ギガフォトン株式会社様
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世界2位の建設機械メーカー、コマツ(株式会社 小松製作所)と、世界最大手の露光用ランプメーカー、ウシオ電機株式会社の合弁会社として発足したギガフォトン株式会社は、設立から7年足らずで半導体リソグラフィ用の露光用エキシマレーザーの世界市場で50%のシェアを有するまでに成長。このほどGLOVIA smartをベースとするパッケージソリューション群の導入によりITシステム基盤の抜本的刷新に踏み切り、シェアナンバーワンに挑戦し続けている。
[ 2009年11月20日掲載 ]
導入事例概要 | ||
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業種: | 半導体リソグラフィ用エキシマレーザーの開発・製造・販売 | |
ソリューション: | 生産管理・会計・原価管理・設計情報管理・ワークフロー | |
製品: | GLOVIA smart 製造 PRONES、GLOVIA smart 会計、GLOVIA smartワークフロー経費 |
常に市場ニーズにマッチした研究開発、製造、カスタマー・サポート(CS)に取り組むことで、世界ナンバーワン・シェアを目指すギガフォトン株式会社(以下、ギガフォトン)の課題は、親会社との会計システム共用からの独立、既存生産管理システムの機能一新、内部統制への対応、そして非効率な業務プロセスの改善だった。その課題をすべて解決するために、GLOVIA smart 会計、GLOVIA smart 製造 PRONES、RTCM(リアルタイム原価ソリューション)、そしてPLEMIA(統合設計情報管理システム)で構成される各パッケージ・ソリューションの並行提案が高く評価された。
課題と効果 | |||
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1 | 会計システムを親会社と共有しているため、財務会計の独立、機密性が保てない。 | ![]() |
ギガフォトン独自の基幹業務システムを構築。情報セキュリティも強化され、内部統制(J-SOX)への対応基盤も整った。 |
2 | 生産管理システムと会計システムの連携がなくデータの移行は人手に頼っていた。例えば原価を調べる場合、生産管理システムから手作業でデータを引き出し、集計しなければならなかった。 | ![]() |
会計システムから容易に製造原価データを検索し引き出すことが可能となり、製品別、製番別の原価差額などを詳細かつ迅速に分析できるようになった。 |
3 | 頻繁に発生する設計変更に伴う原価変動の把握に要する時間を短縮させ、原価計算の精度も上げたい。 | ![]() |
GLOVIA smart 会計、GLOVIA smart 製造 PRONES、PLEMIAの連携により、原価変動などを正確かつスピーディーに把握、各部品の親子関係を一元的に管理。設計変更時にも容易に関連部品をトレースできるようになった。 |
ArFエキシマレーザGT62A
ギガフォトンの設立は2000年8月。建設機械メーカーのコマツと、ウシオ電機との合弁により、半導体リソグラフィ用エキシマレーザーの開発・製造・販売を行う企業として設立された。コマツは1980年代に、エンジン内部の燃焼状態を診断するためにエキシマレーザーの開発を手がけ、その後露光用エキシマレーザー市場に進出していた。
一方、古くから産業用の光応用製品や産業機械を手がけてきた世界最大手の露光ランプメーカーであるウシオ電機の半導体リソグラフィ用エキシマレーザー光源技術開発部門も、1990年代後半から急成長。世界市場では両社2社と、米国、ドイツのそれぞれ1社による激しいシェア争いを展開するまでになっていた。
ギガフォトン株式会社
執行役員 経営企画室長
佐藤日出一 氏
2000年の両社合弁によるギガフォトン設立は、ますます激しさを増す露光用エキシマレーザー市場において日本のエキシマレーザー技術を統合し、商品力・顧客サポート力を強化するべく、かねてより技術面において協力関係にあった両社によってなされた事業統合だった。その後、高い信頼性を発揮し、半導体製造市場が求める厳しい量産技術に応え続けた同社は、設立7年後には世界市場においてシェア50%を突破、260億円の売上を達成している。
「財務会計システムを親会社と共有していたので、独立性、機密性を保てないという問題を抱えていました。また成長を遂げるにつれ、従来の基幹業務システムの能力ではオーバーフローしてしまうという問題の解決も急がれていました」(ギガフォトン株式会社 執行役員 経営企画室長 佐藤日出一 氏)。
こうした状況を背景に同社は、2008年5月、最終的には会社売上500億円レベルの成長にも対応できるIT基盤づくりに段階的に取り組むことになった。
ギガフォトン株式会社
情報システム部長
山崎 卓 氏
常に最新技術を投入し、めまぐるしいスピードで進化していく半導体製造装置の世界では、装置各部の設計変更はつきもの。ギガフォトンが手がけるエキシマレーザー露光装置でも、納入先からの頻繁な設計変更は日常茶飯事だった。
しかもエキシマレーザー製品の部品点数は平均3万点。旧システムでは、設計変更により生じる変更部品のチェックはほとんど手作業。
「こうしたハードな環境に余裕をもって応えてくれる生産管理パッケージとして、ほとんど迷うことなくGLOVIA smart 製造PRONESの導入を決定。連携面でも、パッケージシステム単体としても優れたGLOVIA smart 会計の選定はごく自然でなおかつ安心できるものでした」(佐藤氏)。
会計部門において求められたのは、本社との財務管理共有からの独立。そこで、完全に独立したハードウェア、ソフトウェアの導入が必要だった。
また、設計・製造部門においては、めまぐるしい設計変更にも余裕をもって対応できる生産管理システムと製品データ管理システム(PDM)の導入。
そしてシステム全体においては、各部門の原価、経費、実績などをリアルタイムで把握する機能が求められた。「当社の強みの1つは、競合とくらべ少ない人的リソースで常にハイテクな製品を開発してきたところにあります。この強みを維持するためにも、新システムには現状以下の運用負荷で、より効率的な運用が可能であることが求められました。この点もGLOVIA smart 選定の大きなポイントでした」(佐藤氏)。
今回の第1ステップでは、主に基幹業務部分の置換と新規導入が行われた。
システム全体の処理能力は、2007年度ピーク時の3倍のデータ量(売上700億円相当)で円滑運用が可能であり、分散し非連携だった会計、生産、CS、開発の各データベースは一元化された。
アドオン、カスタマイズについては要件定義時に最小限に抑える方針を周知徹底。きめ細かい対応で競合と差異をつけてきたサポート業務以外、ほとんどの業務プロセスがパッケージの機能に準拠することになった。
システムは以下の3段階で導入されることになり、今回で第1ステップが完了した。
親会社との共用ゆえに、自社の事情に合わせた運用が難しかった状況は根本的に解決した。佐藤氏は経営層の立場からみたGLOVIA smart 会計の導入効果についてこう語る。「把握しておきたい会計データは月次決算でした。会計と原価管理システムが連携し、自動化したため月次決算が4日から3日に短縮、決算の精度も大幅に向上しました」。
生産現場におけるGLOVIA smart 製造 PRONES導入の効果を評価するのは情報システム部部長の山崎卓氏だ。「シリアルナンバー管理機能で重要機能部品の在庫管理、搭載履歴の見える化。オーダー納期の変動システム変更による余剰オーダー全貌とラインサイド出庫部品の見える化。そして支給リードタイムの長い無償支給部品について、オーダーに連動したJIT支給指示が可能になったことで棚卸削減が可能になったなど、これまで実現が難しいと考えていた一連の管理業務が可能になったことは期待以上の効果でした」。
また、大きな課題だった設計変更に伴う原価管理も大幅に改善された。「従来、設計変更時の原価計算は熟練した担当者がExcelを使い、2、3日かけてまとめていました。誰もが計算できるものではなく精度も決して満足できるものではありませんでしたが、RTCMを導入した結果、ドリルダウンによって詳細な原価計算ができるようになりました。管理部から生産部、CS部の動きが見える化されたこともメリットの1つです」(同氏)
もう1つの重要課題、経費管理業務も効率化。以前は専用の端末をたたいて紙で出力し、各部担当者が1枚1枚チェック。気になる数字を見つけると当該部署まで出向いて確かめていたものが、新システムではワークフロー・システムにより、会計システム上からどの部署で経費がどう使われているか、ドリルダウンして詳細にチェックできるようになった。
さらに会計と生産管理システムが連携したこと、生産管理システムと製品データ管理のPLEMIAが連携したことによる業務効率アップも大きい。人手に頼っていた会計・生産管理システム間のデータ移行作業が連携により一気に省力化。またBOMデータを全てPLEMIAに移行して電子管理できるようになったため、設計変更時の部品管理が劇的に効率化されている。
今後システムに期待することとして、佐藤氏はこう述べる。「売上増だけに力を入れてきたこれまでから、手厚いCSや部品ビジネスで利益を上げるなど、フレキシブルな経営戦略を求めようとする当社にとって、必要最小限の投資で、迅速に拡張できるパッケージシステムはなくてはならないもの。富士通のサポートを得ながら、しっかりとしたIT基盤を構築していこうと考えています」。
富士通は今後も、より一層の研鑽を重ね、日本の製造業への支援を続けていく。
富士通株式会社
産業ビジネス本部 組立産業統括営業部 関東産業営業部 大滝 正和
ギガフォトン様はビジネス規模拡大に備えたシステム基盤構築のため、設計/生産/原価管理/会計に亘るトータルシステムの導入を進めて参りました。
幅広い業務システムの刷新でしたが、渡辺社長を筆頭とするギガフォトン様プロジェクトメンバーの多大なご協力により、スケジュール通り安定稼動させる事が出来ました。
この重要なプロジェクトを富士通にご用命いただいた事を大変光栄に感じております。
今後も、ギガフォトン様の成長を手助けするビジネスパートナーとして、富士通グループ一丸となってサポートさせていただく所存です。
所在地 | 〒323-8558 栃木県小山市横倉新田400 |
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代表者 | 代表取締役社長 渡辺 裕司 氏 |
設立 | 2000年8月1日 |
資本金 | 50億円(2009年3月現在) |
事業内容 | 半導体リソグラフィ用エキシマレーザーの開発・製造・販売
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ホームページ | http://www.gigaphoton.com/ |
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