塩野香料株式会社様
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創業200年の老舗、香料の総合メーカー、塩野香料株式会社様は、ホストコンピュータの基幹システムから、統合業務パッケージを導入した生産、販売、会計情報を統合する基幹システムに全面更改された。
受注から出荷に至るトータルな生産管理を実現し、品質保証体制も強化、さらには経営情報の一元化でスピーディーな経営判断を可能にする。
[ 2007年5月22日掲載 ]
導入事例概要 | |
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業種: | 製造 |
ソリューション: | 生産情報システム、会計システム |
製品: | GLOVIA smart 製造 PRONESおよびGLOVIA smart 会計 |
塩野香料株式会社様は、江戸時代からの歴史を誇る香料の総合メーカーである。1920年、わが国初の食品香料を開発して以来、ジュースや缶コーヒー、菓子類などの食品香料をはじめ、化粧品や芳香剤などの香料を開発から製造、販売まで総合的に手がける。
大阪に本社と製造工場を、東京に営業拠点を持ち、安全とおいしさを求める食品業界の期待に応え続けている。
販売網は国内だけでなく、台湾と中国に製造・販売拠点を持ち、海外の需要にも積極的に対応し、塩野香料ブランドはアジアをはじめ世界で定評がある。
目には見えない「香り」を作り出す一方で、経営状況はいち早く数字として見えるものにしなければと、30年前からホストコンピュータの基幹システムを導入し、会計処理を行ってきた。そして2004年には、4世代目のシステム更改の時期を迎えることになった。
食品香料の製造工程
稼働する生産情報システム
課題と効果 | ||||
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1 | 分散する情報を一元化したい! | GLOVIA smart 製造 PRONESとGLOVIA smart 会計システムを導入することで、それぞれの課題が解決できた。 | ||
2 | 効率の良い生産管理を実現したい! | |||
3 | 品質保証体制を強化したい! | |||
4 | スピーディーに経営情報を得たい! |
三宅 健一氏
塩野香料株式会社様 取締役工場長 情報システム担当
これまでの会計処理は、受注や出荷、在庫の手書き伝票を集計し、ホストコンピュータに手入力していた。
原料の在庫データを使おうとしても、ホストの情報を取り出し、そのデータを相当な手間と時間をかけて加工しなければ使えず、ホストコンピュータの限界を感じていたと、大阪工場の取締役工場長で情報システム担当の三宅健一氏は語る。
「ものを作って売ると言うことを考えた時、如何に無駄なく効率よく製品を作るかが重要になってきます。各部門を連携し、一つの情報をすべての部門で活かしながら、これを生産管理に役立て、安全で安心な製品をスピーディーにお客様にお届けしたいと考えていたんですが、そのためにはシステムの刷新が必要不可欠でした」。
取り扱う原料の数は中間品も含めおよそ2万品、製品の数は5千品以上におよぶ。
原料の管理を一つとって見ても、相当な手間暇がかかる上に、記帳漏れによって原料の手配ミスや製品の出荷遅れが発生することにもなる。これらの業務処理をコンピュータが簡単にこなしてくれるならコンピュータに任せたかったと三宅工場長は話す。
中澤 俊氏
塩野香料株式会社様 業務部 主席
そればかりか、生産された香料は人の身体に入るものだけに、厳しい品質管理の体制づくりも急がれていたと業務部主席の中澤 俊氏は言う。
「製品となる原料には賞味期限があり、私たちが製造した香料も食品衛生法で厳しく規制されています。決して賞味期限切れの原料が製造工程にまぎれ込むことがあってはなりません。万一、製品に問題があっても、速やかに対策できるように品質保証体制をさらに強化したいという背景もありましたね」。
全社の情報を活用したスピーディーな経営判断も重要な課題であったと経営幹部である三宅工場長は話す。
「棚卸も品物を見て台帳に付けて集計してからホストコンピュータに入力していましたから、決算には1ヶ月かかっていました。今の時代、経営判断をするにも1ヶ月も前のデータを見ていたのでは手遅れという事態になりかねません。月次を締めて次の日には結果が出て、全社の状況を見渡しながらスピーディーで的確な経営判断ができるようにしなければならないと考えていました」。
当時、三宅工場長は自ら指揮を執り、調査を開始。富士通の統合業務パッケージに目がとまった。やがて、ホストコンピュータの資産を引き継ぎ、企業の要望がカタチとなった。
生産管理や販売管理、原価管理には「GLOVIA smart 製造 PRONES」を、会計システムには「GLOVIA smart 会計」を導入。
分散していた情報を統合して現場から経営部門まで、ものづくりの『見える化』を実現する。
日々の営業活動の中でお客様から入手した「受注情報」を販売管理システムに入力すると、生産管理システムに連携し、どの製品を、いつ、どれだけ製造するのか、そのために、どの原料をいつ、どれだけ発注しておけばいいのか、システムが瞬時に判断し製造指示につながる。
原料や製品は一元的なバーコード管理で適正在庫や品質保証体制を強化し、トレーサビリティを実現している。
さらに生産・販売・会計システムの情報がデータウェアハウスに統合され、販売や生産実績など必要な経営情報は、システム部門を頼らず、欲しい時に欲しい情報を欲しい形でタイムリーに入手できる。
新たなシステムが稼働して約1年。営業部門も製造部門も、手間が省けて仕事が楽になったと今回のシステムを大歓迎していると言う。
早速、中澤主席の案内で、それぞれの現場を見せていただいた。
工場事務所に置かれた生産管理の端末でPRONES画面を開いて見せてもらった。
「営業担当者がシステムに受注データを入力すれば、直ちに製造部門には、どの原料がどれだけ必要か、製品納期はいつか、また使用された原料はどれだけ調達しておけばいいか、集計しなくても、瞬時に表示されます。だからミスもなくなり、以前とは比べものにならないくらい業務が効率よくなってます。その分、製造担当者はイレギュラーな業務の調整に神経が集中できるんですね」(同、中澤主席)。
営業担当者においても、自分が受注した製品が、今どの生産工程にあるのかが簡単に見ることができ、お客様の問い合わせにもすぐに応えられ、便利になったと評価も高い。
ハンディターミナルでのバーコードチェック
ストックヤードでは、入荷された原料がハンディターミナルでバーコードチェックをする様子が伺えた。
原料や完成した製品はバーコードで一元管理されている。そのお陰で、製造担当者が原料を必要とした時、端末画面を見るだけで、たちどころに必要な原料が、どこにどれだけあるかが分かり、探すのが実に楽になっている。
台帳をめくって調べていた以前の状況には決して戻れないと言うのが現場の担当者らの気持ちだそうだ。
しかも、原料の賞味期限も端末画面に表示され、先に入荷されたものから使用するように指示が出され、賞味期限切れの原料が発生することもなくなり、適正在庫を実現している。
たとえ、賞味期限が切れた原料があったとしても一切使用できない仕組みになっていると言う。
万が一、製品に問題があった場合には、直ちに端末画面で、その原料がどこから来たものか、その原料で製造した香料が今どこに存在するのかを瞬時に追跡でき、強化された品質保証体制を見ることができた。
一方、スピード経営を支える生産や販売、会計情報を統合するデータウェアハウスは、現在構築中であった。まもなく、それぞれの部門の状況がデータを通して見渡せるようになり、経営者ばかりではなく、各部門でそのメリットが得られると中澤主席は話す。
ものづくりの『見える化』を実現することで、着実に企業力がアップしてきていると三宅工場長は捉える。ホストコンピュータからの全面刷新の狙いは的中したようだ。
確かに、新しい仕組みにチャレンジし、その恩恵を享受するには、それぞれの努力も必要だが、それを乗り越えると、何にも代え難いメリットが得られると強調する三宅工場長には、次なる構想が描かれていた。
「当社のサービスは、品質の優れた製品を納期通りにお届けすることです。どんどん変化する環境に対応しながら、そのサービスを確実に実行するための体制を整えていかなければなりません。
今、各システムを統合した基幹システムは、一つのハウスの中での活用となっていますが、今後は海外拠点でも使えるようにしたいし、お客様先であっても、どこにいても使える、いわゆるモバイル活用も視野に入れておかなければと思っています」。
大阪工場
進展するグローバル展開、お客様商品の爆発的ヒットによる予測を超えた急激な需要変動、厳しさを増す品質管理体制、これらの環境変化に対応する柔軟な体制が整ってきた。
塩野香料という企業には、ITの活用で繁栄と言う強い香気が香っている。
この度は塩野香料様のシステム再構築のお役に立つ事ができ大変光栄であります。プロジェクトメンバー皆様方のご協力もあり、無事新システムが稼動し、大変感謝しております。
「見える化」をキーワードにこれまでシステム構築して参りましたが、今後は、「見える化」されたデータをいかに経営に反映させるかが課題だと認識し提案していきたいと考えております。
本社 | 大阪府大阪市 |
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代表 | 代表取締役社長 塩野 秀作 |
設立 | 昭和4年12月7日 |
資本金 | 3億100万円 |
社員数 | 240名 |
事業内容 | 香料の製造・販売・輸出入
化成品・飲食料品およびその諸原料の製造・販売 医薬品・工業薬品その他化学製品の製造・販売 |
ホームページ | 塩野香料株式会社ホームページ |
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