日本精工株式会社様
このページの情報は、1999年に掲載されたものです。
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注意:本活用事例は、1999年に取材した内容です。エヌエスケー・ネットアンドシステム株式会社 取締役 システム設計開発部長 若倉泰 氏の役職は、現時点の内容に修正しています。
国産第1号のボールベアリングを世に送り出した日本精工株式会社。ベアリング分野で国内1位、世界2位を誇る業界トップメーカーである。既に1960年代からグローバルにビジネスを展開してきた同社は、90年代に入ってからもアジア・欧米地域への積極的な海外戦略を進め、企業競争力の高いビジネスを実現している
工業製品の骨格となるのが機構品であり、その範囲は極めて広い。筐体部品、ロッカー、シャフト、キャスター、ネジ、パッキング、パイプ、ベアリング、コネクタ……。メカニカル・プロダクトとも呼ばれ、半導体や回路などエレクトロニクス以外の部品のほとんどは機構製品である。
およそ30年に及ぶ海外展開の歴史を持つ日本精工株式会社では、1995年に生産や販売、物流システムの再構築に着手した。この背景には、市場を取り巻く環境や経済情勢が大きく変化したことがある。
かつての海外展開には、自動車メーカーなどのパートナー企業と協調した需要地生産主義の意味合いが強かった。しかし近年、特に製造業では企業環境が厳しく、低コスト・短納期に対する要求がますます高まっている。そのため同社では、海外展開の目的を、最適地生産主義へと転換したのである。グローバルな生産拠点を有機的に連携させることで、より効率的なモノ作りを目指したわけである。
具体的に眼前に迫っていた課題は、東南アジア地区への新工場展開、欧州・米国における生産システムの再構築。この課題を解決するために選ばれたのが、glovia.comの前身であるChESS(チェス)であった。「グローバルな展開を支える新システムは、従来のような手作りシステムでは不可能です。短期稼働、オープンシステム化といった目的を達成するには、パッケージの導入が不可欠でした」と情報システム部課長の若倉泰氏は選定の経緯を振り返る。そして、各社のERPパッケージを比較検討した結果、ChESSが最適と判断されたのである。
ERPパッケージに要求された条件は、多国言語・多国通貨に対応できるグローバルな製品であること、異生産形態に対応できること、カスタマイズが柔軟にできること、マルチプラットフォームに対応していること、低コストであることなど、多岐にわたっていた。glovia.comはこうした条件をすべて満たしており、これが採用の決め手となった。
日本精工が取り扱う製品の種類は膨大で、品名は27桁にも達している。glovia.comは当時、既に30桁の品名に対応しており、この点も大きなポイントとなった。デモを見た際に、動作が軽快だったことにも好印象を抱いたと若倉氏は説明する。
システムの導入は、96年からイギリスの4工場を皮切りに開始された。これはちょうど同社が買収したイギリス最大のベアリングメーカー・RHP社の生産管理システムが再構築を必要としていたことが関係している。その後さらに、ジャカルタの小径軸受工場、タイのシートベルト工場、アメリカのボールネジ工場、マレーシアのミニチュア軸受工場へと導入は続いた。
早期導入・早期稼働の目的はイギリスで導入した段階から達成され、その後のシステム導入の際にはさらなる期間短縮が実現している。これはノウハウの蓄積が進んでいることの証だと言えるであろう。
グローバルなオペレーションを実現したglovia.com は、同時に生産の効率化という目的も果たした。従来のシステムでは、MRPを活用したくとも基となるデータを迅速に収集できないという欠点があった。これに対して glovia.comならば、必要な時に即座に高速なMRPを活用できる。発注・在庫の適正化を図る 上で、glovia.comのMRP 機能は大いに役立っているということである。
また効率的な工程管理を行うため、予定編成・進捗照会・実績収集にはPROKSA/PROFACTとの連携をはかっている。こうした外部システムとの連携が柔軟に行える点も、glovia.comが高い評価を得ている点の一つである。
ERPパッケージ選定の上で重要なポイントは、製品を○×式の機能比較だけで選ばないことだと若倉氏は説明する。パッケージの機能不足は、バージョンアップでいずれカバーされることになる。それよりも製品が業務フローにきちんと適合しているか、システム構築や運用に当たって十分なサービスやサポートが受けられるか、SEの資質は十分かといったことを重視すべきだと若倉氏は続ける。glovia.comが採用されたのも、こうした条件をクリアしていたからである。
日本精工のシステムは現在、富士通とMDIS、GLOVIA INTERNATIONAL によってトータルにサポートされている。全世界にビジネスを展開する上で、こうしたサポート体制は大いに役立っているという。
アジア各地に生産拠点を移管したことに伴って、日本国内の工場再編も進められている。国内工場ではより付加価値の高い製品が生産される予定で、その中核を担うシステムとしてglovia.com が導入される。製番や支給品管理の機能を持つglovia.com は、日本の伝統的なビジネスモデルにも合致するからである。
富士通のglovia.comは、日本精工がグローバルにビジネスを展開するための強力なツールとして、今後も活用されていくのである。