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Fujitsu

Japan

異材混入を100パーセント撲滅、「生産性を2倍」を支えた生産管理パッケージシステム

エスエスシー北関東株式会社様 導入事例


エスエスシー北関東株式会社様は2006年4月、住友金属工業直轄のコイルセンターとして設立。住友金属工業鹿島製鉄所との一体型コイルセンターに位置づけられた同社は、操業開始と同時に高精度の生産管理を実現するITシステム構築をめざした。

「GLOVIA smart 製造 PRONES」の導入により得意先の要求にフレキシブルに対応する業務態勢を整えて生産性を飛躍的にアップ。コイルセンターのサクセスストーリーとして、国内薄板業界において注目を集めている。

[ 2010年3月25日掲載 ]

導入事例概要
業種: 自動車メーカー向け薄板を主とする加工事業
ソリューション: 生産管理
製品: GLOVIA smart 製造 PRONES コイルテンプレート

品質・技術面で鉄鋼メーカーのパイオニア的存在である住友金属工業と、主要自動車・家電メーカーをはじめとする需要家の中間プロセス工程を担うエスエスシー北関東様。同社にとってのミッションとは、多くの得意先の多様な加工要求に対し100パーセント間違いなく対応、かつスピーディーに加工品を出荷する信頼性と、その上で加工・流通コストを低減し、収益を向上させることである。これらのミッションを果たすためコイルセンター固有の機能を備えた「GLOVIA smart 製造 PRONES コイルテンプレート」を導入。工場内の物流管理をバーコードにより確実に管理し、異材混入の撲滅、加工情報、在庫情報の見える化をそれぞれ実現することで、生産性の大幅向上に成功した。

課題と効果
1 前身の会社で運用していた生産管理システムを大幅な生産力増強に対応させるには、多大な投資を必要とした。 パッケージシステムを導入し、「小さく入れて、大きく育てる」発想に転換。「GLOVIA smart 製造 PRONES」を採用し、リーズナブルな投資で生産性の高い生産管理システムを構築した。
2 母材、加工品の入出荷に際し、内容と保管場所の確認作業に多くの人手と時間を費やしていた。 目視による内容確認、人の記憶による保管場所確認をバーコードと番地管理で電子化。入出荷作業の人手と時間を大幅に削減した。
3 得意先からの突発的な注文、加工情報の問い合わせにも柔軟に対応し、コイルセンターとしての付加価値を上げたい。 システム上で母材の在庫状況のリアルタイムな確認が可能に。加工情報の確認も早まり、得意先への対応がスピードアップした。

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導入の背景

生産量倍増に応え、競争力アップを実現する生産管理システムを求めて


エスエスシー北関東株式会社
代表取締役
荒田泰夫 氏

住友金属工業が製造した母材、広幅の鋼帯(コイル)を、要求に応じて切断し、より狭い幅の薄板に加工するコイルセンターとしての同社に求められるのは、なによりも出荷の信頼性だ。同社のコイル供給先は数多く、求められる鉄素材の組成はわずかずつ異なり、仕上がり寸法、厚さもミリ単位で決められている。とくに同社は、自動車用重要保安部品製造を手がける部品メーカーや組み立てメーカーを主要取引先とするため、加工・出荷するコイルの仕様が指定どおりであることの確認に細心の注意を払う。

「当社の前身時代は、100パーセントの正確さを期すために人手と時間を大きく費やしてきました。しかし従来の生産管理システムでは、親会社の住友金属工業の鹿島製鉄所と一体型のコイルセンターとして加工量を上げ、1日に数百個のコイルを加工し出荷するには、追いつかないことは明白でした」(同社代表取締役の荒田泰夫氏)。

もう1つ導入の背景にあったことは、コイルセンターとしての競争力をつけることだった。つまり、需要家の要求にジャスト・イン・デリバリーで応え、柔軟さとスピードで優位に立ち、生き残りを図る必要がある。そのためにも母材の入荷状況、仕上がり品の在庫状況などを正確、迅速に把握できる生産管理システムが求められていたのだ。

システム導入のポイント

リーズナブルな投資で母材、加工品のバーコード管理を実現したい

かつての生産管理システムでは、入出荷時の確認作業を手作業に頼るところが多かった。親会社から入荷した母材にアルファベットと数字のコードを振る作業や、加工工程に入ったコイルへの作業指示、出荷時の内容や出荷先のチェックもすべて目視で行われていた。少しでも出荷作業を早めるため、クレーンの操作者と、出荷するコイルを探し出す専任の担当者数人が、出荷伝票と首っ引きでコイルの山から山へと歩き回っていたという。

もう1つの課題は、出荷先からの突発的な要求への対応、納品済み製品の問い合わせ対応のシステム化だった。従来は、得意先からの出荷日時の変更や追加出荷などの要求に対し、旧生産管理システムから該当する情報を引き出してExcelに出力。その結果を手書き表に起こし、現場に足を運んで母材の在庫や加工状況を確認していた。そのため出荷先への回答が翌日になることも珍しくなかった。

生産管理システムの能力強化の取り組みを振り返り、荒田社長はこう語る。「旧システムをベースに、入出荷作業のバーコード管理など2、3の機能を実現しようとすると、数千万円単位の投資を求められました。そこで『小さく入れて、大きく育てる』発想に切り換えパッケージシステム導入を検討、2007年10月、『GLOVIA smart 製造 PRONES』を選定しました。その理由は、バーコード管理機能を標準で備え、母材や加工品の保管場所を簡単に見える化できたからです」。

システム概要と導入のプロセス

工場内を番地管理し何がどこに保管されているかを見える化


エスエスシー北関東株式会社
業務部生産管理グループ
グループリーダー
村上博明 氏

工場内の物流は、すべてバーコードを活用した「GLOVIA smart 製造 PRONES」によって管理されるようになった。親会社からの母材は入庫予定情報として登録され、入庫・開梱時に固有のコードを印字した母材ラベルを貼付すると同時に入庫実績情報が登録される。その後、母材は加工指示書バーコードラベルを貼付され、加工工程に入ると、現場において加工実績を入力。実績と加工指示書バーコードを照合し、指示どおりの加工がなされたことを確認する。加工品質をチェックし、合格ならば製品ラベルを、不合格ならば不良品ラベルを貼付。母材の残りにはコイルバックラベルを貼付。すべての加工品、不良品、残りの母材は1つ残らずシステムにより管理される。

また、保管場所の把握を確実にするために、各工場棟、工場棟内の各エリア、エリア内の各スペースに対応する4桁の番地を設定。母材、加工品、出荷待ちの製品、不良品のすべての現在地は、この4桁の番地情報により管理。これにより、システムの操作者はシステム上に表示された母材や加工品の番地情報を一見するだけで、どこに保管されているか正確に把握できるようになった。


工場内の物流は一貫してバーコードを活用した管理となる

2008年4月のシステム導入後、同社は操作に慣れるため、従業員に対して習熟の時間をもうけた。「終業後の時間を使い、さまざまなケースを想定し実際に伝票を作成するなどして、効率的なトレーニングを行いました。富士通の担当者には現場常駐をお願いし、的確なアドバイスをもらうことができました」(同社業務部生産管理グループ グループリーダー 村上 博明 氏)。こうして2008年6月、「GLOVIA smart 製造 PRONES」は同社の業績アップを強力に支援する生産管理システムとして本格稼働するに至った。

導入効果と今後の展開

入出荷作業の効率化とフレキシブルな得意先対応で生産性は2倍に



出荷待ちの製品、不良品のすべての現在地は、3桁の番地情報により管理されている

導入効果は、本格稼働後に程なく表れた。工場内の母材、加工品は3000個以上。棚卸を行いシステム上のデータを付き合わせた結果、在庫データとの差異は保管場所の違いの6件のみ。帳面への記入・消し込みで在庫を管理していた導入以前にくらべ、差異は50分の1以下と、管理精度は劇的に向上した。また、不良品の発生をリアルタイムで把握し、都度返品することで、稼働半年後には在庫の3割強を削減することもできた。

課題だった入出荷時の確認作業も大幅に効率化した。従来は、記憶を頼りに出荷品を探す担当者数名が、各工場棟のクレーン操作者に付き添っていた。しかし新システム導入後、クレーン操作者はハンディターミナルを操作し、表示された番地から容易に目的の出荷品を探し出せるようになった。「新システムで人手をかけていた入出庫管理を効率化できました。会社設立時、33人の従業員で4000トンだった加工量は、今、ほぼ同じ人数で8000トンまで増加。生産性は大幅に向上しました」(荒田社長)。

また、得意先からの突発的な注文、加工時の検査記録情報の問い合わせについても、スピーディーな対応が可能となった。「以前は『至急、1トン追加出荷してほしい』などのリクエストに、時間がかかっても実際の現場の在庫を確かめた上で返事をしていましたが、導入後はシステム上で確認し、即答が可能に。『エスエスシー北関東はレスポンスが早い』との評価をいただいています」(村上氏)。

荒田社長は次のように語る。「従業員の心構えが変わったことも『GLOVIA smart 製造 PRONES』導入のメリットです。異材混入を100パーセントなくすシステムを構築したことで、従業員の品質に対する意識が高まり、生まれた余裕で得意先のリクエストにきめ細かく対応しようというマインドも見えてきました。サービス品質の充実、さらには競争力向上につながることを期待しています」。稼働後、1年半で作業効率アップ、生産性の向上、従業員の意識変化などさまざまな効果を見たことで、全国にある住友金属工業系列のコイルセンターへの"成功モデル"としての横展開の動きも出はじめているという。

同社はさらに、今後の展開として親会社の住友金属工業との情報伝達リンクを視野に入れる。実現すれば、母材入荷状況をより詳細に把握できるようになり、得意先のタイトなリクエストに対して、より短いリードタイムで対応できるようになる。また在庫、歩留まり、コストについても、製鉄所一体型コイルセンターとして効率化を追求できるようになるのではとも期待される。

富士通はこれからも、よりすぐれた生産管理システムの開発に努め、日本の製造業の発展を支えていく。

コイルセンターについて

コイルセンターは、製鉄所で生産された母材コイル(広幅の鋼帯)を、クルマや家電などの部品メーカー、組み立てメーカーのニーズに合わせた鋼板や、より幅の狭いスリットコイルの加工を手がける。各メーカーに納める加工品は、ミリ単位で幅や厚さを指定され、また鉄材の組成もそれぞれ異なる。エスエスシー北関東はスリットコイルの加工を専門としている。

パートナーメッセージ

富士通株式会社
産業ビジネス本部 化学産業統括営業部 化学産業第三営業部
辻元 陽一

GLOVIA smart 製造 PRONESのご採用により、エスエスシー北関東様の業務効率や生産性が大いに向上したことを大変嬉しく思います。既存システムを捨てて当社に乗り換えて頂くプロジェクトでしたので、絶対に失敗は許されないというプレッシャーのもと、途中、厳しい局面もありましたが、社長様を筆頭に社員の皆様のご協力により本稼動を迎えることができました。また、本稼動後もたくさんのシステム改善のご要望を頂くとともに、最善策を求めてお互いに知恵を絞り、工夫して取り組んだ結果、非常にコストパフォーマンスの良いシステムとなりました。

今後は、エスエスシー北関東様の益々の発展のご支援のみならず、グループ会社に横展開させて頂くことで、住友金属工業様グループ全体のパフォーマンスやプレゼンスの向上に役立てるよう富士通グループ総力をあげてご支援させて頂きたいと思います。

株式会社富士通関西システムズ
ビジネスソリューション本部 PRONES事業部 PRONESソリューション部
プロジェクト課長
岩倉 和則

この度は、エスエスシー北関東様の生産性アップ、競争力強化のお役に立つことができ大変光栄に感じております。社長自らの陣頭指揮もあり、PRONESコイルテンプレート国内稼働一号ユーザとして、成功裏に収めることが出来ました。

今後は、住友金属工業様系列のコイルセンターへの横展開においても富士通グループ総力をあげてご支援させて頂きたいと思います。

【エスエスシー北関東株式会社様 会社概要】

所在地 〒327-0816 栃木県佐野市栄町14-6
代表者 代表取締役 荒田 泰夫 氏
設立 2006年4月
資本金 1億円
事業内容 酸洗鋼板・冷延鋼板・表面処理鋼板・ステンレス鋼板・カラー鋼板の加工全般

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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