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GLOVIA/SCPの導入による一貫生産計画システムの構築。東洋鋼鈑株式会社様

このページの情報は、2004年に掲載されたものです。
最新情報は、GLOVIAトップページよりご覧ください。

環境に優しい飲料缶としてコーヒーやコーラなどに採用されているラミネート鋼板、テレビ用シャドウマスク、ハードディスク用基板、乾電池など、表面処理鋼板を用いた製品は身近なところに数多く存在する。東洋鋼鈑株式会社は、これら表面処理鋼板製品のパイオニアと言われており、それらを一手に製造している下松工場で、GLOVIA/SCPによる一貫生産計画システムが稼動した。

システム構築のきっかけは『ザ・ゴール』(エリヤフ・ゴールドラット著)。サプライチェーンマネジメントに結びつく

表面処理鋼板は、高炉メーカーから調達したホットコイルと呼ばれる鉄素材を常温で圧延し、それぞれの用途に合ったメッキなどの表面処理と裁断を経て製品化される。圧延工程から後は細かく枝分かれしている為、工場内に約60工程のラインが点在している。このように、表面処理鋼板製品を製造するには多品種小ロットで複雑な生産工程を経る必要がある。

下松工場に一貫生産計画システムを構築するきっかけとなったのは、エリヤフ・ゴールドラット著『ザ・ゴール』である。その中のTOC(Theory of Constraintsの頭文字)理論を取り入れて工場の中の生産の仕組みを見直すプロジェクトを立ち上げ、平成13年の8月から1年間で実施することになった。

プロジェクトの目標は、より少ない人数でより高いスループットを上げること、原材料・仕掛品・製品在庫を30%削減すること、リードタイムを短くしてお客様への納期の遵守率を上げること、これらの三点を通じて利益を上げる生産体制を確立することである。

ボトルネックの解決策として『ザ・ゴール』の中でDBR(Drum Buffer Rope、ドラム・バッファ・ロープ)が示されている。ボトルネック工程の速さに合わせて前後の工程の生産を行う考え方である。つまり全体の生産ベースを決めるのがボトルネック工程であり、これをドラムと呼んでいる。ボトルネック工程の生産を止めない為には、前にバッファと呼ばれる適切な量の仕掛を常に確保しなければいけない。又、ボトルネックの前の仕掛を見ながら先頭工程の材料投入を適切に調整していく伝達プロセスがロープというイメージになる。

プロジェクトのねらいはこのDBRを生産計画に組み込みことにあった。TOCの適用範囲を広げていくことは、工場だけでなく調達先やお客様も巻き込むことなり、結果としてSCM(サプライチェーンマネジメント)に結びついていくのではないかと考えたからである。

システム構築は9ヵ月。必要とされる機能すべてに対応

下松工場の計画立案部門には組織上の問題点があった。計画立案部門がスタッフと現場に分かれていたのだ。又、担当ラインが細かく分かれており、自分の担当ラインだけを最適化しようとする動きが強く、前後のラインのつながりが途切れてしまっていた。

一方で、システム上の問題点もあった。生産計画をシミュレーションする手段がなく、先が読めなかったため、仕掛切れや置き場不足が頻発していたのだ。営業部門からの問い合わせにシステム的な回答もできなかった。

そこで、組織上の問題においては、計画立案業務を生産管理グループに一元化し、少人数で計画全体をカバー出来るようにした。また、システム上の問題に対しては、生産計画システムの導入を検討することにした。

システムは比較検討の結果、担当SEの業務スキルの高さと、特殊な製造制約がカスタマイズにより実装可能で、更に低コストかつ短期間で構築できることからGLOVIA/SCP Factory for Assembly (開発元:株式会社FFC)を選択、富士通株式会社に導入を依頼した。平成13年の12月に導入を決定して、約9カ月でシステムを構築し、約半年間の助走期間を経て、平成15年3月には完全運用を開始している。

生産計画システムの機能として次の5項目が必要とされ、GLOVIA/SCPはそのすべてに対応した。

1.精度の高い能力計算

従来の能力計算では、1シフト(8時間)毎のコイル重量(トン数)を基にしており、切り替え作業や設備稼働率の変動により誤差が発生していたが、材料のコイルの長さ、ラインスピード、前後の切り替え、稼働率などの詳細パラメータを基に能力計算を行うようにカスタマイズを行った為、高精度な能力計算を実現できた。

2.すべての工程が例外なくシステム化対象

従来は現場における作業制約が多く、システム化できなかった工程(特にバッチ焼鈍炉工程)を、現場の協力も得ながらシステム化した。全ての工程をシステム化対象とすることにより、上工程~下工程において一貫した生産計画が作成可能となった。

3.サイクル生産への対応

サイクル生産は同社独自の生産体系である。作業の前後に大きく段取り変えが必要な品番をサイクル品と言い、コスト削減のためにできるだけ月1~2回にまとめて生産するようにしている。サイクル品は一般品と同一設備を使用する為、サイクル品を生産する設備での生産計画は立案担当者の立案作業負荷が高かった。

しかし、GLOVIA/SCP導入により、一般品とサイクル品毎にガントチャートで視覚的に参照/修正が可能となり、結果として立案担当者の負荷軽減に繋がった。

4.ロット集約

従来は各設備担当者が作業性を考慮して、段取り切替が最小となる様に設備単位のロット集約を行っていた。しかし、各工程の繋がりが無い為、仕掛在庫の増大の原因となっていた。

GLOVIA/SCPのカスタマイズにより、各設備での複雑な制約条件を考慮しながら工程間の繋がりを持った一貫生産計画の作成が可能となった。

5.シミュレーション機能

従来は仕掛量を予測/分析する機能や納期回答シミュレーション機能が無かった為、仕掛在庫が過剰になったり、営業への正確な納期回答が出来ない等の問題が起こっていた。

GLOVIA/SCPの仕掛量推移グラフにより仕掛量を予測することで、過剰な仕掛品を抑制した生産計画が可能となった。また、納期回答シミュレーションにより、シミュレーション結果に基づいた先取りの生産計画が可能となった。


平均工期を10~15%短縮。今後はGLOVIA/SCPの適用範囲を拡大してSCMを強化

一貫生産計画システムの導入により最初の材料投入から最終工程までをつないだ形でスケジューリングできるようになったことが、大きな効果をもたらしている。

生産工程の効率化といったシステム以外の効果も合わせると、平均工期は導入前に比べて10~15%短縮。仕掛量はほぼ同一レベルだが、スループットがかなり向上しているので、割合としては減少している。棚卸資産は14%圧縮。付随して分業していたものをまとめたことで生産管理要員の20%省力化も実現した。

さらに現在、材料発注業務の改善、別会社で行っている包装工程へのSCM適用、営業支援システムの構築を推進している。

下松工場で製造している製品は、契約から納品までの期間に対して、原材料の発注から製品の納品までの期間が長く、契約が入ってから材料を発注しても納期に間に合わない。そのため、材料の見込み発注の精度を向上させることが必要となっていた。お客様の注文の内示を早い段階で仮契約として材料発注システムに反映させ、材料の適中率を上げるという営業情報内示システムを構築し、試行運用中である。


東洋鋼鈑株式会社
技術部生産管理G

山本 彰 氏

また、別会社で行っている製品の包装工程は、仕様により包装の時間、資材が異なり、システム化のネックとなっていた。そこで、この包装会社とのSCMをGLOVIA/SCPの中に包装システムとして後からアドオン開発した。その結果、「先々の予定が立てられるようになり、先行して包装資材を発注できるようになった為、前工程終了時には包装準備ができ、作業が早くなってリードタイムが短縮された。」(山本氏)

営業支援システムでは、GLOVIA/SCPでシミュレーションした結果を見て、納期回答を行ったり、営業部門からの要望を生産計画に渡し、それを自動的にGLOVIA/SCPに反映するシステムを構築しつつある。

GLOVIA/SCPの導入により、工場内の一貫生産計画システムを構築することができ、工場内の生産計画作成部門を集約することができた。さらに、下松工場内のサプライチェーンの強化、工程内仕掛量の管理、リードタイムの短縮が実現した。

今後、このGLOVIA/SCPの適用範囲を「ホットコイルメーカー、営業部門、お客様へと拡大してサプライチェーンマネージメントの強化を図りたい。」と山本氏は結んでいる。

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