した。インフラのTCOも大幅に圧縮される見込みだという。
一方でウシオ電機は、工場の製造ラインにおいて、製造実績情報、品質情報、設備から取得した各種センサーデータなどを蓄積・解析し生産品質に繋げるシステム基盤としてもAWSを活用している。スモールスタートができ、トラフィックやデータ量の増加に加えてサーバを拡張するのに最適なクラウドサービスを検討した結果、SAP ERP基盤と同様にAWSの採用に至ったという。
今後の展開
オンプレミスで稼働中のシステムを順次クラウド上に移行
今後については、SAP ERPの運用基盤としては、今回のクラウド化で対象外としたWindowsサーバとSQLサーバのアップグレードを、OSのサポートが切れる2019年までに実施することを検討している。加えて、現在もオンプレミス環境で運用している情報共有システムや、ワークフローシステム、.NETを使った業務系システムなどをAWS上に移行していく方針だ。それに向けて富士通に対しては「安定運用に向けたさらなる支援と、新たにリリースされていくAWSのサービスを先取りした提案を期待しています」と小暮氏は話す。
「光のイノベーション」を通じて、豊かな社会・生活の発展に貢献していくウシオ電機のビジネスを支える基盤として、クラウドの活用はさらに重要度を増していくはずだ。
(左から)飯田氏、小暮氏、須山氏、小川氏
ウシオ電機株式会社 様
本社所在地 | 〒100-8150 東京都千代田区丸の内1-6-5 丸の内北口ビルディング |
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代表者 | 代表取締役社長 浜島健爾氏 |
設立 | 1964年3月 |
資本金 | 19,556,326,316円 |
従業員数 | 連結5,963名、単体1,703名(2017年3月末) |
事業内容 | 光応用製品事業ならびに産業機械およびその他事業 |
ホームページ | https://www.ushio.co.jp/ |
[2017年12月掲載]
- SAP、SAPロゴ、記載されているすべてのSAP製品およびサービス名はドイツにあるSAP SEやその他世界各国における登録商標または商標です。またその他の商標情報および通知については、https://www.sap.com/copyright をご覧ください。
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