株式会社スギノマシン様
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経営者の使命は会社を永続させ、社員と顧客、さらには株主の利益を守ることにある。そのためには、自社はもちろんグループ各社の活動を確実に把握し、異常な値を示した売買には早急に対処しなければならない。この仕組みを実現する会計システムを構築したのが株式会社スギノマシン(以下スギノマシン)だ。極めて多岐にわたる製品群、グローバルな商圏、6,000社にわたる顧客企業。これら膨大な量の明細情報をチェックできるシステムを、GLOVIA-Cで完成させた。
課題と効果 | ||
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富士通はGLOVIA-Cをベースとしたソリューション『GLOVIA smart』をご提供しています。
株式会社スギノマシン
本社 | 〒937-8511 富山県魚津市本江2410番地 |
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資本金 | 23億2,467万5,000円 |
従業員数 | 1,015名(グループ計:2006年3月) |
代表者 | 代表取締役社長 杉野 太加良 氏 |
設立 | 1956(昭和31)年4月6日(創業:1936年3月1日) |
年商 | 233億円(グループ連結:2006年3月) |
事業概要 | 高圧ジェット洗浄装置、超高圧水切断装置、原子力発電所検査保守機器、湿式微粒化装置、ドリリングユニット、タッピングユニット、マシニングセンタ、拡管工具・装置、抜管装置、鏡面仕上工具等の開発・設計、製造、販売 |
URL | 株式会社スギノマシン (http://www.sugino.com/) |
株式会社スギノマシン
専務取締役
杉野 尚志 氏
生産拠点の海外移転が加速的に進み、国内産業の空洞化が懸念されている。そんななか、富山県魚津市に本社を置くスギノマシンは、圧倒的な技術力によりさまざまな製品分野でシェアNo.1を誇っている。
同社の柱は「超高圧」と「超精密」。
ウォータージェット技術は、水を高圧噴射することによって、洗浄、バリ取りから、はつり・はくり、切断までを可能にした画期的な技術で、熱の発生がなく素材の品質に影響を及ぼさない特長を活かし、さまざまな産業で用いられてきた。近年、加工が困難とされている航空機各部の新素材切断、自動車のエンジンやミッション、ICリードフレームなど電子部品のバリ取り洗浄、セラミックスや化粧品などの材料の超微粒化など、ますますその適用分野を拡大している。
超精密技術では、8割を超える圧倒的なシェアを誇る精密ドリリング・タッピングユニット「セルフィーダ・シンクロタッパ」や小型マシニングセンタ「セルフセンタ」をラインナップし、高速・高精度の精密加工技術を提供している。昨年開発した同時5軸マシニングセンタ「セルフセンタXion-III-5AX」は、ターボチャージャー内のコンプレッサインペラやタービンブレードの加工、光学レンズ用金型などの超精密加工に用いられる最新鋭の超精密加工機で、業界から大きな注目を浴びている。
「スギノマシンは『自ら考え、自ら造り、自ら販売・サービスする』をモットーに、常に他社が真似できない“オンリーワン”を目指しています」と、専務取締役 杉野 尚志 氏は強調する。この考え方は社員隅々まで浸透しており、全員が常に新しい価値の創造に挑戦している。
株式会社スギノマシン
執行役員 経理部長
藤井 廣彰 氏
株式会社スギノマシン
企画部 情報システム課長
飯田 康之 氏
スギノマシンは多品種少量の受注生産が中心であり、売上明細ごとの原価・粗利益が掴みづらかった。さらに、同社は6,000社もの顧客を抱えているうえ、それらがグローバルに拡大している。国内3社、海外5社のグループ会社と1海外支店を持つようになり、グループ経営に対応した、高度な経営情報の共有化が必要になった。
「そこで求められたのが新会計基準にのっとった月次連結決算と事業一通損益が把握できるシステムの構築でした」と、執行役員 経理部長 藤井 廣彰 氏は、システム刷新の背景を語る。
同社の会計システムは汎用機で構築されており、すでに25年が過ぎようとしていた。「既存システムはグループ各社分を含んでいませんし、売上や原価の明細を確認できません。また減損会計にもキャッシュフロー計算書にも対応できません。小手先の手直しではなく、汎用機から切り出しオープン化することを決定しました」と、システム刷新の経緯を企画部 情報システム課長 飯田 康之 氏は振り返る。
株式会社スギノマシン
経理部 経理課 リーダー
松崎 勲 氏
スギノマシンの会計システム刷新に、富士通が総合力を発揮する。富士通は自らが窓口となってコンサルティング会社を紹介し、業務改善を提案。それが認められ、既存の基幹システムが稼動する汎用機は富士通製ではなかったものの、新システムにはGLOVIA-Cが採用された。
「システム刷新の目的は、売上や原価、利益を製品別、エリア別などいろいろな要素で把握・分析して問題点を抽出し対応できるようにすることでした。そのために会計データベースには膨大な量の明細データの蓄積が必要です。GLOVIA-Cは月30万件の明細データの蓄積にも対応します。私たちの求める要件をクリアする大容量FDWHを備えているパッケージは、GLOVIA-C以外にありませんでした」と、飯田氏は断言する。
加えて「富士通には会社自体に力量がありますし、担当者のフットワークも優れていました」と、経理部 経理課 リーダー 松崎 勲 氏は評価する。
2004年9月からコンサルテーションを開始して、11月にそのレポートを受け取る。これをベースにプロジェクトチームを発足。12月から要件定義に入り、開発は2005年4月から。2006年1月から既存システムと並行稼働に入り、本番稼働は2006年4月からとなっている。
株式会社スギノマシン
企画部 情報システム課 リーダー
松本 英樹 氏
国内グループ3社も既存の会計システムを廃棄して、スギノマシン本社の提供するGLOVIA-Cに変更した。海外グループ5社については、会計制度の相違もあるため、各社の決算データを所定のExcel様式で作成してもらいGLOVIA-Cに登録できるようにした。GLOVIA-Cはグループ全体の中核となる会計システムとなっているのである。また併せて、8社とも、売上伝票単位での売上・原価の明細データをインターフェースサーバー経由でGLOVIA仕訳レイアウトに変換してGLOVIA-Cに取り込むようにした。これにより、各社の取引明細もグループで共有できるようになった。「各社とも使っているシステムもコード体系もまるで違う上、海外とのやり取りには言葉の障壁もあります。これらのデータの統一性・整合性の確保が非常に大変でした。」と、企画部 情報システム課 リーダー 松本 英樹 氏は語る。
スギノマシンでは連結決算が毎月は行われず、半期ごとにグループ各社からの決算データを集めて集計していた。
新システム構築後は、毎月各社から第4営業日までに決算データを収集し、翌5日目には正確な連結決算を完了できるようになった。半期に一度概算レベルでしか出せなかった連結決算を毎月高精度に集計できるなど、新会計システムは大きな効果を生み出している。
「売上データと原価データの紐付けルールを厳格化したことで、案件ごとの収益状況が確認できるようになったのは大きなメリットです。」(飯田氏)売上伝票訂正や取り纏め製作などでも紐付け先変更機能を付けるなどして、例外にも対応できるようにした。
国内はもとより海外のグループ会社まで、ビジネス状況を早急に取り込んで、明細レベルで確認。赤字を計上、または計上しそうなプロジェクトをいち早く見つけ出し、素早く的確な対策を講じる。このようなことが可能になった会計システムを評して、杉野氏は「会社の基盤を強固にする」仕組みを構築したと宣言している。
今後は、受注データやその利益予想などの先行指標データも加えていきたいという。「当社は上場企業ではありませんが、それと同等レベルの透明性の高い会計情報を公表していきたいと考えています」と、藤井氏は抱負を語る。そのためにもGLOVIA-Cには大きな期待がかかっている。
富士通株式会社
富山支店 産業・流通担当
大塚 秀信
スギノマシン様は5つの「超」、超高圧、超精密、超微粒、超高速、超小型で多くのトップシェアを誇る企業です。地方にも世界に通用する、卓越した技術を持っている優良企業のあることを、ぜひ知っていただきたいと思います。今回のシステムは、他社汎用機からの会計システムの切り出しという点で、特長があると思われます。また、グローバルレベルのグループ会計を見事に実現しています。プロジェクトにも大変協力的で、スムーズに行うことができました。今後も、グローバルに飛躍するスギノマシン様の成長の一助になれば幸いです。