日本農薬株式会社様
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多品種少量販売の製造販売メーカーにおいては、需要変動と価格変動に柔軟に対応し、在庫と販売機会損失の削減が求められており、計画(生産・調達・販売)とサプライチェーンの密接な連携が重要である。また、品目別に利益管理(管理会計)を行うために、複雑な原価計算、原材料の価格変動反映および費用の品目別配賦などを手作業に依存している企業は少なくない。そうした企業の1つであった日本農薬は、販売計画・調達計画・生産計画をシステムで自動連動し、サプライチェーンを一体化することにより需要変動・価格変動に柔軟に対応し、またそれまで手作業で対応していた利益管理の見える化を行い利益体質の強化を目指した。
[ 2008年4月3日掲載 ]
日本農薬株式会社様 導入事例 (1.34 MB )
導入事例概要 | |
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業種: | 製造業 |
ハードウェア: | データセンタ(富士通エフ・アイ・ピー 横浜センターに設置)
アプリケーションサーバ(PRIMERGY x 11台) データベースサーバ(PRIMERGY x 6台) |
ソフトウェア: | GLOVIA/Process C1
GLOVIA-C XI会計 GLOVIA/SCP Interstage Navigator |
「計画系システムの充実、生産・原価システムの完成度・安定感、さらには見える化の実現性。目で見て本当にこうなのだなというのを実感し、支援体制の充実ぶりも評価できました」
日本農薬は、各基幹業務で個別に構築されていたレガシーシステムを、プロセス産業向け基幹業務パッケージ「GLOVIA/Process C1」でシステム統合。高精度の原価・利益管理による意思決定のスピード化、業務プロセス標準化によるコスト削減、サプライチェーン構築による機会損失削減など、同社業務基盤の整備を図った。
課題と効果 | ||||
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1 | 30年前に構築されたレガシーシステムのため、維持していく技術者不足が不安 | 基幹業務をオープン系システムで統合。システムの安定運用を継続するための不安が解消された | ||
2 | 決算書作成において標準原価計算を使うため、手計算による調整負荷が発生 | 「実際原価計算」を採用して期中の価格変動に対応。品目別利益管理の精度が向上し、決算書作成作業のスピードアップを目指す | ||
3 | 販売計画、生産計画、購買計画、在庫計画の各データがつながっていないため全社的な計画立案に時間がかかり、需要変動に柔軟に対応できない | 「販売計画 - 生産計画 - 購買計画 - 在庫計画」をシステム連携して見える化。多頻度の計画立案が可能となり、在庫削減と機会損失につなげていく | ||
4 | 各業務のデータがばらばらに管理されていたため、予実関連の資料作成に時間がかかる | DWHへ全データを統合。各担当者がOLAPツールなどを用い、必要な情報を随時取り出せるようになった |
日本農薬株式会社は、日本初の農薬専業メーカーとして1928年に創業。農薬以外にも、医薬品、動物薬をはじめとする化学関連事業を手がけ、独自技術による新薬開発と研究に取り組んでいる。
同社が最初に手がけたシステムは、1972年にさかのぼる。それまで外部委託していた債権・債務、会計システムを、富士通「FACOM230-25」による自社システムへ移行。以来、会計オンライン/タッチパネル、販売物流システム、インターネットと、基幹系・情報系ともにアップグレードと新規導入を重ね、既存システムによる運用を続けていた。
しかし、需要から供給までのリードタイム短縮や事業拡大による取り扱い品目増加など、ビジネス環境は急速に変化し、調達計画や生産計画、所要量計算、製造実績、販売計画、ロット管理をローカルPCで個別管理していては、需要予測に基づいた柔軟な生産計画の立案が困難なことが課題となってきた。加えて、2007年問題の技術者不足に向けた抜本的な対策が急務との判断もなされ、大型汎用機からオープンシステムへの全面移行を検討。この移行を機に、2005年、同社の業務ニーズに合ったシステムを再構築するという全社的な業務改革プロジェクトを立ち上げた。
新システムのグランドデザイン作成にあたり、富士通でない外部コンサルタントを選抜するとともに、社内の各部署の代表からなる6つのチームを編成。約20名のプロジェクトメンバーにより、「利益体質の強化」を目標とした4つの改革テーマが設定された。(1)損益管理の精度とスピードアップ、(2)販売/調達/生産の一体化、(3)業務の効率化と無駄の排除、(4)見える化のための基礎構築、である。これらのテーマをもとに業務ごとの詳細な改革内容を要件定義書にまとめ、数社のベンダーへ説明。プレゼンテーションを依頼した。
日本農薬株式会社 取締役兼執行役員 社長室長兼経営企画部長兼法務・監理部長 友井 洋介 氏は「我々は約30年間、富士通に本当にお世話になってきましたが、逆に言えば富士通を通してしかシステムを知らなかった。そこで再構築を機に、広くいろいろなシステムを見せてもらうことにしました」と語る。
ベンダーの選定にあたっては、予実の差分分析、生産計画のシミュレーション、所要量計算など、約50の詳細な評価項目を設定し、全プロジェクトメンバーが各社のプレゼンテーション内容を1つひとつ点数評価していったという。その結果は、「圧倒的な差で富士通がトップでした。計画系システムの充実、生産・原価システムの完成度・安定感、さらには見える化の実現性。目で見て本当にこうなのだなというのを実感し、支援体制の充実ぶりも評価できました」(友井氏)。
業務改革の対象となったのは以下の全7業務。基幹系に「GLOVIA/Process C1」と「GLOVIA/SCP」、一般会計および固定資産管理に「GLOVIA-C XI」を採用し、ビッグバン導入方式で再構築することとなった。
【業務と新システム関係図】
システムの移行にあたっては、内部統制の関係から、レガシーシステムと同じ決算データの作成が可能であることを会計士へも説明。その結果、会計士の指摘により、本稼働前にレガシーシステムと新システムを2ヵ月間並行稼働することとした。日本農薬株式会社 執行役員 管理本部 経理・システム部長 浜出 信正 氏は、「並行稼働は、現場にとっても非常に負荷の高い作業でした。レガシーシステムのデータは、臨時雇用したOGの方にひたすら端末に向かって入力してもらうことで乗り切りました」と語る。こうしてすべての発生伝票を両システムに並行入力し、会計士によって両システムでの決算結果の同一性が確認された後、本稼働となった。
本稼働から半年。大きなトラブルは発生しておらず、各業務において目標としていた効果が現れつつあるという。
今回のシステム導入を振り返り、反省材料もあったという。設計段階からスケジュールに遅れが生じ、特にマスター設定においては、レガシーシステムとは桁違いの設定項目の多さから、想定外の時間が費やされた。「我々と富士通の両者間での相互理解にくいちがいがあったことも原因の1つですね。しかし問題がわかってすぐ、当社のメンバーと富士通がプロジェクトルームに缶詰状態でマスターを設定しなおし、無事に乗り切ることができました」(浜出氏)。第2フェーズの導入では、両者にとってこの経験が大きく生かされることだろう。
第2フェーズでは、グループ連結決算のシステム化、DWHの充実、ポータルサイトの構築、Web受注の新規採用などが予定されている。浜出氏は、「今も、各部門から要望がどんどんあがってきています。これは、各部門が新システムを使いこなしてくれているという証拠。今後は初期目標達成に向かって富士通と一体となり、このシステムをよりよいものにしていきたいですね」と語る。創立80周年を向かえ、ますます飛躍する日本農薬のビジネスを、富士通はお客様視点の製品とサービスでこれからも支えていく。
営業
産業ビジネス本部
化学産業営業部
営業主任
藤本 秀俊
SE
産業・流通ソリューション本部 ERPソリューション事業部 プロジェクト課長
本山 隆二
日本農薬様の重要プロジェクトである基幹システム再構築においてGLOVIAソリューションをご採用頂きありがとうございます。新システムの目標である「利益体質の強化」を目指し、弊社は業務要件確認からシステム構築、運用テスト・教育までをトータルに支援させていただきました。途中、難しい課題もいくつかありましたが、お客様と解決策を徹底的に議論し、また、絶大なるご協力をいただいたことにより、本稼動を迎えることができました。今後もシステムの更なる充実を目指し、全力で支援させていただきます。
本社 | 〒103-8236 東京都中央区日本橋1-2-5 |
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資本金 | 10,939百万円 |
従業員数 | 389名(2007年9月末現在) |
代表取締役社長 | 大内 脩吉 氏 |
設立 | 1928年11月 |
売上高 | 38,732百万円(連結) |
事業内容 | 農薬、医薬品、医薬部外品、動物用医薬品、有機中間体、木材用薬品などの製造販売 |
ホームページ | 日本農薬株式会社 |
【ご紹介した製品】
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