日商岩井株式会社様
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総合商社大手の日商岩井株式会社では、2002年4月から確定拠出年金制度をスタートさせた。従業員一人一人の多様なニーズに応じた資産運用を支援すると同時に、様々な環境変化にも柔軟に対応できる「21世紀型の退職年金制度」を実現するのが狙いである。システムの中核には、GLOVIA-Cファミリソフトの「NENKIN-DC/人事」を採用。新制度への迅速かつスムーズな移行を実現している。
[ 2002年10月22日掲載 ]
日商岩井株式会社
東京本社 | 東京都港区台場2-3-1 |
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大阪本社 | 大阪市中央区今橋2-5-8 |
資本金 | 1029億3871万円 |
代表者 | 代表取締役 社長 西村 英俊 氏 【注釈】 |
設立 | 昭和3年2月8日 |
従業員数 | 2431名 |
売上高 | 5兆4645億2400万円(平成13年度実績) |
事業内容 | 日本を代表する総合商社。2002年4月に6つのカンパニーからなる新事業体制を発足させた。現在は営業収益力の維持・拡大、改革の断行、財務基盤の強化を基本方針とする「中期経営計画2005」を展開している。 |
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経済のグローバル化が急速に進む現在、多くの日本企業が市場での苦しい戦いを強いられている。今後の厳しい競争を勝ち抜いていくためには、ビジネススピードと経営効率のさらなる向上が不可欠である。各社とも、より強固な経営基盤を築き上げるための取り組みを意欲的に推進している。
こうした状況の中、順調に収益体質を強化しているのが日商岩井である。2000年に9部門でスタートした社内カンパニーを、2002年4月に「機械カンパニー」「金属カンパニー」「エネルギー・金属資源カンパニー」「生活産業カンパニー」「化学品・資材カンパニー」「建設都市開発カンパニー」の6部門に再編成し、事業の選択と集中によって、カンパニー制の進化・発展を図っている。また、各カンパニーの事業ポートフォリオを再編成する過程では、パートナー企業とのアライアンスも積極的に実施。お互いの強みを相乗的に活かすことで、より一層の収益拡大を目指している。
こうした取り組みの一つが、職能部門の分社化である。
日商岩井プロフェッショナルサービス株式会社
ヒューマン&ジェネラルアフェアーズグループ
人事総務管理チーム
課長 田中 孝具 氏
「企業においては、職能部門のコストやビジネスメリットが見えにくい点が課題になっています。体質強化を図るには、こうした点を明確にすると同時に、より戦略的な部門へと転換していかなくてはならない。そこで、当社が設立されたわけです」と語るのは、日商岩井プロフェッショナルサービス株式会社(NIPROS)ヒューマン&ジェネラルアフェアーズグループ 人事総務管理チーム(確定拠出年金) 課長 田中 孝具 氏である。
同社の母体となったのは、日商岩井の財務経理・人事総務・審査法務部門である。日商岩井グループはもちろん、グループ以外の国内外一般企業への総合アウトソーシングサービスを提供するのが最終目標である。
単一の業界内で事業を展開する企業とは異なり、総合商社のビジネスは極めて幅広い領域を対象にしている。このため職能部門としても、それぞれの業界固有の商慣習などへの配慮が必要となる。さらに、海外に赴任している従業員も多いため、それぞれの国情に合わせた対応も行わなくてはならない。「これらをすべて一手に引き受けるのが、総合商社の職能部門の役目です。多様な業種・業態・人材をカバーする大変さはありますが、確実にマネジメントしていきたい」と田中氏は力強く語る。
社会経済環境の変化に対応すべく、日商岩井では2002年4月より確定拠出年金制度、いわゆる「日本版401k」をスタートさせた。田中氏はその背景について「厚生年金基金制度が導入されてから30年以上が経過し、世の中も時代のニーズも大きく変わりました。ある意味では、制度疲労を起こしている面も見受けられます。これからの時代に対応していくには、新しい制度に変えていくことが不可欠です。「自律的な社員の育成」と「連結経営を視野に入れたグループ人材の機動的な異動の確保」というコンセプトに基づき、全社の戦略を人事制度面からサポートするために、21世紀型の新しい退職金制度の検討を2001年の夏?秋頃に開始しました。」と説明する。
もっとも、厚生年金基金の解散は決して容易ではない。積み立ての不足のまま一方的に解散してしまうのでは、従業員の生活設計に大きな影響をおよぼすことになる。このため、企業側が解散したいと考えても、労働間での合意が取れずに交渉が難航するケースも多い。
これに対して日商岩井では、検討開始からわずか半年で確定拠出年金への移行を実現した。その成因となったのが、「会社」「従業員」「OB」の三者の視点で、制度改革を進めてきたことである。
「会社にとっては新会計基準上のリスクを軽減できるメリットがあるわけですが、従業員にとっても今まで見えにくかった年金を自分の責任において管理できるメリットがあり、また転職先でも継続できるためグループ企業内での異動の際に勤続年数による不利益がなく、キャリアを自律的に形成することができます。また、OBは当社の現在の礎を築いてきただけでなく、現従業員の将来の姿でもありますから、この方々もきちんと守っていく必要がある。これら三者のメリットのバランスを考えてプロジェクトを進めてきたことが、大きかったと思います」(田中氏)。
他社に先駆けて確定拠出年金の導入に成功した日商岩井だが、もともと確定拠出年金制度の分野でトップランナーになるつもりはなかったという。だが、スピードを重視してプロジェクトを進めるうちに、「いつの間にか先頭に飛び出していました」(田中氏)という。総合商社ならではの決断の早さが、短期間でプロジェクトを実現させる原動力となったのである。
土屋ホームでは、2001年4月、GLOVIA-Cの給与・会計モジュール導入を決定。同年7月、PRIMERGY上で使い始めた。
「確定拠出年金の導入により、これまで担当していた厚生年金基金と業務内容が180度変わりました」と田中氏は語る。基金がファンドマネージャーに運用委託していた年金資産は巨額であったが、運用自体は日商岩井という企業単位で行われていた。しかし、今後は従業員約2500名一人一人の年金資産を、すべて個別に管理しなくてはならない。また、記録関連運営管理機関であるJIS&T社とのデータ連携など、これまではなかった業務も新たに生まれてくる。
これを人手で処理していたのでは、効率的な年金業務を行うことは不可能である。そう考えた同社では、新年金業務システムの構築に着手した。「一から自前でシステムを構築するのも、一つの方法ですが、これでは短期間で業務を立ち上げることは難しい。そこで、新システムではパッケージをベースに構築する方法を選びました」(田中氏)。
様々な製品を検討した結果、新システムを支えるパッケージとして選ばれたのが、GLOVIA-Cファミリソフト「NENKIN-DC/人事」(富士通南九州エンジニアリング)である。田中氏はNENKIN-DC/人事を選択した理由を「富士通にはこれまでも当社のシステム構築に協力してもらっており、その技術やサポートには信頼を置いています。そして、NENKIN-DC/人事は機能的にも当社の要件を満たしていましたので、新システムへの採用を決めました」と説明する。
採用が決定したのは2002年3月初旬である。その2週間後にはNENKIN-DC/人事による新システムが稼働し、下旬にはJIS&T社との接続試験などが実施された。さらに、4月には従業員のデータを入力し、5月に新システムによる最初の支払いが行われた。システムの構築開始から実業務への適用までを、わずか3カ月で完了したことになる。田中氏は「最初の支払いが滞りなく行われた時には、本当にほっとしました。NENKIN-DC/人事でなければ、これほどの短期構築は実現できなかったと感謝しています」と満足げに語る。
NENKIN-DC/人事を導入したことで、確定拠出年金に関わる業務を効率よく処理できる環境が実現した。現在は約2500名分のデータ管理をわずか3名で行っている。「将来的に制度の改正などがあった際にも、バージョンアップで容易に対応することができます。これも、NENKIN-DC/人事の大きなメリットです」と田中氏は語る。
現在、基幹メインフレームをERPパッケージにリプレースする計画が進められているが、NENKIN-DC/人事は連携先を変更するだけでそのまま利用することができる。こうした柔軟性・拡張性の高さも、大いに評価されている。「ユーザーインタフェースなども良好で、簡単に操作することができ、使い勝手の面も高く評価しています」と田中氏はにこやかに語る。
「おそらく、多くの企業では人事部門の方が、確定拠出年金の導入で様々なご苦労をされていることでしょう。我々としても、なんとかして今回のプロジェクトで得たノウハウを皆様にお伝えしていきたいと考えています」と田中氏は熱く語った。
「日商岩井株式会社様」の会社名は、敬称を略させていただいております。
富士通南九州システムエンジニアリング
第一ソリューション事業部 ソリューション営業部
野口 博史 氏
今回はパッケージ開発ベンダの立場でソリューション提供に参加し、貴重な経験をさせて頂きました。開発のコンセプトとしていた短期導入、運用・操作性の高さ、人件費の削減、将来性の保証を評価して頂き、非常に嬉しく思います。今後もお客さまの声を反映した、より使い易い、お役に立てる商品を目指し努力していきます。
富士通ビジネスシステム
サポートサービス本部 東京フィールドサービス統括部
サービスビジネス部 担当課長
小野田 二男 氏
インテグレーションを担当した我々といたしましても、システムの短期構築に貢献できたことを嬉しく思っています。まだ新しい制度だけに今後変更が加えられることもあるでしょうが、この経験を活かし、幅広いお客様のニーズに対応できるよう全力で取組んで参りたいと存じます。